第109回
109AM001|第109回 保健師国家試験 過去問
令和元年(2019年)の生活習慣病の動向で正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解2
正答
2.脳血管疾患の死亡率は脳内出血より脳梗塞が高い。
この問題のポイント
令和元年の生活習慣病の統計を、出典ごとに正しく理解しているかを問う問題です。肥満と糖尿病は国民健康・栄養調査、死亡率は人口動態統計のデータです。それぞれの大小関係と長期的な傾向を押さえていれば判断できます。脳血管疾患の病型別では脳梗塞の死亡が最も多いという基本事項が正答の鍵です。
解説
出典の整理
問題文の「令和元年(2019年)」から、出題当時の最新の全国データを思い浮かべます。国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて毎年実施される調査ですが、令和2年・3年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止されました。そのため2023年2月の試験時点では、令和元年調査が最新の結果でした。選択肢1と4は国民健康・栄養調査、選択肢2と3は人口動態統計(死亡)の内容です。どの統計の話かを意識すると、知識を整理しやすくなります。
脳血管疾患(選択肢2)
人口動態統計では、脳血管疾患をくも膜下出血、脳内出血、脳梗塞、その他に分けて集計しています。
- かつての日本では、高血圧を背景とした脳内出血の死亡が大半を占めていました。
- 降圧治療の普及や減塩の取り組みにより、脳内出血の死亡率は大きく低下しました。1970年代には脳梗塞が脳内出血を上回っています。
- 現在は脳血管疾患死亡の半数以上が脳梗塞で、脳内出血は3割程度です。
- 背景には高齢化があります。動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞や、心房細動を原因とする心原性脳塞栓症が増えています。
令和元年の死因順位では、脳血管疾患は悪性新生物、心疾患、老衰に次ぐ第4位でした。国民生活基礎調査(2019年)では、介護が必要となった主な原因として、脳血管疾患は認知症に次ぐ第2位です。死亡だけでなく要介護の原因としても重要な疾患といえます。
肥満(選択肢1)
令和元年国民健康・栄養調査では、20歳以上の肥満者(BMI 25以上)の割合は男性33.0%、女性22.3%でした。男性のほうが高く、特に働き盛りの年代で高いことが特徴です。一方、女性では若年層の「やせ」(BMI 18.5未満)が課題で、20歳代女性の約2割がやせに該当します。
悪性新生物(選択肢3)
悪性新生物は1981年以降、死因の第1位が続いています。高齢化により死亡数は増え続けていますが、年齢構成の影響を除いた年齢調整死亡率は低下傾向にあります。年齢調整死亡率は、年齢構成が異なる年次や地域を比較するために、基準人口の年齢構成にそろえて算出する指標です。
部位別に見ると、男性は死亡数でも年齢調整死亡率でも肺が第1位で、胃や大腸が続きます。女性は死亡数で大腸が第1位です。
糖尿病(選択肢4)
国民健康・栄養調査では、次の2つの区分を使います。
- 糖尿病が強く疑われる者:HbA1c 6.5%以上、または糖尿病の治療を受けていると回答した者
- 糖尿病の可能性を否定できない者:HbA1c 6.0%以上6.5%未満で、上記に当てはまらない者
令和元年は、糖尿病が強く疑われる者が男性で約2割、女性で約1割でした。そのうち現在治療を受けている者の割合は男女とも半数を大きく上回り、長期的にも上昇してきています。
実践とのつながり
保健師は、これらの統計を地域診断で全国値との比較に使います。そのうえで、特定健康診査・特定保健指導(高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者が40〜74歳を対象に実施)や、糖尿病の未治療者・治療中断者への受診勧奨につなげます。
選択肢の確認
1.肥満者の割合は男性より女性の方が多い。:令和元年国民健康・栄養調査では、肥満者の割合は男性33.0%、女性22.3%です。男性が約10ポイント高く、記述は男女が逆になっています。女性に多いのは肥満ではなく「やせ」、特に若年女性のやせです。この2つを取り違えないよう注意します。
2.脳血管疾患の死亡率は脳内出血より脳梗塞が高い。:正答。降圧治療の普及などで脳内出血の死亡率が大きく下がり、1970年代に脳梗塞と逆転しました。令和元年の人口動態統計でも、脳血管疾患死亡の半数以上を脳梗塞が占め、脳内出血を上回っています。高齢化に伴う動脈硬化や心房細動の増加が、脳梗塞の多さの背景にあります。
3.悪性新生物の年齢調整死亡率で男性の部位別の第1位は大腸である。:男性の悪性新生物の第1位は、年齢調整死亡率でも死亡数でも肺であり、大腸ではありません。大腸が第1位になるのは女性の部位別死亡数で、男女を入れ替えた引っかけです。がんの罹患(新たに診断される数)では死亡とは部位の順位が異なるため、問われているのが「死亡」か「罹患」かも確認する習慣をつけます。
4.糖尿病を強く疑われる者のうち現在治療を受けている者の割合は、男女ともに50%以下である。:糖尿病が強く疑われる者のうち治療を受けている者の割合は、男女とも半数を大きく上回っています。したがって「50%以下」は当てはまりません。ただし治療を受けていない人が一定数いることは事実で、健診後の受診勧奨や治療中断の防止は、保健指導の重要な課題です。
覚えるポイント
- 出典の区別:肥満・糖尿病・栄養摂取は国民健康・栄養調査(健康増進法に基づき毎年実施。令和2・3年は中止)、死亡は人口動態統計です。
- 脳血管疾患の死亡は脳梗塞>脳内出血>くも膜下出血の順です。1970年代に脳梗塞が脳内出血を上回りました。令和元年の死因順位は第4位です。
- 肥満者(BMI 25以上)は男性約3割、女性約2割で男性に多く、女性は若年層のやせが課題です。
- がんの部位別死亡は、男性は肺が第1位、女性の死亡数は大腸が第1位です。死亡数は増加し、年齢調整死亡率は低下傾向です。
- 「糖尿病が強く疑われる者」は、HbA1c 6.5%以上または治療中の者です。「可能性を否定できない者」はHbA1c 6.0%以上6.5%未満です。強く疑われる者の治療率は男女とも過半数です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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