第109回

109AM021|第109回 保健師国家試験 過去問

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく指定難病の医療費助成制度で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.新規に医療費助成を受けるには難病指定医による診断書が必要である。

この問題のポイント

難病法に基づく指定難病の医療費助成(特定医療費)について、申請手続き、指定の主体、自己負担割合、対象疾病数を問う問題です。判断の鍵は、「診断書を書くのは誰か」「医療機関を指定するのは誰か」「自己負担は何割か」を区別できるかどうかです。制度を「診断→申請→認定→受給者証→指定医療機関での受診」という流れで押さえておくと、どの選択肢も判定できます。

解説

制度の位置づけと「指定難病」の要件

難病法は平成26年(2014年)に成立し、平成27年(2015年)1月に施行されました。それまでの特定疾患治療研究事業は予算事業でしたが、これを法律に基づく公平で安定した医療費助成制度に改めたものです。

難病法でいう「難病」は、次の4要件を満たす疾病です。

  • 発病の機構が明らかでない
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な疾病である
  • 長期の療養を必要とする

このうち医療費助成の対象となる指定難病は、さらに次の2要件も満たすものです。

  • 患者数が国内で一定の人数(人口のおおむね0.1%程度)に達しない
  • 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立している

指定難病は、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定します。

助成を受けるまでの流れ

  • 難病指定医が診断し、臨床調査個人票(診断書)を作成します。
  • 患者が申請書に診断書などを添えて、都道府県(指定都市の住民は指定都市)に申請します。
  • 都道府県等が審査し、診断基準と重症度分類を満たせば支給認定を行い、医療受給者証を交付します。
  • 都道府県知事(指定都市は市長)が指定した指定医療機関で受けた医療について、特定医療費が支給されます。

指定医療機関には病院・診療所のほか、薬局や訪問看護事業者も含まれます。受給者証の有効期間は原則1年で、継続するには更新の申請が必要です。

難病指定医、協力難病指定医、指定医療機関は、いずれも都道府県知事(指定都市の市長)が指定します。新規申請の診断書を作成できるのは難病指定医だけです。更新申請の診断書は、難病指定医に加えて協力難病指定医も作成できます。

自己負担の仕組み

医療保険で3割負担の人も、自己負担割合は2割に軽減されます。もともと1割負担の人は1割のままです。さらに所得区分に応じて月額の自己負担上限額が設けられています。この上限は、複数の指定医療機関で支払った負担を合算して適用されます。人工呼吸器等を装着している人や、高額な医療費が長期間続く「高額かつ長期」に該当する人には、より低い上限額が設定されています。

重症度分類を満たさない軽症者でも、医療費総額が33,330円を超える月が一定期間内に3回以上ある場合は「軽症高額該当」として助成の対象になります。

保健師の実践とのつながり

申請窓口は保健所に置かれていることが多く、保健師は申請時の面接を、療養状況の把握や相談支援を始める機会として活用します。難病法には、都道府県等が設置する難病相談支援センターや、地域の関係機関で構成する難病対策地域協議会も規定されています。医療費助成を入り口にして、地域での療養支援につなげる視点が大切です。

選択肢の確認

1.患者の自己負担割合は3割である。:3割は現役世代の医療保険における一般的な自己負担割合です。指定難病の医療費助成では、自己負担割合は2割に軽減されます(もともと1割負担の人は1割)。さらに所得に応じた月額上限額があるため、実際の負担はそれ以下に抑えられます。児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病の医療費助成も自己負担は2割で、あわせて覚えておくと混同しにくくなります。

2.令和元年(2019年)時点で指定難病は110疾患である。:110は、難病法施行時(平成27年1月)に第一次として指定された疾病数です。指定難病は同年7月に306疾病へ拡大され、その後も段階的に追加されました。令和元年(2019年)7月からは333疾病、出題当時(2023年2月)は令和3年(2021年)11月からの338疾病です。現在はさらに追加されています。制度開始時の数字と特定時点の数字を取り違えさせる選択肢です。

3.国が指定した医療機関で受診した医療費が助成対象である。:助成の対象が「指定医療機関で受けた医療」であるという点は正しい内容です。しかし、指定医療機関を指定するのは国ではなく都道府県知事(指定都市は市長)です。国(厚生労働大臣)が指定するのは「指定難病」という疾病のほうで、医療機関ではありません。「何を誰が指定するか」の取り違えを狙った選択肢です。

4.新規に医療費助成を受けるには難病指定医による診断書が必要である。:正答。新規申請に添付する臨床調査個人票(診断書)は、都道府県知事等が指定した難病指定医が作成します。難病指定医になるには、専門医資格や所定の研修修了などの要件を満たす必要があります。協力難病指定医は更新申請の診断書のみ作成でき、新規申請の診断書は作成できません。

覚えるポイント

  • 指定の主体を区別します。指定難病(疾病)は厚生労働大臣が指定し、難病指定医・協力難病指定医・指定医療機関は都道府県知事(指定都市の市長)が指定します。
  • 診断書を作成できる医師は、新規申請が難病指定医のみ、更新申請が難病指定医または協力難病指定医です。受給者証の有効期間は原則1年です。
  • 自己負担は2割(もともと1割の人は1割)で、所得に応じた月額上限があり、複数の指定医療機関での負担を合算します。重症度を満たさない人も「軽症高額該当」で対象になり得ます。
  • 指定難病の数は、施行時(2015年1月)110、同年7月306、2019年7月333、2021年11月338と増えてきました。110は「制度開始時の数」と覚えます。
  • 難病の4要件(発病機構不明、治療法未確立、希少、長期療養)に、指定難病では「患者数が人口の約0.1%程度未満」「客観的な診断基準の確立」の2要件が加わります。
  • 小児慢性特定疾病は児童福祉法に基づく制度で、対象は18歳未満(継続が必要な場合は20歳未満まで延長可)です。難病法と根拠法を混同しないようにします。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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