第109回
109PM003|第109回 保健師国家試験 過去問
子どもの家庭内の事故を予防することは、フリードマン〈Friedman, M. M.〉が提唱した家族機能のどれか。
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正解4
正答
4.ヘルスケア機能
この問題のポイント
フリードマンが挙げた5つの家族機能(情緒、社会化と地位付与、生殖、経済、ヘルスケア)のうち、家族員の健康と安全を守る働きがどれかを問う問題です。判断の鍵は「事故を予防する」という行為です。これは、けがを未然に防いで家族員の身体の健康を保つ予防的な健康行動にあたります。
解説
フリードマンの家族機能
フリードマンは家族看護学の研究者です。家族を一つのシステムとしてとらえ、構造・機能・発達段階・ストレス対処などの面から家族全体を評価する枠組みを示しました。これはフリードマン家族アセスメントモデルとして知られています。この中で、家族が家族員と社会のために果たす働きを、次の5つの機能に整理しています。
- 情緒機能:愛情や親密さを通じて家族員の心理的な欲求を満たし、互いに支え合い、安心感や所属感をもたらす働きです。
- 社会化と地位付与の機能:子どもに社会の規範・価値観・役割を身につけさせて社会の一員に育て、家族を通して社会的な位置づけを与える働きです。
- 生殖機能:子どもを産み、世代を継いで家族と社会の存続を保つ働きです。
- 経済機能:生活に必要な収入などの経済的資源を確保し、家族員の必要に応じて適切に配分する働きです。
- ヘルスケア機能:食物・衣服・住居など生活に欠かせないものを整え、家族員の健康を守る働きです。
ヘルスケア機能には、食事・睡眠・運動などの生活習慣、住環境の衛生、予防接種や健康診査の受診、安全対策が含まれます。さらに、病気やけがのときの世話と受診の判断、療養の支援も含まれます。
問題文の手がかりと判断
家庭内の子どもの事故予防とは、具体的には次のような行動です。
- 誤飲しやすい小物や薬を手の届かない場所に置く
- 浴槽に水をためたままにしない
- 階段やベランダに転落防止の対策をする
- 寝具による窒息を防ぐ
いずれも、子どもの生命と身体をけがから守るための予防行動です。
ここで大切なのは、ヘルスケア機能が「病気になったときの看病や受診」だけを指すのではないという点です。病気やけがを起こさないための予防や、安全な環境づくりもヘルスケア機能に含まれます。「ヘルスケア=医療・看病」と狭く理解していると迷いやすいので、予防的な健康行動も含む広い概念だと押さえてください。
また、問題文に「子ども」とあるため、生殖機能や情緒機能に引きずられやすい点にも注意が必要です。どの機能にあたるかは、「誰に向けた行為か」ではなく、「その行為が何を目的としているか」で判断します。事故予防の目的は健康と安全の確保なので、ヘルスケア機能です。
保健師活動での活かし方
乳幼児健康診査や新生児訪問などで、発達段階に応じた事故予防を保健指導することがあります。これは、家族が自らのヘルスケア機能を十分に果たせるよう支援する活動です。
家族アセスメントでは、5つの機能のうちどれが保たれ、どれが弱まっているかを見て、支援の焦点を定めます。各機能は互いに影響し合います。たとえば、経済的な困窮があると受診や安全用品の購入が難しくなり、ヘルスケア機能が低下することがあります。ある機能の不足が別の機能に波及するという視点で、家族全体をとらえることが求められます。
関連して問われやすい家族機能論
- パーソンズ:近代家族の中心的な機能を「子どもの基礎的な社会化」と「成人のパーソナリティの安定化」の2つに整理しました。
- オグバーン:産業化によって家族が担っていた多くの機能が企業・学校などの外部の制度へ移り、愛情の機能が家族に残る中心的な機能になったと論じました。
学者名と機能の組み合わせで問われるため、フリードマンの5機能と区別して覚えておきましょう。
選択肢の確認
1.経済機能:家族が生活に必要な収入などの資源を確保し、家族員の必要に応じて配分する働きを指します。子どもの事故予防の直接の目的である健康と安全の確保とは対応しません。安全柵などを購入する費用の面では経済機能が間接的に関わりますが、事故を予防するという行為そのものはヘルスケア機能に分類されます。
2.情緒機能:愛情や親密さによって家族員の心理的欲求を満たし、心の安定と支え合いをもたらす働きを指します。身体の安全を守る事故予防とは目的が異なります。子どもを大切に思う気持ちが予防行動の動機にはなりますが、分類の基準は行為の目的です。「子どもへの世話=情緒」と取り違えないよう注意が必要です。
3.生殖機能:子どもを産み、世代を継いで家族と社会の存続を保つ働きを指します。すでに生まれた子どもをけがから守ることは、この機能の中心ではありません。問題文の「子ども」という語から連想しやすい選択肢です。なお、子どもに規範や役割を身につけさせる働きは「社会化と地位付与の機能」に分類されます。
4.ヘルスケア機能:正答。家族員の健康を守り、食事・衛生・住環境などを整え、病気やけがを予防し、必要時には世話や受診の判断を行う働きです。家庭内の危険を取り除いて子どもの事故を防ぐことは、健康と安全を守る予防行動そのものであり、この機能に該当します。
覚えるポイント
- フリードマンの家族機能は、情緒・社会化と地位付与・生殖・経済・ヘルスケアの5つです。
- ヘルスケア機能は看病や受診だけでなく、生活習慣、衛生、予防接種、健診受診、事故予防などの予防的な働きを含みます。
- 家族機能の分類は、行為の対象ではなく目的で判断します。安全・健康の保持はヘルスケア機能、心の安定は情緒機能、規範の習得は社会化の機能です。
- パーソンズは「子どもの社会化」と「成人のパーソナリティの安定化」の2機能を挙げ、オグバーンは産業化で家族機能が外部化し愛情機能が残ると論じました。
- 乳幼児健診や家庭訪問での事故予防指導は、家族のヘルスケア機能を高める保健師の支援です。
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