第109回
109PM021|第109回 保健師国家試験 過去問
公的年金制度について正しいのはどれか。
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正解2
正答
2.20歳未満の傷病による障害者にも障害基礎年金が支給される。
この問題のポイント
公的年金制度の基本を問う問題です。問われているのは、2階建ての構造、国民年金の被保険者区分(第1号〜第3号)、国民年金と厚生年金保険それぞれの給付の種類の3点です。判断の鍵は、保険料を納める機会がなかった20歳前の傷病による障害も、障害基礎年金の対象として制度的に救済されていることです。学生の加入義務や、扶養される配偶者の区分といった紛らわしい記述は、正確な定義に照らして判別します。
解説
公的年金の構造と被保険者の区分
日本の公的年金は、1階部分の国民年金(基礎年金)と、2階部分の厚生年金保険で構成されます。国内に住所のある20歳以上60歳未満の人は、職業にかかわらず全員が国民年金に加入します。これが国民皆年金の仕組みです。会社員や公務員は、これに加えて厚生年金保険にも加入します。公務員の共済年金は、2015年(平成27年)10月の被用者年金一元化で厚生年金保険に統合されました。
国民年金の被保険者は、次の3つに区分されます。
- 第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者、農林漁業者、学生、無職の人などです。保険料は本人が納めます。
- 第2号被保険者:厚生年金保険の被保険者で、会社員や公務員などの被用者本人です。国民年金分の負担は厚生年金保険料に含まれ、別に納める必要はありません。
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者です。本人の保険料負担はなく、配偶者が加入する厚生年金制度全体で負担します。
給付の種類
国民年金から支給されるのは、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金です。このほか、第1号被保険者の独自給付として付加年金、寡婦年金、死亡一時金があります。
厚生年金保険から支給されるのは、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金です。障害厚生年金には1〜3級の区分があり、3級より軽い障害には一時金の障害手当金があります。一方、障害基礎年金は1級・2級のみです。名称の「基礎」は国民年金、「厚生」は厚生年金保険の給付と覚えると、区別しやすくなります。
障害基礎年金と20歳前傷病
通常の障害基礎年金には、次の3つの要件があります。
- 初診日に国民年金の被保険者であること(または被保険者だった人が60歳以上65歳未満で国内に住んでいること)
- 障害認定日に1級または2級の障害の状態にあること
- 保険料納付要件を満たしていること
しかし、20歳前は国民年金に加入しておらず、保険料を納める機会がありません。そこで、初診日が20歳前にある傷病で障害の状態にある人には特例があります。20歳に達した日(障害認定日が20歳以後であればその障害認定日)に1級・2級に該当すれば、保険料納付要件を問わずに障害基礎年金が支給されます。先天性の疾患や、小児期の疾病・事故による障害などが対象です。
この給付は、本人が保険料を負担していない福祉的な性格をもちます。そのため、本人の前年の所得による支給制限があり、海外に住んでいる間や刑事施設等に拘禁されている間は支給が停止されます。なお、20歳前でも就職して厚生年金保険に加入している期間に初診日がある場合は、第2号被保険者として扱われます。この場合は、通常の障害基礎年金と障害厚生年金の対象になります。
保健師は、障害のある子どもとその家族を乳幼児期から継続的に支援します。20歳未満の障害児を養育する父母等には特別児童扶養手当などがありますが、子が20歳になると、本人の障害基礎年金が生活の基盤として重要になります。20歳到達の前後の手続きを見通して情報提供し、市町村の国民年金窓口や年金事務所へつなぐことは、障害のある人の自立を支える実践的な支援です。
選択肢の確認
1.20歳以上の学生は国民年金に任意加入である。:国内に住所のある20歳以上60歳未満の人は国民年金に強制加入し、学生も第1号被保険者として加入義務があります。学生が任意加入とされていたのは1991年(平成3年)3月までです。この時期に未加入のまま障害を負い、無年金となった「学生無年金障害者」の問題を受けて、2005年(平成17年)に特別障害給付金制度が設けられました。現在は保険料の納付が難しい学生のために学生納付特例制度があります。承認された期間は受給資格期間に算入され、10年以内であれば追納できます。国民年金の任意加入が認められるのは、年金額を増やしたい60歳以上65歳未満の人や、海外に住む20歳以上65歳未満の日本人などです。
2.20歳未満の傷病による障害者にも障害基礎年金が支給される。:正答。初診日が20歳前にある傷病による障害で、20歳到達時(障害認定日が20歳以後ならその日)に1級・2級の状態にあれば、保険料納付要件を問わず障害基礎年金が支給されます。保険料を納める機会のなかった人を救済する仕組みです。本人の所得による支給制限がある点が、通常の障害基礎年金との違いです。
3.国民年金から支給される年金給付の1つは老齢厚生年金である。:老齢厚生年金は、2階部分の厚生年金保険から、その被保険者期間がある人に支給される給付で、国民年金の給付ではありません。国民年金の老齢給付は老齢基礎年金で、原則65歳から支給されます。受給資格期間は、2017年(平成29年)8月から10年に短縮されています(それ以前は25年)。会社員や公務員として働いた人には、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。「基礎」と「厚生」の取り違えを狙った選択肢です。
4.被用者に扶養される配偶者は国民年金の第2号被保険者である。:第2号被保険者は、厚生年金保険に加入している会社員や公務員など、被用者本人を指します。被用者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は第3号被保険者です。第3号被保険者は、本人が保険料を納めずに国民年金に加入し、老齢基礎年金などを受けられます。なお、自営業者など第1号被保険者に扶養される配偶者は第3号にはなりません。自身も第1号被保険者として保険料を納めます。
覚えるポイント
- 公的年金は2階建てで、1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金保険です。国内に住む20歳以上60歳未満は全員が国民年金に強制加入し、学生も1991年4月から強制加入です。
- 被保険者区分は、第1号=自営業者・学生・無職など、第2号=厚生年金保険の加入者本人(会社員・公務員)、第3号=第2号に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者です。
- 国民年金の給付は老齢・障害・遺族の「基礎年金」で、第1号の独自給付として付加年金・寡婦年金・死亡一時金があります。厚生年金保険の給付は老齢・障害・遺族の「厚生年金」です。
- 障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1〜3級で、ほかに一時金の障害手当金があります。
- 20歳前傷病による障害基礎年金は、初診日が20歳前で、20歳到達時(または障害認定日)に1・2級なら支給されます。保険料納付要件はなく、本人の所得による支給制限があります。
- 学生納付特例の期間は受給資格期間に算入され、追納は10年以内です。老齢基礎年金の受給資格期間は10年(2017年8月から)です。
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