第109回
109PM034|第109回 保健師国家試験 過去問
散布図から分かるのはどれか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解1・5
正答
1.相関
5.はずれ値
この問題のポイント
統計グラフの種類ごとに、何を表すための図かを問う問題です。散布図は、2つの量的変数の値の組を1つの点として平面に打った図です。点全体の並び方から2変数の関連(相関)が分かり、他から離れた点からはずれ値が分かります。割合・中央値・年次推移は、それぞれ別のグラフで示すのが基本です。
解説
散布図とは
散布図は、同じ対象について測った2つの量的変数を、一方を横軸、もう一方を縦軸にとって描く図です。例として、成人の身長と体重、BMIと収縮期血圧、地域ごとの喫煙率と肺がん死亡率などがあります。対象1人(または1地域)を1つの点で表し、1つの点が2つの値の組み合わせを表すことが、他のグラフとの大きな違いです。
散布図から読み取れる主な内容は次のとおりです。
- 関連の向き:点が右上がりに並べば正の相関(一方が大きいほど他方も大きい)、右下がりなら負の相関です。
- 関連の強さ:点が1本の直線の近くに集まるほど相関は強く、円状に散らばるほど弱くなります。数値ではピアソンの積率相関係数で表し、−1から+1の値をとります。0に近ければ直線的な関連がないことを意味します。
- 関連の形:U字型などの曲線的な関係や、いくつかの集団に分かれている様子は、相関係数だけでは分かりません。
- はずれ値:他の点の集まりから大きく離れた点として、一目で見つかります。
相関係数の前にまず散布図を見る
相関係数は直線的な関連の強さしか示さず、はずれ値の影響を強く受けます。関連のないデータでも、1つのはずれ値があるだけで見かけ上強い相関が出ることがあります。逆に、本来の相関が弱く見えることもあります。相関係数がほぼ同じでも散布図の形がまったく異なるデータの組(アンスコムの例)がよく知られており、「数値を出す前に散布図を描く」ことが解析の基本です。
はずれ値を見つけたら、まず測定ミスや入力ミスではないかを確認します。真の値であれば、その対象に特別な事情がないかを検討します。理由なく除外してはいけません。順位に基づくスピアマンの順位相関係数は、ピアソンの相関係数よりはずれ値の影響を受けにくい指標です。
相関と因果、グラフの使い分け
散布図で相関が見られても、それだけで因果関係があるとはいえません。第3の要因(交絡因子)が両方に影響して、見かけの相関(疑似相関)を生んでいることもあります。
また、市町村や国を1点とする散布図は生態学的研究(地域相関研究)でよく使われます。ただし、集団単位で見られた関連が個人にも当てはまるとは限らず、これを生態学的錯誤といいます。保健師が地域診断で市町村別の指標を比べるときに、特に意識したい点です。
目的に応じたグラフの使い分けは次のとおりです。
- 構成割合:円グラフ、帯グラフ
- 1変数の分布の形:ヒストグラム
- 中央値・四分位・ばらつき:箱ひげ図
- 時間的な推移:折れ線グラフ
- 項目間の量の比較:棒グラフ
- 2変数の関連:散布図
選択肢の確認
1.相関:正答。散布図は2つの量的変数の関連を見るための代表的な図です。点の並ぶ方向から正・負の向きを、直線への集まり具合から強さを、並びの形から直線的か曲線的かを読み取れます。相関係数を算出する前に必ず確認すべき図でもあります。
2.割合:全体に対して各部分が占める構成比を示すには、円グラフや帯グラフを使います。散布図の各点は1つの対象がもつ2つの値の組を表すだけで、全体の中での構成を示す仕組みはありません。そのため、この目的の図ではありません。
3.中央値:データを大きさの順に並べたときに真ん中にくる値で、1つの変数の代表値です。図で示す場合は、箱ひげ図の箱の中に引かれた線がこれに当たります。散布図から各変数のこの値を直接読み取ることはできません。平均値と比べて極端な値の影響を受けにくい代表値であることも、あわせて押さえておきましょう。
4.年次推移:時間の経過に伴う変化は、横軸に年次をとった折れ線グラフで示すのが基本です。出生数や死亡率の推移を示す図が代表例です。散布図は時間の順序を前提とせず、2変数どうしの関連を見るための図なので、時間的な変化を示す目的には用いません。
5.はずれ値:正答。散布図では、他の点の集まりから大きく離れた点としてすぐに見つけられます。こうした点は相関係数や回帰直線を大きく歪めます。そのため、見つけたときは測定や入力の誤りかどうかを確かめ、真の値であればその理由を検討します。なお、1つの変数だけに注目する場合は、箱ひげ図でもこうした値を示せます。
覚えるポイント
- 散布図は、2つの量的変数の関連(向き・強さ・形)と、はずれ値を見るための図です。
- 相関係数は−1〜+1の値をとり、直線的な関連しか表しません。はずれ値に弱いため、必ず散布図とセットで解釈します。
- 相関があっても因果関係とは限りません。交絡による疑似相関や、集団単位の散布図での生態学的錯誤に注意します。
- グラフの対応は、割合=円グラフ・帯グラフ、分布の形=ヒストグラム、中央値・四分位=箱ひげ図、推移=折れ線グラフ、項目間の比較=棒グラフです。
- 中央値ははずれ値の影響を受けにくく、平均値は影響を受けやすい代表値です。
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