第109回

109PM035|第109回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に統合され廃止された法律はどれか。2つ選べ。

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正解1・4

正答

1.後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
4.結核予防法

この問題のポイント

感染症法がどの法律をまとめて作られたかを問う問題です。感染症法は1998年(平成10年)の制定時に伝染病予防法・性病予防法・エイズ予防法の3法を統合しました。さらに2006年(平成18年)の改正で結核予防法を統合し、この改正は2007年(平成19年)4月に施行されました。「統合されて廃止」「感染症法とは無関係に単独で廃止」「現在も存続」の3つを区別できるかが鍵です。

解説

設問の読み方

判断の手がかりは「統合され廃止された」という表現です。選択肢はどれも感染症に関係する法律ですが、次の3つに分かれます。

  • 感染症法に吸収されて廃止された法律
  • 感染症法とは別の経緯で廃止された法律
  • 現在も存続している法律

「廃止された」だけに注目すると、単独で廃止された法律まで選んでしまうので注意が必要です。

第1段階:感染症法の制定(1998年制定、1999年4月施行)

明治30年に制定された伝染病予防法は、法定伝染病の患者を隔離して社会を守る「社会防衛」の考え方に立っていました。その後、次のような変化が起こりました。

  • 新興・再興感染症が出現した
  • 国際交流が拡大した
  • 医学・医療が進歩した
  • 患者の人権への意識が高まった

こうした変化を受けて制定されたのが感染症法です。その際、伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法、1989年施行)の3法が統合され、廃止されました。

感染症法の目的は、感染症の発生予防とまん延防止を図り、患者に良質かつ適切な医療を提供することです。感染症は一類〜五類感染症などの類型に分けられ、類型ごとに届出・入院・消毒などの措置が定められています。入院はまず勧告を行い、従わない場合に措置へ進む段階的な手続きです。前文には、ハンセン病やエイズの患者等に対するいわれのない差別や偏見が過去に存在したという事実を重く受け止め、教訓とすることが明記されています。

第2段階:結核予防法の統合(2006年改正、2007年4月施行)

結核予防法は1951年(昭和26年)に制定され、長く独立した法体系で結核対策を担ってきました。2006年の感染症法改正で統合され、2007年4月に廃止されました。結核は二類感染症に位置づけられ、次の対策が感染症法に基づいて行われるようになりました。

  • 医師による直ちの届出
  • 保健所での結核登録
  • 接触者健康診断
  • 入院勧告
  • 医療費の公費負担
  • 定期の健康診断

一方、BCG接種は予防接種法に移りました。

統合されなかった法律

  • らい予防法は、1996年(平成8年)の「らい予防法の廃止に関する法律」で廃止されました。ハンセン病は感染力がきわめて弱く、治療法も確立しています。それにもかかわらず続いた隔離政策への反省から、単独で廃止されたものです。ハンセン病は感染症法の類型に含まれていません。
  • トラホーム予防法は大正期に制定された法律です。トラコーマの激減を受け、感染症法の制定よりずっと前に廃止されています。
  • 狂犬病予防法は1950年(昭和25年)制定で、現在も有効です。

実践とのつながり

保健所の保健師は、結核患者の服薬支援(DOTS)、接触者健診、HIVの相談・検査などを担います。これらはいずれも感染症法を根拠とする業務です。法律の成り立ちを知っておくと、どの業務がどの法律に基づくかを整理しやすくなります。

選択肢の確認

1.後天性免疫不全症候群の予防に関する法律:正答。1989年施行のいわゆるエイズ予防法で、1998年の感染症法制定時に、伝染病予防法・性病予防法とともに統合され廃止されました。現在、後天性免疫不全症候群(HIV感染症を含む)は五類感染症の全数把握疾患です。対策の方向性は感染症法に基づく特定感染症予防指針で示されています。

2.トラホーム予防法:トラコーマ(クラミジア・トラコマチスによる慢性角結膜炎)の予防を目的とした大正期の法律です。衛生環境の改善で患者が激減し、感染症法が制定されるよりずっと前に廃止されました。感染症法への統合とは関係がありません。「廃止された古い感染症の法律」という印象だけで選ばないよう注意します。

3.狂犬病予防法:この法律は現在も存続しており、廃止されていません。犬の登録(生涯1回)、年1回の予防注射、鑑札と注射済票の装着、動物の輸出入検疫など、主に動物側の対策を定めています。人の狂犬病は感染症法の四類感染症として届出の対象です。「人は感染症法、犬は同法」という二本立てで対策が行われています。

4.結核予防法:正答。2006年(平成18年)の感染症法改正で統合され、2007年(平成19年)4月に廃止されました。結核は二類感染症となり、届出、結核登録、接触者健診、入院勧告、公費負担医療、定期健康診断などが感染症法に基づいて行われています。BCG接種は予防接種法へ移行しました。

5.らい予防法:同法は1996年(平成8年)に、「らい予防法の廃止に関する法律」によって単独で廃止されました。感染症法に統合されたわけではなく、ハンセン病は感染症法の類型にも含まれていません。隔離政策への反省は、感染症法の前文に教訓として記されています。「廃止」という点は正しくても「統合」ではないため、設問の条件を満たしません。

覚えるポイント

  • 感染症法(1998年制定、1999年4月施行)の制定時に統合・廃止されたのは、伝染病予防法・性病予防法・エイズ予防法の3法です。
  • 結核予防法は2006年の改正で統合され、2007年4月に廃止されました。結核は二類感染症で、BCG接種は予防接種法へ移っています。
  • らい予防法は1996年に単独で廃止されました。ハンセン病は感染症法の対象外ですが、前文に差別・偏見の教訓として記されています。
  • 狂犬病予防法は現存しています。犬の登録と年1回の予防注射は同法、人の狂犬病は感染症法の四類感染症です。
  • 感染症法は社会防衛中心の旧法から転換し、患者の人権尊重と良質かつ適切な医療の提供を柱としています。入院は勧告から措置へと段階的に進みます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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