111AM053|第111回 看護師国家試験 過去問
介護保険制度における施設サービスはどれか。
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正解: 1
正答
1.介護医療院サービス
この問題のポイント
介護保険のサービスが「施設サービス」「居宅サービス」「地域密着型サービス」のどれに分類されるかを問う問題です。施設サービスは介護保険施設で提供されるサービスに限られます。出題当時は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院と、経過措置の介護療養型医療施設が該当しました。「泊まり」のある小規模多機能型居宅介護や高齢者が暮らすグループホームは地域密着型サービスで、サービス付き高齢者向け住宅は介護保険外の住まいです。これらを施設サービスと区別できるかが鍵です。
解説
問題文の鍵は「施設サービス」という分類名です。泊まれる、住めるという特徴だけでは判断できません。介護保険法上の分類(施設・居宅・地域密着型)と、そもそも介護保険のサービスかどうかを整理して考えます。
介護保険の給付の全体像
介護保険の保険給付は、介護保険法第18条で次の3種類と定められています。
- 介護給付(要介護1〜5の人が対象):主なものは居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、居宅介護支援(ケアマネジメント)です。
- 予防給付(要支援1・2の人が対象):主なものは介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援です。
- 市町村特別給付:要介護状態などの軽減や悪化の防止に役立つものとして、市町村が条例で独自に定める給付です(配食や移送など、いわゆる横出しサービス)。
施設サービスは、このうち介護給付にだけ含まれます。予防給付には相当するものがありません。そのため、施設サービスを利用できるのは要介護認定を受けた人だけです。
事業者を指定・監督する主体も、分類を見分ける手がかりになります。居宅サービスの事業者と介護保険施設は、原則として都道府県が指定または許可します。地域密着型サービスは市町村が指定・監督し、原則としてその市町村の被保険者だけが利用できます。
介護保険施設の種類
施設サービスは、介護保険施設に入所した要介護者に提供されるサービスです。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):常に介護が必要で、在宅生活が難しい人の生活の場です。2015年4月以降、新規入所は原則要介護3以上です。やむを得ない事情があれば、要介護1・2でも特例入所が認められます。
- 介護老人保健施設:リハビリテーションなどを行って在宅復帰を目指す、病院と在宅の中間的な施設です。
- 介護医療院:2018年4月に創設されました。長期療養が必要な要介護者に、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアなどの医療と、日常生活上の介護を一体的に提供します。生活の場としての機能も持つ施設です。
出題当時(2022年2月)は、これらに加えて介護療養型医療施設が経過措置として存続しており、介護保険施設は4種類でした。介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、現在は上記の3種類です。介護医療院は、主にその転換先として創設されました。
間違えやすい「住まい」系のサービス
- 地域密着型サービスに分類されるもの:認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(定員29人以下の小規模な特別養護老人ホーム)、地域密着型特定施設入居者生活介護
- 居宅サービスに分類されるもの:有料老人ホームなどで提供される特定施設入居者生活介護
- 介護保険のサービスではないもの:サービス付き高齢者向け住宅(高齢者住まい法に基づいて登録される高齢者向けの住まい)
特に、小規模な特別養護老人ホームは、サービス名に「介護老人福祉施設」を含むのに地域密着型サービスです。ひっかけとして問われやすいので注意します。
以上から、介護保険施設で提供されるサービスは選択肢1だけです。選択肢2と4は地域密着型サービスで、選択肢3は介護保険外の住まいにあたります。
臨床・地域での意味
退院支援や在宅療養支援では、要介護度、医療ニーズの程度、認知症の有無、住所地などから、利用できるサービスを判断します。たとえば、経管栄養や喀痰吸引などの医療ニーズが高く、長期療養が必要な要介護者では、介護医療院が入所先の候補になります。在宅復帰を目指したリハビリテーションが必要な場合は、介護老人保健施設が候補になります。サービスの分類と対象者を理解しておくことは、多職種で療養先を検討するときの基礎になります。
選択肢の確認
1.介護医療院サービス:正答。介護医療院は介護保険法に定められた介護保険施設で、そこで提供されるサービスは施設サービスにあたります。介護老人福祉施設や介護老人保健施設のサービスと同じ分類です。長期療養が必要な要介護者を対象に、医学管理や看取りと、介護・生活支援を一体的に提供します。2018年に創設された比較的新しい施設で、介護療養型医療施設の主な転換先とされた点も押さえておきます。
2.小規模多機能型居宅介護:「通い」を中心に、利用者の状態や希望に応じて「訪問」や「泊まり」を組み合わせるサービスです。市町村が指定する地域密着型サービスに分類されます。泊まりの機能はありますが入所施設ではなく、登録した事業所を利用しながら在宅生活を続けるためのサービスです。要支援者向けの介護予防版がある点でも、要介護者だけが対象の施設サービスとは異なります。これに訪問看護を組み合わせた複合型サービスも、同じく地域密着型サービスです。
3.サービス付き高齢者向け住宅:高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づき、都道府県などに登録される高齢者向けの住まいです。介護保険のサービスそのものではありません。登録には、バリアフリー構造などの基準を満たし、安否確認と生活相談のサービスを提供することが必要です。多くは賃貸住宅で、入居者に介護が必要になった場合は、訪問介護などの居宅サービスを別に契約して利用します。特定施設の指定を受けた住宅では特定施設入居者生活介護を受けられますが、これも居宅サービスに分類され、施設サービスではありません。国土交通省と厚生労働省が共同で所管する住宅制度と理解しておきます。
4.認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉:認知症のある人が1ユニット5〜9人の少人数で、介護職員の支援を受けながら共同生活を送るサービスです。市町村が指定する地域密着型サービスに分類されます。住まいの場であるため、施設サービスと混同しやすい選択肢です。要支援2の人も介護予防版を利用できる点や、原則として事業所のある市町村の住民が対象となる点で、要介護者に限られる施設サービスとは区別されます。
覚えるポイント
- 介護保険施設は、出題当時は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設・介護医療院に、経過措置の介護療養型医療施設を加えた4種類でした。介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、現在は3種類です。
- 保険給付は介護給付・予防給付・市町村特別給付の3種類で、施設サービスは介護給付にだけ含まれます。対象は要介護者のみで、特別養護老人ホームの新規入所は原則要介護3以上です。
- 指定・監督の主体は、居宅サービス・施設サービスが原則として都道府県、地域密着型サービスが市町村です。地域密着型サービスは、原則としてその市町村の住民だけが利用できます。
- 地域密着型サービスの代表例は、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホームです。
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)は居宅サービスで、サービス付き高齢者向け住宅は高齢者住まい法に基づく住まいです。どちらも施設サービスではありません。
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