112AM070|第112回 看護師国家試験 過去問

介護保険制度における都道府県が指定・監督を行う居宅サービスはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.福祉用具貸与

この問題のポイント

介護保険のサービスを、どの行政機関が事業者を指定・監督するかで分類できるかを問う問題です。手がかりは「都道府県が指定・監督」と「居宅サービス」という語で、介護保険法上の居宅サービスは都道府県、地域密着型サービスは市町村が指定・監督します。選択肢2〜4は在宅や地域での生活を支えるサービスですが、法律上はいずれも地域密着型サービスです。

解説

問題文の手がかり

この問題の「居宅サービス」は、「在宅向けのサービス」という一般的な意味ではありません。介護保険法で定められたサービス類型の名称です。小規模多機能型居宅介護のように名前に「居宅」を含んでいても、法律上は地域密着型サービスに属するものがあります。名称の印象ではなく、法律上の分類で判断することが必要です。

サービスの種類と指定・監督の主体

介護給付のサービスは、指定・監督の主体によって次のように整理できます。

  • 居宅サービス:都道府県知事が指定・監督します。
  • 施設サービス:都道府県知事が行います。介護老人福祉施設は指定、介護老人保健施設と介護医療院は開設の許可です。
  • 地域密着型サービス:市町村長が指定・監督します。
  • 居宅介護支援(ケアマネジメント):市町村長が指定・監督します。2018年4月に都道府県から市町村へ権限が移されました。

指定都市と中核市では、都道府県に代わってその市長が居宅サービスなどの指定を行います(大都市等の特例)。要支援者向けの予防給付も同じ考え方です。介護予防サービスは都道府県、地域密着型介護予防サービスと介護予防支援は市町村が指定します。施設サービスについて補足すると、出題当時は介護療養型医療施設も残っていましたが、2024年3月末で廃止されています。

居宅サービスは次の12種類です。

  • 訪問系:訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導
  • 通所系:通所介護、通所リハビリテーション
  • 短期入所系:短期入所生活介護、短期入所療養介護
  • その他:特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売

地域密着型サービスは次の9種類です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護です。

地域密着型サービスが市町村の所管である理由

地域密着型サービスは2006年に創設されました。認知症高齢者や中重度の要介護者が、住み慣れた地域で暮らし続けられるようにすることが目的です。そのため、保険者である市町村が地域の実情に合わせて整備量を計画し、事業者を指定・監督します。利用できるのは原則として、その市町村に住所のある被保険者です。

福祉用具貸与の内容

福祉用具貸与は、日常生活の自立や介護者の負担軽減のための用具をレンタルするサービスです。事業所の福祉用具専門相談員が、用具の選定、調整、使い方の説明を行います。

  • 主な対象品目:車いす(付属品を含む)、特殊寝台(付属品を含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、取付け工事を伴わない手すり・スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)、自動排泄処理装置
  • 軽度者の制限:要支援1・2と要介護1の人は、車いすや特殊寝台などの一部の品目が原則として給付の対象外です。
  • 特定福祉用具販売:腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など入浴や排泄に使う用具は、他人が使ったものを再利用することに抵抗感があるため、貸与ではなく購入費の支給の対象です。

出題後の改正として、2024年4月からは固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉杖を除く)、多点杖について、貸与と販売を選べる仕組みが導入されています。

臨床での生かし方

退院支援で在宅療養の環境を整えるとき、介護ベッドや車いすは福祉用具貸与として、ケアプランに位置づけて用意することが多くあります。一方、グループホームや小規模多機能型居宅介護を検討する場合は注意が必要です。これらは住所地の市町村のサービスが原則なので、家族が住む別の市町村の事業所を希望するときには、利用できるかどうかを確認します。

選択肢の確認

1.福祉用具貸与:正答。介護保険法上の居宅サービス12種類の一つで、都道府県知事(指定都市・中核市では市長)が事業者を指定し、指導・監督します。車いすや特殊寝台などの用具を貸し出し、福祉用具専門相談員が選定や調整を担います。購入が対象となる特定福祉用具販売も居宅サービスで、同じく都道府県の指定です。

2.小規模多機能型居宅介護:名称に「居宅」を含みますが、地域密着型サービスに分類されるため、市町村長が指定・監督します。「通い」を中心に、利用者の状態や希望に応じて「訪問」「泊まり」を組み合わせ、なじみの職員が切れ目なく支援するサービスです。ケアプランは、登録した事業所の介護支援専門員が作成します。名前だけで居宅サービスと判断しやすいので注意が必要です。

3.定期巡回・随時対応型訪問介護看護:2012年に創設された地域密着型サービスで、市町村長が指定・監督します。日中・夜間を通じて定期的な巡回訪問と、通報に応じた随時の対応を行い、訪問介護と訪問看護を一体的に、または密接に連携して提供します。対象は要介護者で、要支援者向けの介護予防版はありません。単独の訪問介護や訪問看護であれば居宅サービスとして都道府県の指定になるため、名称を正確に読み分けます。

4.認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉:入居型のサービスですが、施設サービスではなく地域密着型サービスに分類され、市町村長が指定・監督します。認知症の要介護者(介護予防では要支援2の人)が、1ユニット5〜9人の少人数で共同生活を送りながら、日常生活の介護や機能訓練を受けます。比較のために挙げると、有料老人ホームなどで行う特定施設入居者生活介護は居宅サービス(都道府県)です。ただし、入居定員29人以下の介護専用型であれば地域密着型特定施設入居者生活介護(市町村)になります。

覚えるポイント

  • 都道府県(指定都市・中核市は市長)が指定・監督するもの:居宅サービス、介護予防サービス、施設サービス。
  • 市町村が指定・監督するもの:地域密着型サービス、地域密着型介護予防サービス、居宅介護支援(2018年4月から)、介護予防支援。
  • 居宅サービスは12種類です。訪問系5つ、通所系2つ、短期入所系2つ、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売です。
  • 名称に「地域密着型」「認知症対応型」「小規模多機能型」「夜間対応型」「定期巡回・随時対応型」が付くものは地域密着型サービス(市町村)です。原則として、その市町村の住民だけが利用できます。
  • 定員29人以下の特別養護老人ホームや介護専用型特定施設は地域密着型(市町村)です。定員30人以上の特別養護老人ホームは施設サービス、定員30人以上の特定施設は居宅サービスで、いずれも都道府県が指定します。
  • 福祉用具は貸与が原則です。入浴・排泄に使う用具は特定福祉用具販売の対象で、購入費は年間10万円が上限です。住宅改修費は20万円が上限で、事業者を指定する仕組みとは別の給付です。

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