112PM005|第112回 看護師国家試験 過去問

看護師は正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定している法律はどれか。

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正解: 3

正答

3.保健師助産師看護師法

この問題のポイント

看護師の守秘義務がどの法律に書かれているかを問う問題です。手がかりは問題文の主語が「看護師」であることです。守秘義務の根拠法は職種によって異なり、保健師・看護師・准看護師は保健師助産師看護師法、医師や助産師は刑法です。この区別ができるかが鍵になります。

解説

看護師の守秘義務は保助看法

保健師助産師看護師法(保助看法)第42条の2は、「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定めています。続けて「保健師、看護師又は准看護師でなくなった後においても、同様とする」としています。問題文はこの条文の前半とほぼ同じ言い回しです。主語が「看護師」なので、保助看法を選びます。

この規定で押さえる点は次のとおりです。

  • 対象は保健師・看護師・准看護師で、助産師は含まれません。
  • 退職したり、その職でなくなったりした後も義務は続きます。
  • 違反には罰則(6か月以下の懲役または10万円以下の罰金)があります。告訴がなければ起訴できない親告罪です。出題当時は「懲役」でしたが、2025年6月の刑法改正の施行により、現在は「拘禁刑」に改められています。

医師・助産師は刑法

刑法第134条の秘密漏示罪は、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人、またはこれらの職にあった者を対象としています。これらの者が正当な理由なく、業務上取り扱ったことで知り得た人の秘密を漏らすことを処罰する規定です。助産師はここに明記されているため、保助看法の守秘義務規定からは外されています。同じ保助看法で資格が定められている職種でも、守秘義務の根拠法が分かれている点がよく問われます。

このほか、業務の内容に応じた秘密保持の規定を持つ法律もあります。母体保護法(不妊手術・人工妊娠中絶の事務)、精神保健福祉法、感染症法などです。

「正当な理由」がある場合

守秘義務は、患者が病状や生活上の事情を安心して打ち明けられるための前提であり、信頼関係の土台です。ただし絶対的なものではなく、次のような場合は正当な理由があると考えられます。

  • 本人の同意がある場合
  • 法令に基づく場合(児童虐待防止法による通告など。同法は、守秘義務に関する規定が通告を妨げるものと解釈してはならないと明記しています)
  • 人の生命や身体を守るために必要で、本人の同意を得ることが難しい場合

臨床では、日常の行動がそのまま守秘義務の実践になります。たとえば、エレベーターや廊下、食堂など人のいる場所で患者の話をしないことです。業務上の情報をSNSに載せないこと、記録物や電子カルテの画面を第三者の目に触れさせないことも含まれます。

個人情報保護法との違い

個人情報の保護に関する法律は、医療機関などの事業者に対して、個人情報の適正な取り扱いを求める法律です。看護師個人に秘密保持を義務づける保助看法とは、義務を負う主体が異なります。次のように整理すると混同しにくくなります。

  • 看護師個人の義務は保助看法
  • 事業者としての個人情報管理は個人情報保護法

選択肢の確認

1.刑法:同法第134条の秘密漏示罪が対象とするのは医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人などで、看護師は列挙されていません。助産師や医師の守秘義務を問われた場合には正答になる法律です。「医療職の守秘義務はすべて同じ法律」と思い込んでいると選んでしまいやすい選択肢です。看護師の守秘義務は選択肢3に規定されています。

2.医療法:この法律は、病院・診療所・助産所の開設と管理、医療計画、医療安全の確保、医療を受ける者による適切な医療の選択の支援などを定めるものです。看護師個人が業務上知り得た秘密を守る義務の根拠法ではありません。医療安全支援センターや医療事故調査制度など、施設や医療提供体制に関する規定と結び付けて覚えます。

3.保健師助産師看護師法:正答。第42条の2で保健師・看護師・准看護師の守秘義務を定めています。その職でなくなった後も同様とされ、違反には親告罪としての罰則が設けられています。

4.看護師等の人材確保の促進に関する法律:この法律は看護職員の確保と資質の向上を目的としています。国や病院等の開設者、看護師等の責務、都道府県ナースセンター・中央ナースセンターの業務、離職時の届出(努力義務)などを定めるもので、患者の秘密を守る義務の根拠法ではありません。看護職の確保、再就業支援、資質向上に関する問題で登場する法律です。

覚えるポイント

  • 保健師・看護師・准看護師の守秘義務は、保健師助産師看護師法第42条の2に定められています。
  • 医師・助産師・薬剤師の守秘義務は刑法第134条(秘密漏示罪)です。助産師だけが保助看法ではなく刑法である点が頻出です。
  • 守秘義務は退職後や資格を失った後も続き、違反は親告罪です。
  • 「正当な理由」には、本人の同意、法令に基づく届出・通告(児童虐待の通告など)、生命・身体を守るためにやむを得ない場合があります。
  • 関連する法律の役割の違いを区別します。医療法は施設と医療提供体制、人材確保法は看護職員の確保とナースセンター、個人情報保護法は事業者の個人情報管理を定めています。

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