112PM010|第112回 看護師国家試験 過去問
地域保健法に規定されている市町村保健センターの業務はどれか。
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正解: 2
正答
2.住民の健康診査
この問題のポイント
地域保健法が定める地域保健の2つの拠点、保健所と市町村保健センターの役割分担を問う問題です。判断の軸は、市町村保健センターが「住民に身近な対人保健サービス」の拠点で、保健所が「専門的・技術的・広域的」な拠点であるという対比です。地域保健法は、市町村保健センターの目的として健康相談・保健指導・健康診査を明記しています。この規定を知っていれば、すぐに正答を選べます。
解説
地域保健法の考え方
地域保健法は、1994年に保健所法を改正・改称して成立した法律で、地域保健対策の基本となる事項を定めています。この法律の特徴は、役割分担をはっきりさせたことです。
- 住民に身近で利用頻度の高い保健サービスは市町村が担います。
- 専門的・技術的・広域的な業務は保健所が担います。
この流れに沿って、3歳児健康診査などの母子保健サービスの実施主体は、1997年に都道府県から市町村へ移されました。
市町村保健センター
地域保健法では、市町村は市町村保健センターを「設置することができる」とされており、設置は任意です。その目的は、住民に対して健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うこととされています(第18条)。所長を医師とする規定はありません。保健師を中心に、管理栄養士、歯科衛生士などの職種が活動します。
実際に保健センターで行われる主な事業には、次のものがあります。
- 母子保健:母子健康手帳の交付、乳幼児健康診査、新生児訪問、両親学級。1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査は、母子保健法により市町村に実施が義務づけられています。
- 成人・高齢者保健:健康増進法に基づくがん検診などの健康増進事業、健康教育、健康相談。
- 予防接種:予防接種法に基づく定期接種の実施主体は市町村長です。
保健所
保健所を設置するのは、都道府県、指定都市、中核市その他の政令で定める市、特別区です。所長は原則として医師です。業務は地域保健法第6条に列挙されており、主なものは次のとおりです。
- 感染症・結核・エイズなどの疾病の予防
- 食品衛生、環境衛生
- 医事・薬事
- 精神保健
- 治療法が確立していない疾病などで長期療養を要する者の保健(難病対策)
- 人口動態統計などの衛生統計
- 衛生上の試験・検査
このほか、市町村への技術的助言や市町村間の連絡調整を行い、健康危機管理の拠点としての役割も担います。
正答に至る判断
問題文は「地域保健法に規定されている市町村保健センターの業務」を問うています。同法の条文に「健康診査」が明記されているため、選択肢2が正答です。
臨床でもこの区別は役立ちます。退院支援で、育児不安のある産後の母親や、健診・健康相談が必要な住民は、市町村保健センターの保健師につなぎます。結核、精神保健福祉、難病の療養支援などでは保健所と連携します。このように、つなぎ先を判断する場面で使える知識です。
選択肢の確認
1.病気の治療:病気の診断や治療は、医療法に基づく病院・診療所が医師の指示のもとで行う医療です。市町村保健センターは予防と健康づくりを目的とする施設で、診療は目的としていません。健診で異常が見つかった場合、保健センターは受診勧奨を行って医療機関へつなぎます。「健診で異常を見つける」ことと「治療する」ことを混同しないように注意します。
2.住民の健康診査:正答。地域保健法は、市町村保健センターを健康相談・保健指導・健康診査などを行う施設と定めています。乳幼児健康診査やがん検診などは、保健センターを会場に行われる代表的な事業です。なお、40〜74歳を対象とする特定健康診査の実施主体は医療保険者です。市町村国保の場合は、市町村が保険者として実施します。
3.看護師免許申請の受理:看護師免許は厚生労働大臣が与える免許です。保健師助産師看護師法とその施行令により、申請は住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出します。実際の受付窓口は、多くの場合都道府県の保健所です。市町村保健センターが免許申請を受理する仕組みはありません。准看護師免許は都道府県知事が与える点もあわせて押さえます。
4.専門的で広域的な健康課題への対応:この内容は、地域保健法上の保健所の役割です。具体的には、感染症の発生時の調査と対応、食品衛生・環境衛生の監視、医事・薬事、精神保健、難病対策、健康危機管理などが該当します。保健所はこれらに加えて、市町村に技術的援助を行う立場にあります。保健所と保健センターの役割を取り違えさせるための選択肢です。
覚えるポイント
- 市町村保健センター:市町村が任意で設置します。健康相談・保健指導・健康診査など、住民に身近な対人保健サービスを行います。所長に医師の要件はありません。
- 保健所:都道府県・指定都市・中核市・政令で定める市・特別区が設置し、所長は原則医師です。感染症、食品・環境衛生、医事・薬事、精神保健、難病、衛生統計、健康危機管理、市町村への技術的援助を担います。
- 1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査は、母子保健法により市町村が実施します。定期予防接種の実施主体は市町村長、特定健康診査の実施主体は医療保険者です。
- 看護師免許は厚生労働大臣免許で、申請は住所地の都道府県知事を経由します(窓口は保健所が多い)。准看護師は都道府県知事免許です。
- 業務に従事する保健師・助産師・看護師・准看護師は、2年ごとに12月31日現在の状況を、翌年1月15日までに就業地の都道府県知事へ届け出ます(業務従事者届)。
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