112AM060|第112回 看護師国家試験 過去問

母子保健法に規定されているのはどれか。

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正解: 1

正答

1.母子健康包括支援センター

この問題のポイント

母子に関わる施設・事業・用語について、根拠となる法律を問う問題です。母性と乳幼児の健康の保持増進を目的とする母子保健法と、児童の養育や福祉、虐待予防を担う児童福祉法を区別できるかが鍵です。4つとも母子に関係しますが、出題当時に母子保健法に規定されていたのは母子健康包括支援センターだけで、残りの3つは児童福祉法に規定されています。

解説

母子保健法と児童福祉法の役割の違い

母子保健法は、母性と乳児・幼児の健康の保持増進を図るため、保健指導、健康診査、医療などを定めた法律です。実施主体は原則として市町村です。主な規定は次のとおりです。

  • 妊娠の届出と母子健康手帳の交付
  • 妊産婦・乳幼児の保健指導、新生児・妊産婦・未熟児の訪問指導
  • 1歳6か月児健康診査・3歳児健康診査(市町村の実施義務)、妊産婦・乳幼児の健康診査
  • 低体重児(出生時体重2,500g未満)の届出
  • 入院して養育を受ける必要がある未熟児への養育医療の給付
  • 産後ケア事業(市町村の努力義務)

児童福祉法は、すべての児童の福祉を保障する法律です。児童福祉施設(助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所など)、子育て支援事業、支援を要する児童や家庭への対応を定めています。「健診・保健指導・母子健康手帳・未熟児の養育医療」は母子保健法、「児童福祉施設・子育て支援事業としての訪問・支援を要する児童や妊婦への対応」は児童福祉法と整理すると判別しやすくなります。

ただし、「医療の給付なら母子保健法」と広げて覚えるのは誤りです。子どもの医療を公費で支える制度のうち、母子保健法に規定されているのは未熟児の養育医療だけです。小児慢性特定疾病医療費の支給と、結核にかかっている児童の療育の給付は児童福祉法に規定されています。育成医療は障害者総合支援法の自立支援医療です。これらの根拠法の区別はよく問われるので、制度名と法律を組にして押さえます。

母子健康包括支援センター

2016年の法改正で母子保健法に規定され(2017年4月施行)、市町村に設置の努力義務が課されました。通称は「子育て世代包括支援センター」です。妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う拠点で、保健師などが次の業務を担います。

  • 妊産婦・乳幼児の実情の把握
  • 妊娠・出産・子育ての相談への対応と保健指導
  • 必要に応じた支援プランの策定
  • 医療機関や子育て支援機関との連絡調整

妊娠の届出や母子健康手帳交付時の面接をきっかけに、支援が必要な妊婦を早く把握し、児童虐待の予防につなげる役割もあります。

出題当時(2023年2月)は、このセンターは母子保健法に規定されていました。その後、2022年の児童福祉法等の改正により、2024年4月から、児童福祉法に基づく子ども家庭総合支援拠点と一体化した「こども家庭センター」に再編されています。こども家庭センターは児童福祉法に規定され、母子保健と児童福祉の両方の機能を一体的に担います。設置は市町村の努力義務です。今後の問題ではこの名称で問われる可能性があります。

混同しやすい2つの訪問

新生児訪問指導は母子保健法の事業です。市町村長が育児上必要と認めた新生児(出生後28日を経過しない乳児)の保護者を、保健師や助産師などが訪問して保健指導を行います。乳児家庭全戸訪問事業は児童福祉法の事業で、生後4か月までの乳児がいる全家庭が対象です。実際には両者を併せて実施する自治体も多いため、根拠法の区別が問われやすくなります。

選択肢の確認

1.母子健康包括支援センター:正答。2016年の法改正で母子保健法に規定された、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の拠点です。市町村に設置の努力義務があり、通称は子育て世代包括支援センターです。2024年4月からは児童福祉法上のこども家庭センターに再編されていますが、出題当時の根拠法は母子保健法です。

2.乳児家庭全戸訪問事業:生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問する児童福祉法上の事業で、通称は「こんにちは赤ちゃん事業」です。子育ての情報提供や養育環境の把握を行い、子育ての孤立を防ぎます。支援が必要な家庭は、同じく児童福祉法に基づく養育支援訪問事業などにつなぎます。母子保健法の新生児訪問指導と取り違えやすいため、根拠法と対象で区別します。新生児訪問指導は育児上必要と認めた新生児が対象で、この事業はすべての乳児家庭が対象です。

3.助産施設:児童福祉法に定められた児童福祉施設の一つです。保健上必要があるのに経済的理由で入院助産を受けられない妊産婦を入所させ、助産を受けさせます。医療法上の病院(第一種)や助産所(第二種)が、児童福祉法上のこの施設としての役割を担う仕組みです。そのため、医療法に規定される助産所そのものとは別の概念です。「助産」という語から母子保健法を連想しやすいですが、経済的困窮に対する福祉の措置です。

4.特定妊婦:児童福祉法に定義された用語で、出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦を指します。若年妊娠、望まない妊娠、経済的困窮、妊婦健康診査の未受診などが把握の手がかりになります。要保護児童対策地域協議会の支援対象に、要保護児童・要支援児童とともに含まれます。妊娠届出時の面接など母子保健の場面で把握されることが多いため、母子保健法の用語と誤解しやすい点に注意します。

覚えるポイント

  • 母子保健法は健康の仕組みを定めます。妊娠の届出、母子健康手帳、保健指導、新生児・妊産婦・未熟児の訪問指導、1歳6か月児・3歳児健康診査、低体重児の届出(2,500g未満)、未熟児の養育医療、産後ケア事業、母子健康包括支援センター(出題当時)がこれにあたります。
  • 児童福祉法は福祉の仕組みを定めます。助産施設・乳児院・母子生活支援施設などの児童福祉施設、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、特定妊婦・要支援児童・要保護児童、要保護児童対策地域協議会がこれにあたります。
  • 子どもの医療の公費制度は根拠法で区別します。母子保健法に規定されているのは未熟児の養育医療だけです。小児慢性特定疾病医療費と結核児童の療育の給付は児童福祉法、育成医療は障害者総合支援法の自立支援医療です。
  • 訪問事業も根拠法で区別します。新生児訪問指導は母子保健法、生後4か月までの全戸訪問は児童福祉法です。
  • 2024年4月から、母子健康包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点は、児童福祉法上の「こども家庭センター」に一体化されました。
  • 周辺の法律も区別しておきます。不妊手術・人工妊娠中絶・受胎調節実地指導は母体保護法、助産所の開設や管理は医療法、助産師の業務は保健師助産師看護師法に規定されています。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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