112PM017|第112回 看護師国家試験 過去問

上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。

この問題のポイント

上腕での聴診法による血圧測定について、正しい手技を問う問題です。マンシェットの幅・巻く位置・巻く強さ・高さの4つは、どれも誤ると測定値がずれるため繰り返し出題されます。それぞれの標準値と、誤ったときに測定値が高く出るのか低く出るのかを理由とあわせて押さえることが鍵です。

解説

聴診法は、マンシェットのゴム嚢で上腕動脈を圧迫していったん血流を止めます。そこから圧を下げていき、血流が再開するときに生じるコロトコフ音を聴きます。音が聞こえ始めた圧が収縮期血圧、音が消えた圧が拡張期血圧です。マンシェットの圧が動脈にそのまま伝わり、その圧が心臓の高さの血圧を表しているという前提が成り立って、初めて正しい値になります。条件の一つひとつは、この前提を守るためのものです。

高さ(心臓と同じ高さ)
血圧は、基準点である心臓(右心房)の高さでの値として評価します。測定部位が心臓より低いと、高さの差の分だけ血液の重さによる圧(静水圧)が加わり、実際より高く測定されます。逆に心臓より高いと低く測定されます。高さが約10 cm違うと、およそ7〜8 mmHgの差が生じます。座位では上腕を机や枕に載せ、マンシェットを巻いた部分を心臓の高さにそろえます。立位では腕を支えて、下垂させないようにします。

幅
ゴム嚢の幅が上腕に対して狭すぎると、動脈に圧が十分に伝わりません。そのため血流を止めるのに高い圧が必要になり、測定値は高くなります。広すぎると低くなります。成人では12〜14 cm程度の幅を用い、小児では年齢や体格に応じて細いものを選びます。上腕が太い人には、太い腕用の大きなマンシェットを使います。

巻く位置
ゴム嚢の中央が上腕動脈の真上にくるように巻き、下端は肘窩より2〜3 cm上にします。肘窩は上腕動脈を触れて聴診器を当てる場所なので、そこを空けておく必要があります。

巻く強さ
指が1〜2本入る程度に巻きます。緩すぎると、ゴム嚢が膨らんでから動脈を圧迫するまでに余分な圧がかかり、測定値は高くなります。きつすぎると加圧前から動脈が圧迫されて、低くなります。

その他の手順

  • 測定前に数分間安静にし、測定中は会話をしないようにします。
  • 最初に触診法で収縮期血圧のおよその値を確かめておきます。これで、音がいったん途切れる聴診間隙による見落としを防げます。
  • 加圧は、触診法で得た収縮期血圧より20〜30 mmHg高いところまで行います。減圧はゆっくり(1秒に2〜3 mmHg程度)行います。

測定する腕の選び方
シャントのある腕、点滴中の腕、乳がん術後でリンパ節郭清を行った側、麻痺側は避けます。臨床では、患者を守るためのこの判断も手技と同じくらい重要です。

選択肢の確認

1.成人では9〜10 cm幅のマンシェットを用いる。:9〜10 cm幅は小児向けの幅で、成人では12〜14 cm程度の幅を用います。成人に細いマンシェットを使うと動脈に圧が十分に伝わらず、測定値が実際より高く出ます。9 cm前後の幅は学童期の小児に選ぶことがある幅なので、小児のマンシェットの選び方と混同しないようにします。

2.マンシェットの下端と肘窩が重なるように巻く。:下端は肘窩より2〜3 cm上に置き、肘窩は聴診器を当てるために空けておくのが正しい方法です。重なるように巻くと、聴診器の膜面をマンシェットの下に差し込むことになります。すると余分な圧迫や擦れる音が入り、コロトコフ音を正確に聴き取れません。ゴム嚢の位置も上腕動脈の走行からずれやすくなります。

3.マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。:正答。血圧は心臓(右心房)の高さでの値として評価するため、装着部位を心臓の高さにそろえます。心臓より低い位置で測ると静水圧の分だけ高く、高い位置で測ると低く測定されます。臥位・座位・立位のどの体位でも守るべき基本です。

4.マンシェットと腕の間に指が3、4本入る程度の強さで巻く。:適切な締め具合は指が1〜2本入る程度で、3、4本入るのは緩すぎます。緩いと、ゴム嚢が膨らんで腕に密着するまでに圧が使われるため、測定値は実際より高く出ます。逆にきつすぎると、加圧前から動脈が圧迫されて低く出ます。

覚えるポイント

  • 測定部位は心臓(右心房)と同じ高さにします。低いと高値、高いと低値になり、10 cmの差で約7〜8 mmHgずれます。
  • マンシェットの幅は成人で12〜14 cm程度です。狭いと高値、広いと低値になります。
  • 下端は肘窩の2〜3 cm上、締め具合は指1〜2本です。緩いと高値、きついと低値になります。
  • 加圧は触診法で得た収縮期血圧の20〜30 mmHg上まで行い、減圧は1秒に2〜3 mmHg程度でゆっくり行います。
  • シャント側、点滴側、乳がん術後の郭清側、麻痺側では測定しません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

関連問題

← 112PM016112PM018 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)