112PM070|第112回 看護師国家試験 過去問

医療法に基づき医療機関が医療の安全を確保する目的で行うのはどれか。

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正解: 3

正答

3.医療の安全を確保するための指針を策定する。

この問題のポイント

医療法が定める医療安全の仕組みについて、「医療機関(病院等の管理者)が行うこと」と「行政や関係団体が行うこと」を区別できるかを問う問題です。手がかりは問題文の「医療機関が」という主語です。医療法は病院・診療所・助産所の管理者に、指針の策定や職員研修の実施など院内の安全管理体制を整えることを義務づけています。研修の頻度が「年2回程度」であることも合わせて押さえます。

解説

問題文の手がかり

問題文には判断の鍵が2つあります。1つは「医療法に基づき」で、法令が求める内容を答えることになります。もう1つは「医療機関が」で、実施主体を特定することになります。選択肢には、実施主体が医療機関ではないもの(選択肢1・2)と、実施主体は正しいが頻度が規定と異なるもの(選択肢4)が混ざっています。主体と頻度の2点を確認すれば正答にたどり着けます。

医療法が医療機関に求める安全管理体制

医療法第6条の12は、病院等の管理者に対し、「医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置」を講じるよう義務づけています。選択肢3は、この条文の言葉とほぼ同じ表現です。

具体的な内容は医療法施行規則で定められており、次の4つが基本です。

  • 医療に係る安全管理のための指針の整備
  • 医療に係る安全管理のための委員会の開催(入院施設のない診療所と入所施設のない助産所は除かれます)
  • 医療に係る安全管理のための職員研修の実施
  • 事故報告など、医療の安全確保を目的とした改善のための方策

厚生労働省の通知では、職員研修は年2回程度定期的に開催し、ほかにも必要に応じて開催すること、実施内容を記録することとされています。委員会はおおむね月1回開催し、重大な問題が起きたときには適宜開催するとされています。指針には、安全管理の基本的な考え方、委員会などの組織、職員研修の方針、事故報告と改善策の方針、医療事故が起きたときの対応、患者との情報共有(患者が指針を閲覧できるようにすることを含む)、患者からの相談への対応などを盛り込みます。

医療機関の義務はこの4つにとどまりません。院内感染対策についても、指針・委員会・研修の整備が求められます。医薬品安全管理責任者と医療機器安全管理責任者を置き、医薬品と医療機器を安全に使用・管理する体制をつくることも必要です。また、2015年10月に始まった医療事故調査制度では、医療に起因する(または起因すると疑われる)予期しなかった死亡・死産が起きた場合、管理者は医療事故調査・支援センターに報告し、院内調査を行わなければなりません。特定機能病院には、医療安全管理部門の設置や専従の医療安全管理者の配置など、さらに厳しい要件があります。

行政や関係団体の役割との区別

医療法は、国や自治体の役割も定めています。代表的なものが医療安全支援センターです。都道府県、保健所を設置する市、特別区が設置に努めることとされており、患者や家族からの医療に関する苦情・相談に応じて助言や情報提供を行います。医療機関に対しても、必要な情報提供や助言を行います。医療機関の内部に置く組織ではなく、中立的な立場の行政機関である点が重要です。

臨床での意味

看護師にとって、この体制は日常業務と直結しています。インシデント・アクシデントレポートの提出は「改善のための方策」の一部です。院内の医療安全研修に参加することは、管理者が実施する「職員研修」を受けることにあたります。個人の注意力に頼るのではなく、組織として仕組みで事故を防ぐという考え方が、医療法の規定の土台になっています。

選択肢の確認

1.医療安全支援センターを設置する。:医療安全支援センターは、医療法に基づいて都道府県・保健所を設置する市・特別区が設置に努める行政の機関です。患者や家族からの苦情・相談を中立的な立場で受け付けるため、医療機関が自ら設置するものではありません。院内の患者相談窓口と混同しやすいので注意します。また、医療事故の報告を受ける「医療事故調査・支援センター」(厚生労働大臣が指定する民間法人)とも名前が似ていますが、別の組織です。

2.医療安全管理者養成研修を実施する。:医療安全管理者養成研修は、医療安全管理者を育てるために日本看護協会などの関係団体が実施する研修です。医療法が医療機関に義務づけているものではありません。医療機関の義務は、自施設の職員全体を対象とする医療安全の研修を行うことです。医療機関は職員をこの養成研修に派遣して医療安全管理者を育てる側であり、研修を実施する側ではない、と整理して覚えます。

3.医療の安全を確保するための指針を策定する。:正答。医療法第6条の12は、病院等の管理者が講じるべき措置として「医療の安全を確保するための指針の策定」を明記しています。施行規則でも、安全管理体制の中心として指針の整備が挙げられています。指針は、委員会・研修・事故報告・患者対応などの方針をまとめた、院内の医療安全活動の基本となる文書です。

4.医療安全管理のために必要な研修を2年に1回実施する。:医療機関が職員研修を行うこと自体は医療法上の義務ですが、頻度が規定と合いません。厚生労働省の通知では、研修は年2回程度定期的に開催し、必要に応じて追加で開催するとされています。2年に1回では少なすぎるため、医療機関が行うべき内容としては不適切です。この選択肢は「研修の実施」という正しい要素に誤った頻度を組み合わせたひっかけです。

覚えるポイント

  • 医療法は病院等の管理者に、安全管理体制として「指針の整備」「委員会の開催」「職員研修の実施」「事故報告などの改善方策」を義務づけています。
  • 頻度の目安は、職員研修が年2回程度、安全管理委員会が月1回程度です。入院施設のない診療所は委員会の設置が不要です。
  • 医療安全支援センターは都道府県・保健所設置市・特別区が設置し、患者・家族の苦情・相談に対応する機関です。医療機関が設置するものではありません。
  • 医療事故調査制度(2015年10月開始)では、予期しなかった死亡・死産について、管理者が医療事故調査・支援センターへの報告と院内調査を行います。
  • 院内感染対策、医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者も、医療機関が整える安全管理体制に含まれます。
  • 制度の問題では「誰が(実施主体)」「何を」「どのくらいの頻度で」の3点を確認すると、ひっかけの選択肢を見抜けます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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