112PM075|第112回 看護師国家試験 過去問

膀胱の蓄尿と排尿反射で正しいのはどれか。

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正解: 3

正答

3.蓄尿時に内尿道括約筋は収縮する。

この問題のポイント

蓄尿期と排尿期に、排尿筋・内尿道括約筋・外尿道括約筋がそれぞれ収縮するのか弛緩するのか、それをどの神経が支配しているのかを問う問題です。蓄尿では交感神経と陰部神経が働き、膀胱をゆるめて出口を締めます。排尿では副交感神経が働き、膀胱を縮めて出口をゆるめます。この対の関係を押さえれば、5つの選択肢すべてを判定できます。

解説

登場する筋と神経

蓄尿と排尿には、次の3つの筋が関わります。

  • 排尿筋:膀胱壁の平滑筋です。自分の意思では動かせません(不随意)。
  • 内尿道括約筋:膀胱頸部にある平滑筋で、これも不随意です。
  • 外尿道括約筋:尿道を取り巻く横紋筋で、意識して締められます(随意)。

これらを支配する神経は次の3つです。

  • 下腹神経:交感神経で、胸腰髄から出ます。
  • 骨盤神経:副交感神経で、仙髄(S2〜S4)から出ます。
  • 陰部神経:体性神経で、仙髄(S2〜S4)から出ます。

蓄尿期と排尿期のしくみ

蓄尿期は交感神経(下腹神経)が優位です。排尿筋はβ3受容体を介して弛緩し、膀胱は内圧をあまり上げずに広がります。内尿道括約筋はα1受容体を介して収縮し、膀胱頸部を閉じます。さらに陰部神経が外尿道括約筋を収縮させ、尿道を閉じます。つまり「袋はゆるめ、出口は締める」状態です。

尿がたまって膀胱壁が伸びると、その情報が骨盤神経の求心線維を通って仙髄に入ります。そこから橋の排尿中枢と大脳へ伝わり、尿意として自覚されます。成人の膀胱容量はおよそ300〜500mLで、それより少ない段階から尿意を感じ始めます。大脳(前頭葉)は橋の排尿中枢を抑えているので、トイレに行ける状況になるまで我慢できます。

排尿してよい状況になると、大脳の抑制が外れます。すると橋の排尿中枢から仙髄の排尿中枢へ指令が送られ、排尿反射が起こります。副交感神経(骨盤神経)の終末からアセチルコリンが放出され、ムスカリン受容体(主にM3)を介して排尿筋が収縮します。同時に交感神経の働きが抑えられて内尿道括約筋が弛緩し、陰部神経の働きも抑えられて外尿道括約筋が弛緩します。「袋は縮め、出口はゆるめる」ことで尿が出ていきます。橋の排尿中枢には、排尿筋の収縮と括約筋の弛緩を同時に起こさせる協調の役割もあります。

臨床とのつながり

  • 抗コリン薬は排尿筋の収縮を抑えるため、過活動膀胱の治療に使われます。一方で副作用として尿閉を起こすことがあり、前立腺肥大症で排尿障害がある人には注意が必要です。抗コリン作用をもつ三環系抗うつ薬や一部の抗ヒスタミン薬でも同じことが起こりえます。
  • α1遮断薬は内尿道括約筋や前立腺の平滑筋をゆるめるため、前立腺肥大症の排尿困難の改善に使われます。
  • β3作動薬は排尿筋をゆるめて蓄尿を助けるため、過活動膀胱に使われます。
  • 橋と仙髄の間の脊髄損傷では、上位からの制御が失われます。その結果、排尿筋が反射的に収縮しやすくなり、排尿筋と外尿道括約筋の協調も乱れます(排尿筋括約筋協調不全)。
  • 仙髄や末梢神経の障害では、排尿筋が収縮しにくい弛緩性の膀胱になり、尿閉や溢流性尿失禁が起こります。糖尿病性神経障害や、直腸がんなど骨盤内の手術後が代表例です。
  • 骨盤底筋訓練は、外尿道括約筋を含む骨盤底筋を鍛える方法で、腹圧性尿失禁の改善に用いられます。

選択肢の確認

1.排尿中枢はホルモンによって制御される。:排尿中枢は仙髄と橋にあり、大脳からの抑制を受けながら、骨盤神経・下腹神経・陰部神経という神経の働きで制御されています。ホルモンが主に関わるのは、腎臓でつくられる尿の量です。たとえば抗利尿ホルモン(バソプレシン)は、集合管での水の再吸収を促して尿量を減らします。「尿をつくる量の調節(ホルモン)」と「ためて出す調節(神経)」を取り違えさせる選択肢です。

2.排尿反射は交感神経を介して起こる。:排尿反射で排尿筋を収縮させる神経は、副交感神経である骨盤神経です。交感神経(下腹神経)はむしろ排尿筋をゆるめ、内尿道括約筋を締める蓄尿側の神経です。「排尿反射」を「蓄尿」に置き換えれば正しい内容になります。この入れ替えは頻出のひっかけです。

3.蓄尿時に内尿道括約筋は収縮する。:正答。蓄尿期には交感神経(下腹神経)がα1受容体を介して内尿道括約筋を収縮させ、膀胱頸部を閉じて尿がもれるのを防ぎます。内尿道括約筋は平滑筋で、自分の意思では調節できません。

4.排尿時に外尿道括約筋は収縮する。:排尿時には陰部神経の働きが抑えられ、外尿道括約筋は弛緩して尿道が開きます。外尿道括約筋が収縮するのは蓄尿時です。尿意を感じても意識して尿を我慢できるのは、この横紋筋を随意的に締められるためです。

5.蓄尿時に排尿筋は収縮する。:蓄尿時の排尿筋は、交感神経のβ3受容体を介して弛緩しています。そのため、尿が増えても内圧を低く保ったまま膀胱が広がります。排尿筋が収縮するのは排尿時で、副交感神経(骨盤神経)のアセチルコリンが作用したときです。

覚えるポイント

  • 蓄尿は交感神経(下腹神経)が担います。排尿筋は弛緩(β3)、内尿道括約筋は収縮(α1)し、陰部神経が外尿道括約筋を収縮させます。
  • 排尿は副交感神経(骨盤神経)が担います。アセチルコリン・M3受容体で排尿筋が収縮し、内・外の尿道括約筋はともに弛緩します。
  • 内尿道括約筋は平滑筋で不随意、外尿道括約筋は横紋筋で随意(陰部神経)です。
  • 排尿中枢は仙髄(S2〜S4)と橋にあり、大脳が抑制しています。ホルモン(抗利尿ホルモンなど)が調節するのは尿の生成量です。
  • 薬の作用と副作用は、抗コリン薬が尿閉、α1遮断薬が排尿困難の改善、β3作動薬が蓄尿の改善、と神経支配から考えて覚えます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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