112PM081|第112回 看護師国家試験 過去問

介護保険サービスを利用して購入できるのはどれか。

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正解: 1

正答

1.簡易浴槽

この問題のポイント

介護保険の福祉用具には、レンタルする「福祉用具貸与」と、購入費が支給される「特定福祉用具販売」があり、そのどちらに分類されるかを問う問題です。判断の鍵は、肌に直接触れる、他人が使ったものを再利用しにくい、といった貸与になじまない性質があるかどうかです。入浴・排泄に関わる用具は購入、寝起きや移動に関わる用具は貸与と整理すると解けます。

解説

介護保険法では、要介護者・要支援者の在宅生活を支えるため、福祉用具に関する給付を2つの形に分けています。

  • 福祉用具貸与:用具をレンタルし、利用者は1〜3割を負担します。区分支給限度基準額の範囲内で、他の居宅サービスと合わせて利用します。
  • 特定福祉用具販売:都道府県の指定を受けた事業者から購入した場合に、同一年度10万円を上限として購入費の7〜9割が支給されます。原則は償還払い(いったん全額を支払い、後で払い戻しを受ける)で、区分支給限度基準額とは別枠です。

原則は貸与です。レンタルであれば、心身の状態が変わったときに別の用具へ交換でき、専門職による点検や調整も受けられるからです。一方、厚生労働省は「他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの」「使用によってもとの形態・品質が変化し、再度利用できないもの」を貸与になじまないものとし、購入の対象にしています。

出題当時(2023年2月)の対象は次のとおりです。

  • 購入の対象(特定福祉用具):腰掛便座(ポータブルトイレを含む)、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器(2022年4月に追加)、入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分
  • 貸与の対象(13種目):車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すりとスロープ(いずれも取付け工事を伴わないもの)、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置

取付け工事を伴う手すりの設置や段差の解消は、福祉用具ではなく住宅改修の対象です。支給限度額は同一住宅で20万円で、これも区分支給限度基準額とは別枠です。

また、要支援1・2と要介護1の軽度者は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(いずれも付属品を含み、リフトはつり具を除く)の貸与を原則として受けられません。医師の意見などから必要性が認められた場合には、例外的に貸与されます。

簡易浴槽は、居室などで入浴するための持ち運べる浴槽で、湯とともに身体に直接触れます。このため購入の対象となり、選択肢1が正答です。退院支援で「自宅の浴室まで移動できない」「浴槽をまたげない」といった課題があるとき、看護師は用具が貸与か購入かを理解したうえで、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携して導入を提案します。

なお、2024年4月からは、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖について、貸与と購入のどちらかを選べる選択制が導入されています。この問題は出題当時の制度に基づいて判断します。

選択肢の確認

1.簡易浴槽:正答。空気式や折りたたみ式など容易に移動でき、取水・排水のための工事を伴わない浴槽で、特定福祉用具販売として購入費の支給対象です。湯とともに身体に直接触れ、他人が使ったものを再利用することへの心理的抵抗が大きいため、貸与ではなく購入とされています。浴室まで移動できない人が居室などで入浴する場面で用いられます。

2.特殊寝台:背上げ・脚上げの傾斜角度や床板の高さを調整できる介護用ベッドで、福祉用具貸与の対象です。身体の状態に応じて機種を替えられるレンタルが適しており、購入費の支給対象ではありません。軽度者(要支援1・2、要介護1)は原則として貸与の対象外です。マットレスやサイドレールなどの付属品も貸与であり、身体に触れる物がすべて購入というわけではない点に注意が必要です。

3.体位変換器:空気パッドなどを身体の下に差し込み、てこや空気圧などの力で仰臥位から側臥位・座位への体位変換を容易にする用具で、福祉用具貸与の対象です。体位の保持だけを目的とするクッション類は給付の対象になりません。褥瘡予防の場面では床ずれ防止用具とあわせて使われますが、どちらも貸与であり、軽度者は原則として貸与の対象外です。

4.移動用リフト:床走行式・固定式・据置式などのリフト本体は福祉用具貸与の対象であり、購入費の支給対象ではありません。ただし、身体を包んで直接触れるつり具の部分だけは特定福祉用具販売として購入の対象です。「本体は貸与、つり具は購入」という区別はよく問われる引っかけで、自動排泄処理装置の「本体は貸与、交換可能部品は購入」と同じ構造です。本体の貸与は、軽度者には原則として認められません。

5.取り付け工事を伴わないスロープ:段差に置いて車いすなどの移動を助ける用具で、出題当時は福祉用具貸与の対象でした。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえには軽度者の制限がなく、要支援者でも貸与を受けられます。工事を伴って段差を解消する場合は住宅改修の対象となり、工事の有無で給付の種類が分かれます。なお2024年4月からは、敷居などの小さな段差に置いて頻繁に持ち運ばない固定用スロープについて、貸与と購入を選べる選択制が導入されました。そのため現在は購入できる場合がありますが、出題当時の制度では貸与のみであり、正答にはなりません。

覚えるポイント

  • 購入(特定福祉用具販売)の対象は、肌に直接触れる、再利用に抵抗がある、使うと形や品質が変わるものです。具体的には腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具です。
  • 貸与の対象は、車いす・特殊寝台(各付属品を含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、工事を伴わない手すり・スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト本体、自動排泄処理装置です。
  • 移動用リフトは本体が貸与、つり具が購入です。自動排泄処理装置は本体が貸与、交換可能部品が購入です。
  • 福祉用具購入費は同一年度10万円、住宅改修費は同一住宅で20万円が上限で、いずれも区分支給限度基準額とは別枠です。工事を伴う手すり・スロープは住宅改修の対象です。
  • 軽度者(要支援1・2、要介護1)は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトの貸与を原則として受けられません。手すり・スロープ・歩行器・つえは利用できます。
  • 2024年4月から、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖、多点杖は貸与と購入の選択制になっています。出題当時の制度と区別して覚えます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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