112PM083|第112回 看護師国家試験 過去問
女子の第二次性徴に最も関与するホルモンはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1.エストロゲン
この問題のポイント
思春期の女子に現れる身体の変化(第二次性徴)を主に引き起こすホルモンを問う問題です。手がかりは「女子」と「第二次性徴」の2語です。思春期に卵巣から分泌が高まる性ステロイドホルモンと、その作用を結びつけられるかが鍵になります。男子の第二次性徴を担うホルモンや、身長の伸びに関わるホルモンとの区別も押さえておきましょう。
解説
第一次性徴と第二次性徴
第一次性徴は、出生時から見られる内性器・外性器の性差をいいます。第二次性徴は、思春期に性ホルモンの分泌が高まることで現れる、性器以外も含めた身体の性差です。女子では、乳房の発育、陰毛・腋毛の発生、皮下脂肪の沈着による丸みを帯びた体型、骨盤の発達、初経などがこれに当たります。
思春期に卵巣が働き始めるしくみとエストロゲンの作用
思春期になると、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が律動的(パルス状)に分泌されるようになります。これを受けて、下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が増えます。その刺激で卵巣の卵胞が発育し、卵胞の顆粒膜細胞からエストロゲン(卵胞ホルモン、主にエストラジオール)が分泌されます。
エストロゲンの主な作用は次のとおりです。
- 乳管の発達を促し、乳房をふくらませる
- 子宮・腟・外陰部を発育させ、子宮内膜を増殖させる
- 皮下脂肪を乳房・殿部・大腿に沈着させ、女性らしい体型をつくる
- 骨端線の閉鎖を促し、成長スパートの後に身長の伸びを止める
- 骨量を維持する
女子の第二次性徴の中心的な変化の多くを担っているため、「最も関与する」ホルモンはエストロゲンです。
ただし、女子の陰毛・腋毛の発生には、副腎や卵巣から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)が関わります。女子でも少量のアンドロゲンが分泌されている点は、ひっかけとして問われやすいところです。
卵巣から分泌されるもう1つの性ホルモンがプロゲステロン(黄体ホルモン)です。排卵後の黄体から分泌され、子宮内膜を分泌期に変えて妊娠の成立と維持に働き、基礎体温を上昇させます。第二次性徴の主役ではありません。
変化の順序と看護への活用
女子の思春期の変化は、一般に次の順に進みます。
乳房の発育 → 陰毛の発生 → 身長の急激な伸び(成長スパート)→ 初経
第二次性徴の進み具合はタナー分類で評価します。この順序を知っていると、成長発達の評価のときに、変化が早すぎる場合(思春期早発症)や遅すぎる場合に気づけます。
小児看護や学校保健では、この知識をもとに、初経や乳房の変化に戸惑う子どもへの説明や性教育を行います。また、神経性やせ症や過度な運動で体重が極端に減ると、エストロゲンが低下して無月経となり、骨量の低下を招きます。これもエストロゲンの作用から理解できます。
選択肢の確認
1.エストロゲン:正答。思春期に卵巣の顆粒膜細胞から分泌が高まる卵胞ホルモンです。乳房の発育、子宮・腟の発育、皮下脂肪の沈着による体型の変化、骨盤の発達をもたらし、初経に至る変化の中心を担います。骨端線の閉鎖を促して身長の伸びを止める作用もあります。
2.オキシトシン:視床下部の室傍核・視索上核で産生され、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。分娩時の子宮収縮と、授乳時の射乳(乳汁を押し出す反射)に関わり、第二次性徴の発現には関与しません。乳汁の産生を促すのは下垂体前葉のプロラクチンです。「射乳」と「乳汁産生」の担当を取り違えないようにしましょう。
3.成長ホルモン:下垂体前葉から分泌され、肝臓などでのインスリン様成長因子-1(IGF-1)の産生を介して、骨の長軸方向の成長を促します。思春期の身長の急激な伸びは、このホルモンと性ステロイドホルモンの協調で起こります。しかし、乳房の発育や初経といった性差をつくる変化そのものを引き起こすわけではありません。分泌が不足すると低身長の原因になります。
4.甲状腺ホルモン:甲状腺から分泌されるサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)で、全身の代謝を高め、骨の成長や脳・神経系の発達に欠かせません。先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)で成長障害や知的障害が起こるのはこのためで、新生児マススクリーニングの対象になっています。成長発達全般に必要ですが、女子の第二次性徴を特異的に引き起こすホルモンではありません。
5.テストステロン:精巣の間質細胞(ライディッヒ細胞)からLHの刺激で分泌される、アンドロゲンの代表です。男子の第二次性徴(精巣・陰茎の発育、変声、ひげや体毛の増加、筋肉量の増加など)を担います。女子でも少量のアンドロゲンが陰毛・腋毛の発生に関わりますが、女子の第二次性徴全体に最も関与するホルモンとはいえません。問題文の「女子」を見落とさないことが大切です。
覚えるポイント
- 女子の第二次性徴の中心はエストロゲン(卵巣の顆粒膜細胞)、男子はテストステロン(精巣の間質細胞)
- 女子の陰毛・腋毛にはアンドロゲン(副腎・卵巣由来)が関わる
- 思春期は「視床下部GnRH → 下垂体前葉FSH・LH → 卵巣からエストロゲン」という性腺軸の働きで始まる
- 女子の思春期の変化は「乳房の発育 → 陰毛 → 成長スパート → 初経」の順が一般的
- オキシトシン(下垂体後葉)は子宮収縮と射乳、プロラクチン(下垂体前葉)は乳汁産生
- 成長ホルモンは身長を伸ばし、エストロゲンは骨端線の閉鎖を促して伸びを止める
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。