Y2023M04Q36|2023年4月公表 エックス線作業主任者免許試験 過去問
ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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正解: 4
正答
(4)
この問題のポイント
全身線量が上がると造血器、消化管、中枢神経系の順に主な急性放射線症候群が移ります。全身急性被ばくでは、線量域に応じて造血器症候群、消化管症候群、中枢神経系症候群が現れます。LD50/60は60日以内に半数が死亡する線量で、主に造血障害が関与します。
解説
消化管症候群では腸上皮幹細胞の枯渇により粘膜障害、下痢、感染、体液喪失が進み、死亡はおおむね被ばく後の限られた期間に集中します。そのため、線量による差が造血器症候群ほど大きくなく、平均生存日数がほぼ一定とする4が正答です。造血器障害による死亡は通常、消化管障害より遅く起こります。
選択肢の確認
1.2Gy 以下の被ばくでは、放射線宿酔の症状が現れることはない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。2 Gy以下とする記述ですが、放射線宿酔は全身約1 Gyから現れ得ます。倦怠感、悪心、嘔吐などの前駆症状を否定している点が誤りです。
2.被ばくから死亡までの期間は、一般に、造血器官の障害による場合の方が、消化器官の障害による場合よりも短い。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。造血器障害による死亡は、消化管障害による死亡より一般に遅くなります。
3.被ばくした全てのヒトが60 日以内に死亡する線量の最小値は、約4Gy である。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。約4 GyはLD50/60に近い線量域であり、全員死亡の最小値ではありません。
4.消化器官の障害による死亡の場合、被ばくから死亡までの平均生存日数は、線量にあまり依存せず、ほぼ一定である。
○ 判定:正答(記述は正しい)。消化管症候群では死亡時期が比較的一定範囲に集まり、線量依存性は大きくありません。
5.5~10Gy 程度の被ばくによる死亡は、主に中枢神経系の障害によるものである。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。5~10 Gy程度では骨髄損傷による重篤な造血器障害が中心となり、線量域の上側では消化管障害も併発します。中枢神経系症候群は数十Gy級で主となるため、この線量域の記述は誤りです。
覚えるポイント
線量が上がる順に造血器→消化管→中枢神経。造血器症候群は数週単位、消化管症候群はより高線量で数日~2週程度に進むため、造血障害の方が死亡まで長いのが一般的です。線量が高い症候群ほど死亡までが短いと整理します。