38Q117|第38回 社会福祉士国家試験 過去問
事例を読んで、次のうち、A母子支援員(社会福祉士)が用いる単一事例実験計画法の記述として、適切なものを2つ選びなさい。 〔事 例〕 B母子生活支援施設のAは、夫の失踪による経済的困窮により6か月前から入所している軽度の知的障害のあるCさん(28歳)とDさん(6歳)を担当している。日頃からDさんの泣き声が聞こえているため事情を尋ねると次のように話した。「子どもの些細{ささい}な失敗に対してイライラし、つい怒鳴ってしまう。子どもも泣くし、私も落ち込んでしまう」。これを聞いたAは、「怒鳴りたくなった時の気持ちの落ち着け方について、定期的に私と検討し、実際に取り組んでみませんか」と提案した。また、Cさんの同意を得たうえで単一事例実験計画法を用いることにした。
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正解: 3・4
正答
3、4
この問題のポイント
単一事例実験計画法は、一人のクライエントについて標的となる行動・感情を操作的に定め、介入前後に反復測定して変化を可視化します。Cさん自身の「怒鳴る回数」と「落ち込み」を測る方法を選びます。
解説
この計画法では、まず支援目標に直結する標的を具体化し、介入前のベースラインと介入中・介入後のデータを同じ方法で繰り返し収集します。Cさんの怒鳴った回数は頻度として数値化でき、時系列グラフにすると、気持ちを落ち着ける取組の導入と変化との対応を視覚的に検討できます。また、セルフアンカード・レイティング・スケールは、Cさんにとっての状態の意味を両端等に置き、本人が程度を評定する個別化尺度なので、落ち込みの反復測定に適します。Dさんの表情や変化を単発・包括的に観察するだけでは、測定対象と指標、観察時点が明確でなく、Cさんへの介入効果を厳格に判断しにくいです。他の母親へのインタビューは集団の情報であり、一事例の反復測定ではありません。
選択肢の確認
1.Cさんに怒鳴られたときのDさんの表情を観察し、記録した。
誤り。Dさんの表情という定性的で曖昧な指標を単に記録するだけでは、Cさんの標的行動を反復測定する計画になりません。
2.入所している他の母親にインタビューを行い、Cさんの課題を把握した。
誤り。他の母親から情報を集める方法は、Cさん一人の介入前後の変化を反復測定する単一事例実験計画とは異なります。
3.Cさんの怒鳴った回数をグラフ化し変化を可視化する。
正答。標的行動の頻度を時系列で反復測定し、ベースラインと介入後の水準・傾向を視覚的に比較できます。
4.「セルフアンカード・レイティング・スケール」を用いて、Cさんの気持ちの落ち込みの変化を把握する。
正答。本人に即した尺度で落ち込みの程度を継続的に数値化し、介入に伴う変化を追跡できます。
5.取組後のDさんの変化を観察し、記録した。
誤り。取組後だけの観察では介入前との比較がなく、何をどの尺度で反復測定したかも不明なため、効果を評価できません。
覚えるポイント
単一事例実験計画は「標的の操作的定義・ベースライン・反復測定・時系列グラフ」が基本です。本人の主観も個別化尺度で測れます。