69AM006|第69回 臨床検査技師国家試験 過去問
61 歳の女性。有機農業従事者。腹痛で来院し、虫卵検査を行った。糞便の直接塗抹標本を別に示す。 考えられるのはどれか。

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正解: 1
正答
1.回虫卵
この問題のポイント
糞便中虫卵の大きさ、色、卵殻の厚さ、形を比較し、土壌媒介の回虫卵を同定する問題です。
解説
別冊No.2の直接塗抹像では、中央に褐色の楕円形虫卵が1個あり、周囲には厚い多層性の卵殻が見えます。内部は一つのまとまった顆粒状内容で、鉤虫卵のような明瞭な分割球はありません。右下の50 μmスケールと比べると長径はおよそ50〜70 μm程度で、回虫の受精卵に合う大きさです。画像には矢印や文字ラベルはなく、この形態とスケールが判断材料です。回虫Ascaris lumbricoidesの受精卵は通常、胆汁で褐色に着色し、厚い卵殻と外側の蛋白膜をもちます。蛋白膜の凹凸は標本によって目立たないことや脱落していることもあるため、本像では実際に明瞭な厚い殻、褐色、楕円形を重視します。糞便中へ排出された虫卵は土壌中で感染可能な幼虫包蔵卵となり、汚染野菜や手指を介して経口感染します。有機農業従事者という情報だけで感染を確定はできませんが、土壌への接触機会がある背景は形態診断と整合します。感染幼虫は腸管から侵入して肝・肺を移行した後、小腸で成虫となります。
選択肢の確認
1.回虫卵:正しい。褐色の楕円形、厚い多層性卵殻、約50〜70 μmという画像所見が受精回虫卵に一致します。
2.鉤虫卵:誤り。鉤虫卵は無色に近く薄い卵殻をもち、排出時に内部へ複数の分割球がみられます。
3.条虫卵:誤り。代表的なTaenia属の虫卵はより円形で、厚い殻に放射状条線を認め、内部に六鉤幼虫をもちます。
4.鞭虫卵:誤り。鞭虫卵は樽形またはレモン形で、両端に透明な栓状構造があります。
5.横川吸虫卵:誤り。横川吸虫卵は約30 μmと小型で、卵蓋と反対側の小突起が特徴です。
覚えるポイント
- 受精回虫卵は褐色、楕円形、厚い卵殻が基本所見である。
- 鉤虫卵は薄殻と分割球、鞭虫卵は両端の栓で見分ける。
- 回虫は土壌で発育した幼虫包蔵卵を経口摂取して感染する。
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