32AM051|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
38歳の男性。舌の異常を主訴として来院した。1か月前に異常に気付いたが、味覚に変化はなく、痛みやしびれなどの自覚症状はないという。初診時の口腔内写真(別冊午前No.14)を別に示す。 この疾患について正しいのはどれか。1つ選べ。

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正解: b
正答
b:舌乳頭の消失がみられる。
この問題のポイント
写真では舌背後方の正中部に、境界が比較的明瞭な菱形の赤い平坦部がある。これは糸状乳頭が失われた正中菱形舌炎の典型像で、無痛・味覚変化なしという経過にも合う。
解説
正中菱形舌炎は、舌背正中の分界溝より前方に菱形または楕円形の発赤・平滑面を生じる。病変部では糸状乳頭が萎縮・消失しており、周囲の乳頭を保つ舌背との境が写真でも確認できる。多くは自覚症状に乏しく、Candidaとの関連が指摘されるが、直ちに悪性化を意味する病変ではない。鉄欠乏性貧血による萎縮性舌炎なら、限局した正中部だけでなく舌背が広く平滑・発赤し、舌痛や口角炎などを伴うことがある。
選択肢の確認
- a 紫斑がみられる。:紫斑は粘膜下出血による暗赤色から紫色の斑であり、写真の乳頭を欠く赤い平滑面とは色調と成因が異なる。
- b 舌乳頭の消失がみられる。:病変中央は周囲より平滑で糸状乳頭が見えず、正中菱形舌炎の形態そのものを表している。
- c 口腔潜在的悪性疾患である。:正中菱形舌炎は発生学的要因やCandidaが関係する良性病変で、白板症などの口腔潜在的悪性疾患には分類されない。
- d 鉄欠乏性貧血が原因である。:鉄欠乏では舌全体に及ぶ乳頭萎縮を来しやすく、舌背正中後方に限局する菱形病変の原因説明にはならない。
覚えるポイント
「舌背正中後方・菱形・無痛・乳頭消失」は正中菱形舌炎。鉄欠乏性の平滑舌は局所ではなく広範な乳頭萎縮として捉える。