32AM052|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
64歳の女性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。約1年前から同部に違和感を自覚していたが、2か月前から症状が強くなってきたという。 3年前から糖尿病と骨粗鬆症のため薬物療法を受けている。初診時の口腔内写真(別冊午前No.15)を別に示す。 矢印で示すのはどれか。1つ選べ。

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正解: b
正答
b:腐骨
この問題のポイント
写真の矢印部は、下顎臼歯部の発赤した粘膜から露出する白色で硬そうな組織である。骨粗鬆症治療歴を伴うため、壊死して周囲の生活骨から分離した腐骨を考える。
解説
腐骨は血流を失って壊死し、生きた骨から分離した骨片である。写真では抜歯窩付近の粘膜が欠損し、その下から白色の骨様組織が露出している。骨粗鬆症治療に用いられるビスホスホネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬は、顎骨壊死〈MRONJ〉の重要な背景であり、糖尿病も創傷治癒遅延や感染の危険を高める。服薬名・投与経路・期間、抜歯歴、排膿や疼痛を確認し、自己判断で薬を中止させず主治医と連携する。
選択肢の確認
- a 水疱:上皮内または上皮下に液体が貯留した半球状の病変で、透明感や波動を示す。写真の白い硬組織露出には該当しない。
- b 腐骨:血行を失った骨片が口腔へ露出すると白色から黄白色に見え、骨粗鬆症の薬物療法歴を含む症例像と一致する。
- c 過角化:慢性刺激などで上皮角化層が厚くなった白斑で、粘膜表面に連続して見える。矢印部のような骨様の突出物ではない。
- d びらん:上皮の浅い欠損で赤い湿潤面をつくる病変であり、白色の硬い塊そのものを指す名称ではない。
覚えるポイント
骨吸収抑制薬使用者の顎骨露出ではMRONJを疑い、露出した壊死骨は腐骨と呼ぶ。水疱は液体、びらんは浅い上皮欠損、過角化は上皮の肥厚である。