32AM059|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
68歳の女性。頭部外傷で急性期病院に入院したため、食事時の注意点について歯科に問い合わせがあった。 摂食嚥下機能評価を行ったところ嚥下が可能であったが評価時の咳は認められなかった。 評価時の写真例(別冊午前No.20) を別に示す。 適切な指導内容はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c:嗄声を確認しながら食事をとる。
この問題のポイント
頭部外傷後で咳が出ないことは、安全な嚥下の保証にならない。声が湿性・嗄声へ変化していないかを食事中に確認すると、喉頭侵入や咽頭残留を疑う手掛かりになる。
解説
写真は頸部にセンサーを当てて嚥下音などを観察する評価場面である。咳反射が低下した患者では、食物が声門下へ入っても咳を生じない不顕性誤嚥〈サイレントアスピレーション〉があり得る。嚥下後の発声が湿ったガラガラ声や嗄声になれば、喉頭前庭への侵入や咽頭残留を疑い、食事を中断して精査につなげる。摂食条件の変更は一律に行わず、姿勢、食形態、一口量を個別評価して決める。
選択肢の確認
- a 一口量を少なくする。:少量化が送り込みをかえって難しくする患者もいるため、咳がないという情報だけから全員に指示する内容ではない。
- b 交互嚥下で水を用いる。:固形物と液体を交互に飲み咽頭残留を除く方法だが、薄い水は流速が速く、誤嚥リスクがあれば慎重な評価が必要である。
- c 嗄声を確認しながら食事をとる。:食前後の声質変化、とくに湿性嗄声は咽頭残留や喉頭侵入を示唆し、咳のない誤嚥を監視する実用的所見になる。
- d リクライニングの姿勢で食事をとる。:体幹後傾は重力方向を変える代償姿勢だが、角度や適応は障害部位により異なり、本例の情報だけでは選択できない。
覚えるポイント
「咳なし=誤嚥なし」ではない。サイレントアスピレーションを念頭に、嚥下後の湿性嗄声、呼吸状態、酸素化、発熱などを複合的に観察する。