32AM060|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
84 歳の女性。食事介助が困難であることを主訴として歯科訪問診療の依頼があった。特別養護老人ホームに入居しており、義歯を使用せず刻み食を全介助で摂取している。食事摂取後の口腔内写真(別冊午前No.21) を別に示す。 発音が困難と考えられるのはどれか。2 つ選べ。

2つ選択
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正解: a・b
正答
a:カ、b:タ
この問題のポイント
写真では着色した食物が舌背から頬側・口蓋側に広く残り、舌による食塊の回収と送り込みの低下が疑われる。舌の後方を使うカ行と舌尖を使うタ行が障害されやすい。
解説
カ行の子音/k/は舌後方を軟口蓋へ接触させ、いったん呼気を閉鎖してから開放する軟口蓋破裂音である。タ行の/t/は舌尖・舌端を上顎前歯の口蓋側から歯槽部へ接触させる歯茎破裂音で、いずれも舌の精密な挙上と接触が必要となる。写真の広範な食物残留は舌運動障害を示唆するため、この二つが選ばれる。義歯不使用による咀嚼低下も残留を増やすので、発音だけでなく義歯適合、舌圧、食形態、介助方法も評価する。
選択肢の確認
- a カ:舌背後部と軟口蓋で閉鎖を作るため、舌後方の挙上が弱いと/k/の破裂が不明瞭になる。
- b タ:舌尖を上顎歯槽部へ素早く接触・離開させる音で、舌尖運動が低下すると構音しにくい。
- c ハ:/h/は声門部で呼気を摩擦させる声門摩擦音であり、主要な構音点は舌と口蓋の接触ではない。
- d マ:/m/は上下口唇を閉鎖し、軟口蓋を下げて鼻腔へ共鳴させる両唇鼻音で、舌運動への依存が小さい。
覚えるポイント
構音点は、カ=舌後方と軟口蓋、タ=舌尖と歯槽部、ハ=声門、マ=上下口唇。舌運動低下では舌接触を要するカ・タが影響を受ける。