32AM084|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
60歳の女性。歯の疼痛を主訴として来院した。初診時の医療面接の一部を示す。 患者:いつも疲れているのに痛みでよく眠れないんです。 歯科衛生士:お仕事が忙しいのですか。 患者:仕事もですが、両親の介護で時間に余裕がないから、できるだけ少ない受診回数で痛みを取る治療をして欲しいです。 歯科衛生士:ご家族の介護で大変だったのですね。 用いたコミュニケーションスキルはどれか。2つ選べ。
2つ選択
解答・解説を見る
正解: a・c
正答
a:傾聴、c:共感的態度
この問題のポイント
歯科衛生士は患者の話を遮らず、仕事だけでなく介護負担と治療希望を聴き取っている。最後に「介護で大変だった」と感情を言語化して返しており、傾聴と共感を用いている。
解説
傾聴では、言葉の内容だけでなく疲労、不眠、時間的制約といった背景を注意深く聴き、開かれた質問や相づちで語りを促す。共感的態度は、相手の立場から感じている負担を理解し、その理解を「大変だったのですね」のように確認可能な形で返す。これにより患者は受け止められたと感じ、短い受診回数を望む理由も治療計画へ反映できる。安易に同意したり、すぐ助言することとは異なる。
選択肢の確認
- a 傾聴:疲労と不眠の訴えから仕事や介護の状況を引き出し、患者が希望を説明できるよう話を受け止めている。
- b 情報提供:治療方法、受診回数、セルフケアなどの事実を説明する発言は示されておらず、この応答の中心ではない。
- c 共感的態度:「ご家族の介護で大変だった」と患者の負担感を理解して言葉に返し、感情へ寄り添っている。
- d ゼロポジション:交流分析で自己・他者への肯定感が否定的な位置を指す概念で、面接技法としての応答名ではない。
覚えるポイント
傾聴は語りを丁寧に受け取る過程、共感は相手の感情・意味を理解して返す態度。情報提供は関係形成後に患者の希望へ合わせて行う。