32PM044|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
73 歳の女性。舌感の不良を主訴として来院した。診察の結果、下顎左側第一大臼歯の舌側根面う蝕に対してグラスアイオノマーセメント修復を行うことになった。 術前の口腔内写真(別冊午後No.12)を別に示す。 この材料を選択した理由はどれか。2 つ選べ。

2つ選択
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正解: b・d
正答
b:防湿の困難性、d:二次う蝕予防効果の期待
この問題のポイント
写真の病変は下顎大臼歯舌側の歯肉縁に近い根面う蝕で、唾液や歯肉溝滲出液を避けにくい。グラスアイオノマーセメントは湿潤に比較的寛容で、フッ化物を放出する。
解説
グラスアイオノマーセメントはポリアクリル酸とフルオロアルミノシリケートガラスの酸塩基反応で硬化し、エナメル質・象牙質のカルシウムへ化学的に結合する。レジン修復ほど完全な乾燥を要求しないため、防湿困難な根面・歯頸部病変や高齢者のう蝕に適する。またフッ化物の放出と再取り込みにより隣接歯質の再石灰化を支え、二次う蝕抑制が期待できる。一方、耐摩耗性や破折抵抗は複合レジン、金属、セラミックより低い。
選択肢の確認
- a 審美性の向上:歯冠色材料ではあるが透明感や研磨性はコンポジットレジンに劣り、この舌側根面での主な選択理由ではない。
- b 防湿の困難性:歯肉縁近くで唾液の影響を受ける部位でも、レジン系材料より湿潤条件に比較的対応しやすい。
- c 機械的強度の維持:脆性があり咬合力の強い部位では摩耗・破折に注意が必要で、高い機械的強度を期待して選ぶ材料ではない。
- d 二次う蝕予防効果の期待:継続的なフッ化物放出により修復物周囲の脱灰抑制と再石灰化促進が期待できる。
覚えるポイント
GICは歯質への化学的接着、フッ化物放出、比較的良好な湿潤対応が長所。短所は強度・耐摩耗性と審美性の限界である。