32PM086|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
56歳の男性。肺癌のため入院加療中である。骨に癌が転移したためデノスマブを投与中であるという。 口腔内の状況が悪化したため、歯科訪問診療の依頼があった。 口腔内写真(別冊午後No.36)を別に示す。丸で囲んだ部分は患部を示す。 歯科保健指導で適切なのはどれか。2 つ選べ。

2つ選択
解答・解説を見る
正解: a・d
正答
a:患部を清潔に保ちましょう。、d:刺激の少ない歯磨剤を使いましょう。
この問題のポイント
デノスマブは骨吸収を抑制し、薬剤関連顎骨壊死〈MRONJ〉のリスクがあります。写真の臼歯部患部には骨露出を疑う所見があり、感染を防ぐ低刺激の口腔清掃と保湿が必要です。
解説
デノスマブはRANKLを阻害して破骨細胞形成・機能を抑え、骨転移による骨関連事象を減らします。一方、顎骨では感染や外傷後のリモデリングが障害され、治癒しない骨露出・瘻孔を生じることがあります。患部周囲のプラークを軟らかいブラシで愛護的に除去し、刺激性・発泡性の低い歯磨剤を使って疼痛と粘膜刺激を避けます。乾燥は粘膜防御と創傷治癒を損なうため保湿します。含嗽だけでは歯面バイオフィルムを除去できず、患部を避けつつ残存歯・舌・義歯の機械的清掃を続けます。
選択肢の確認
- a 患部を清潔に保ちましょう。:細菌感染と炎症の増悪を抑えるため、出血や疼痛を起こさない範囲で周囲を愛護的に清掃します。
- b 患部はなるべく乾燥させましょう。:乾燥は粘膜の亀裂、疼痛、感染防御低下を招くため、口腔内は適度に保湿します。
- c 口腔ケアは含嗽だけにしましょう。:洗口液だけでは付着性バイオフィルムを除去できず、清掃可能な歯面にはブラシが必要です。
- d 刺激の少ない歯磨剤を使いましょう。:低発泡・低刺激の製品を選べば、患部への化学的・機械的刺激を抑えながら清掃を継続できます。
覚えるポイント
骨吸収抑制薬使用者では投薬歴・期間、疼痛、排膿、骨露出を確認し、抜歯など侵襲処置は主治医と歯科医師が連携して判断します。患者判断で薬を中止させません。