32PM102|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
神経性過食症を有する者の上顎前歯部に多くみられるのはどれか。 1 つ選べ。
解答・解説を見る
正解: c
正答
c:口蓋側エナメル質の損耗
この問題のポイント
神経性過食症で自己誘発性嘔吐を反復すると、胃酸が上顎前歯の口蓋側へ直接接触します。化学的脱灰による酸蝕で、エナメル質が滑沢に薄くなり損耗します。
解説
胃液は強酸性で、嘔吐を繰り返すと口蓋側から上顎前歯・臼歯の歯質を溶解します。この内因性酸による非細菌性歯質欠損はperimylolysisとも呼ばれ、表面が丸みを帯び、切縁が薄くなり、象牙質露出や知覚過敏を生じます。嘔吐直後の歯磨きは軟化歯質を摩耗させるため、まず水や重炭酸系洗口で酸を希釈・中和し、一定時間後に低侵襲で清掃します。歯科だけで終えず、摂食障害の治療チームと連携します。黒変、歯肉退縮、唇側楔状欠損は胃酸接触部位と機序が一致しません。
選択肢の確認
- a 歯質の黒変:酸蝕は歯面を溶解して平滑・陥凹化させる病変で、黒色変化を特徴とするう蝕とは機序が異なります。
- b 歯肉の退縮:退縮は歯周組織、薄い歯肉、ブラッシング外傷などと関係し、反復嘔吐の代表的前歯所見ではありません。
- c 口蓋側エナメル質の損耗:逆流した胃酸が最初に当たりやすい上顎前歯口蓋側で脱灰・酸蝕が進みます。
- d 唇側歯頸部のくさび状欠損:唇側楔状欠損はブラッシング摩耗や咬合応力などが関与し、胃酸の主接触面と異なります。
覚えるポイント
外因性酸は唇・頬側、嘔吐・逆流による内因性酸は上顎歯口蓋側に出やすいという分布を、問診と結び付けて覚えます。