33AM045|第33回 歯科衛生士国家試験 過去問
62歳の男性。上顎右側中切歯の動揺と冷水痛を主訴として来院した。昨日転倒し顔面を打撲したという。歯冠破折が認められたため、麻酔抜髄に先立ち、破折部および感染歯質を除去し隔壁を形成することになった。初診時のエックス線画像(A)と浸潤麻酔後、破折片を除去した時の口腔内写真(B)を別に示す。この治療における隔壁形成の目的はどれか。2つ選べ。

2つ選択
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正解: c・d
正答
c:クランプの固定、d:唾液の浸入防止
この問題のポイント
歯冠の大きな破折で健全な歯質が少ない歯に、根管治療前の隔壁を作る目的は、ラバーダムクランプを安定させ、治療部を唾液から隔離することです。
解説
写真Bでは上顎右側中切歯の歯冠が大きく失われ、そのままではラバーダムクランプを確実に把持できません。コンポジットレジンなどで歯冠周囲に隔壁を築造すると、クランプの維持部とラバーダムシートの封鎖縁を確保できます。その結果、根管内への唾液・細菌の侵入を防ぎ、洗浄液の口腔内漏出や器具誤飲も防止して、無菌的で安全な歯内療法を行えます。
選択肢の確認
- a 審美性の回復:隔壁形成の後に最終的な歯冠修復で審美性を回復しますが、麻酔抜髄前の隔壁の直接目的ではありません。
- b 接触点の付与:隣在歯との適切な接触関係は最終修復で重要ですが、本例の根管治療用隔壁に必須の主目的ではありません。
- c クランプの固定:破折で失われた歯冠周囲を再建し、ラバーダムクランプが脱離しない把持部を作ります。
- d 唾液の浸入防止:隔壁とラバーダムで治療歯を隔離し、唾液由来微生物の根管内汚染を防ぎます。
覚えるポイント
歯内療法前の隔壁は「クランプの維持」と「防湿・無菌的操作域の確保」が主目的です。最終補綴の審美性や接触点回復と、根管治療中の一時的隔壁を分けます。