47D022|第47回 救急救命士国家試験 過去問
72歳の男性。突然の胸部から背部に移動する引き裂かれる痛みのため、救急要請した。 救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数20/分。脈拍104/分、整。血圧156/84mmHg(右上肢)、208/112mmHg(左上肢)。SpO2値99%。全身に冷や汗を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。 搬送中、呼びかけに応答しなくなった。意識JCS100。呼吸数32/分。脈拍132/分、整。血圧78/50mmHg(左上肢)。頸静脈怒張を認める。心音は減弱し、呼吸音に異常を認めない。 病態変化を引き起こした成因はどれか。1つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4.心膜腔の液体貯留
この問題のポイント
血圧の左右差を伴う移動する引き裂かれる痛みは急性大動脈解離です。搬送中の急激な血圧低下、頸静脈怒張、心音減弱は、解離が上行大動脈から心膜腔へ出血して心タンポナーデを起こしたことを示します。
解説
上行大動脈の解離(スタンフォードA型)が心膜腔に破れると、心膜腔に血液が貯留して心タンポナーデとなり、血圧低下、頸静脈怒張、心音減弱(ベックの三徴)と意識障害が急速に進行します。本例では呼吸音に異常がないため胸腔への出血(血胸)ではなく、心膜腔の液体貯留が病態変化の原因です。冠動脈閉塞なら心電図変化と胸痛、腕頭動脈閉塞なら神経症状や血圧左右差、大動脈弁の機能不全なら拡張期雑音が主体になります。
選択肢の確認
1.右冠動脈の閉塞:心タンポナーデの所見は説明できません。
2.腕頭動脈の閉塞:血圧の左右差の原因ですが急変の主因ではありません。
3.胸膜腔の液体貯留:呼吸音に異常がなく否定的です。
4.心膜腔の液体貯留:頸静脈怒張と心音減弱を伴うショックの原因です。正答です。
5.大動脈弁の機能不全:ベックの三徴は説明できません。
覚えるポイント
「大動脈解離の急変=心タンポナーデ(血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱)を疑う」。