48D018第48回 救急救命士国家試験 過去問

60歳の女性。突然、胸から背中へ移動する痛みを訴えた後、左上下肢が動かなくなり、家族が救急要請した。 救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数18/分。脈拍96/分、整。血圧100/62mmHg(右上肢)、208/120mmHg(左上肢)。体温37.2℃。SpO2値97%。顔面を含む左片麻痺と構音障害とを認める。頸静脈怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。 この病態を引き起こした原因はどれか。1つ選べ。

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正解: 5

正答

5.腕頭動脈の血流障害

この問題のポイント

胸から背中へ移動する痛みと左右の上肢で100mmHg以上の血圧差は急性大動脈解離です。解離が腕頭動脈(右総頸動脈と右鎖骨下動脈の起始)に及ぶと、右上肢の血圧低下と右脳の虚血による左片麻痺が生じます。

解説

腕頭動脈は大動脈弓から最初に分岐し、右総頸動脈と右鎖骨下動脈に分かれます。解離がここに波及すると右上肢の血圧が下がり(右100/62mmHg、左208/120mmHg)、右内頸動脈の血流低下で右大脳半球が虚血に陥り、反対側の左片麻痺と構音障害が出現します。頸静脈怒張や心音の異常がないため心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全は否定的で、冠動脈閉塞や胸膜腔の液体貯留では片麻痺や血圧左右差を説明できません。

選択肢の確認

1.右冠動脈の閉塞:心筋梗塞の所見がなく片麻痺を説明できません。
2.胸膜腔の液体貯留:呼吸音に異常がなく否定的です。
3.心膜腔の液体貯留:頸静脈怒張がなく否定的です。
4.大動脈弁の機能不全:心音に異常がなく否定的です。
5.腕頭動脈の血流障害:右上肢の血圧低下と左片麻痺を説明します。正答です。

覚えるポイント

「大動脈解離+血圧左右差+片麻痺=分枝(腕頭動脈・頸動脈)への解離の波及」。血圧は高い側を採用します。

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