第105回
105AM037|第105回 助産師国家試験 過去問
妊娠初期の経腟超音波検査に関する記述で正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解1・2 または 1・3 または 1・4 または 2・3 または 2・4 または 3・4
正答
1.妊娠3週では胎囊が観察できない。
2.妊娠5週では胎児心拍動が観察できる。
3.妊娠8〜9週の頭殿長は妊娠週数確定に有用である。
4.妊娠9週で臍帯ヘルニアが観察できるのは正常範囲である。
公式正答は選択肢1と2です。ただし、選択肢1〜4から2つを選んだ組合せ(1と2、1と3、1と4、2と3、2と4、3と4)は、いずれも正答として扱われます。
この問題のポイント
妊娠初期の経腟超音波で、胎囊・胎児心拍動・頭殿長・生理的臍帯ヘルニアがそれぞれ妊娠何週ころに観察されるかを問う問題です。妊娠週数は最終月経の初日から数えます。そのうえで、所見が現れる順序と頭殿長の大きさの目安を知っていれば判断できます。本問では選択肢1〜4がいずれも正しい内容とみなされ、どの2つを選んでも正答とされました。明らかな誤りは選択肢5だけです。
解説
妊娠週数は最終月経の初日を0週0日として数え、分娩予定日は40週0日です。月経周期が28日の場合、排卵・受精は妊娠2週ころ、着床は妊娠3週ころに起こります。次の月経予定日は妊娠4週0日にあたります。発生学で使う「受精後○週」とは約2週のずれがあるため、どちらの数え方かを常に意識します。妊娠3週はまだ月経の遅れもなく、本人も妊娠に気づいていないことが多い時期です。
経腟超音波で所見が現れる順序
経腟走査は、探触子を子宮に近づけて高い周波数で観察できます。そのため、経腹走査よりおよそ1週早く所見をとらえられます。正常妊娠では、おおむね次の順に観察できるようになります。
- 胎囊:妊娠4週後半〜5週ころ。子宮内の円形の袋状の像として見えます。
- 卵黄囊:妊娠5週ころ。胎囊内のリング状の像で、子宮内妊娠と判断する有力な手がかりです。
- 胎芽と心拍動:妊娠5週後半〜6週ころ。心臓は受精後3週すぎ(妊娠5週ころ)に拍動を始めます。このため5週後半には心拍動をとらえられる例があり、6週ころには多くの例で確認できます。
週数に見合う所見がないときは、次の可能性を考えます。
- 排卵の遅れや最終月経の記憶違いによる週数のずれ
- 流産
- 異所性妊娠
異所性妊娠では、子宮内にたまった液体が胎囊のように見える偽胎囊がみられることがあります。そのため、卵黄囊や胎芽を確認して子宮内妊娠と判断します。1回の検査で結論を出さず、血中hCG値の推移とあわせて時間をおいて再検するのが基本です。
心拍動がまだ見えないと不安になる妊婦は多いものです。助産師は、週数と見え方の関係や再診の意味をわかりやすく伝えます。検査前には排尿を済ませてもらい、内診台での羞恥心やプライバシーにも配慮します。
頭殿長と妊娠週数の確認
頭殿長(CRL)は、胎児の正中矢状断で頭頂から殿部までを測った長さです。妊娠初期は発育の個体差が小さく、大きさと週数がよく一致します。そのため妊娠8〜11週ころの頭殿長からは、誤差数日程度で週数を推定できます。
この時期の計測値は、次のような場合に分娩予定日の決定・修正に使います。
- 月経不順や最終月経が不明な場合
- 最終月経から計算した週数と頭殿長による週数が大きくずれる場合
妊娠12週ころを過ぎると、胎児の屈曲・伸展の影響や個体差が大きくなります。そのため、以後は児頭大横径(BPD)などを用います。
頭殿長のおよその目安は、妊娠7週で約10 mm、8週で約15 mm、10週で約30 mm、12週で約50 mmです。8週以降は、およそ1週に10 mm前後ずつ大きくなります。正確な週数は、その後の妊娠管理すべての基準になります。たとえば、早産・正期産・過期産の判定、胎児発育の評価、分娩誘発の時期の判断などです。
生理的臍帯ヘルニア
中腸は発生の途中で急速に伸びますが、肝臓などが大きく、腹腔は相対的に狭くなっています。そのため中腸は妊娠8週前後に一時的に臍帯内へ脱出し、そこで回転しながら妊娠12週ころまでに腹腔内へ戻ります。したがって、妊娠8〜11週ころに臍帯付着部に腸管の像が見えるのは正常な発生過程で、生理的臍帯ヘルニアと呼ばれます。妊娠12週を過ぎても脱出が続く場合や、腸管以外に肝臓が脱出している場合は、病的な臍帯ヘルニアを疑います。
以上から、選択肢1〜4はいずれも正しい内容であり、誤っているのは選択肢5だけです。
選択肢の確認
1.妊娠3週では胎囊が観察できない。:正答。妊娠3週は受精後約1週で、胚盤胞が子宮内膜に着床していく時期です。胚はごく小さく、超音波で描出できる大きさの胎囊はまだありません。胎囊が見え始めるのは、経腟走査でも妊娠4週後半〜5週ころです。
2.妊娠5週では胎児心拍動が観察できる。:正答。心臓は妊娠5週ころに拍動を始め、経腟走査では妊娠5週後半から胎芽の心拍動を確認できる例があります。ただし5週前半は胎芽自体が見えないことが多く、多くの例で確認できるのは6週ころです。5週で心拍動が見えないことだけで異常とは判断せず、週数を見直して再検します。
3.妊娠8〜9週の頭殿長は妊娠週数確定に有用である。:正答。この時期は発育の個体差が小さく、頭殿長から誤差数日程度で週数を推定できるため、分娩予定日の確認・修正に用いられます。ただし、どの時期に測ってもよいわけではなく、妊娠12週ころを過ぎると頭殿長の精度は下がります。
4.妊娠9週で臍帯ヘルニアが観察できるのは正常範囲である。:正答。妊娠9週は、腸管が一時的に臍帯内へ脱出している生理的臍帯ヘルニアの時期にあたり、正常所見です。「臍帯ヘルニア」は通常、病的な腹壁の先天異常を指す語なので迷いやすい選択肢です。しかし、時期から生理的なものと判断できます。病的と考えるのは、12週以降も続く場合や肝臓が脱出している場合です。
5.妊娠10週の頭殿長は10 mmである。:頭殿長が10 mm前後になるのは妊娠7週ころで、妊娠10週では約30 mm、10週の終わりには40 mm前後に達するため、この記述は誤りです。妊娠10週と考えている時点で頭殿長が10 mm程度しかなければ、再評価が必要です。排卵の遅れなどによる週数のずれや、発育停止・流産を考えます。
覚えるポイント
- 妊娠週数は最終月経初日を0週0日として数えます。28日周期では受精が2週ころ、着床が3週ころ、月経予定日が4週0日、分娩予定日が40週0日です。
- 経腟超音波の目安は、胎囊が4週後半〜5週、卵黄囊が5週、胎芽・心拍動が5週後半〜6週です。経腹走査ではおよそ1週遅れます。
- 分娩予定日の確認・修正には妊娠8〜11週ころの頭殿長を用い、12週ころ以降はBPDなどに切り替えます。頭殿長は7週で約10 mm、8週で約15 mm、10週で約30 mm、12週で約50 mmです。
- 生理的臍帯ヘルニアは妊娠8〜11週ころにみられ、12週ころまでに消失します。持続する場合や肝臓の脱出は病的と考えます。
- 病的な臍帯ヘルニアは膜(ヘルニア囊)に覆われ、染色体異常など他の異常を合併しやすいのが特徴です。腹壁破裂は膜に覆われず、臍の右側に生じることが多い点で区別します。
- 週数に見合う所見がないときは、週数のずれ・流産・異所性妊娠を考え、hCGの推移とあわせて再検します。偽胎囊と区別するため、卵黄囊や胎芽を確認します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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