第105回

105PM003|第105回 助産師国家試験 過去問

性器ヘルペスを合併した妊婦で初感染の場合、正しいのはどれか。

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正解3

正答

3.発症後1か月以内の分娩では帝王切開術を選択する。

この問題のポイント

妊婦の性器ヘルペスについて、原因ウイルスの型、母子感染の経路、分娩様式の基準を問う問題です。鍵は「初感染」という条件です。初感染では母体に抗体がなく、ウイルス排出が多く長く続くため、新生児ヘルペスの危険が再発よりはるかに高くなります。分娩様式の基準は「初感染は発症から1か月以内、再発は1週間以内」と区別して覚えます。

解説

初感染と再発で危険度が違う理由

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による性感染症です。外陰部に水疱や潰瘍ができ、強い痛みを伴います。一度感染するとウイルスは仙骨神経節に潜伏し、疲労や月経、妊娠などをきっかけに再活性化して再発します。

妊娠中に初めて感染した場合(初感染)、母体はまだHSVに対する抗体を持っていません。そのため次の2点から、分娩時に産道でウイルスにさらされた新生児が感染する危険が高くなります。

  • 病変が広範で症状も強く(発熱、鼠径リンパ節腫脹、排尿困難など)、ウイルスの排出量が多く、排出期間も長い
  • 母体のIgG抗体がまだ胎盤を通じて胎児に移行しておらず、新生児が受動免疫による防御を持たない

再発では、ウイルス排出が少なく短期間で終わります。また胎児にはすでに母体由来の抗体が移行しています。このため再発時の感染リスクは初感染よりずっと低くなります。

分娩様式の判断基準

産婦人科診療ガイドライン(産科編)では、産道感染を避けるため、次のいずれかに当たる場合に帝王切開を選択するとしています。

  • 分娩時に外陰部にヘルペス病変がある
  • 初感染の発症から1か月以内に分娩となる
  • 再発の発症から1週間以内に分娩となる

初感染では、ウイルス排出が止まり、抗体がつくられて胎児に移行するまでに時間がかかります。そのため再発より長い「1か月」という期間が設けられています。これらに当たらなければ経腟分娩が可能です。再発を繰り返す妊婦には、妊娠末期から抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)を内服して、分娩時の再発を抑える方法もあります。

新生児ヘルペス

新生児ヘルペスは、表在型(皮膚・眼・口腔に限局)、中枢神経型、全身型に分けられます。全身型は致死率が高く、中枢神経型は神経学的後遺症を残しやすい病型です。このため予防と、アシクロビル静注による早期治療が重要になります。皮膚に水疱がないまま、発熱、哺乳不良、けいれん、肝機能障害などで発症することもあり、「水疱がないからヘルペスではない」とは判断できません。

感染経路は、分娩時の産道感染が大部分を占めます。これに出生後の水平感染(家族の口唇ヘルペスからの接触など)が次ぎ、子宮内(経胎盤)感染はまれです。助産師の実践としては、次のような関わりが大切になります。

  • 妊娠中の外陰部症状や既往歴を把握する
  • 分娩時に外陰部を観察する
  • 出生後は、口唇ヘルペスのある家族に手指衛生を徹底し、新生児へのキスなどの接触を控えるよう指導する

ウイルスの型

HSVには1型と2型があります。従来は「口唇ヘルペスは1型、性器ヘルペスは2型」と説明されてきました。しかし性行動の多様化により、性器ヘルペスの初感染では1型による例の割合が高くなっています。一方、性器に感染したときに再発を起こしやすいのは2型なので、再発を繰り返す例では2型が主体です。

選択肢の確認

1.出生した新生児は結膜炎を発症する。:初感染であっても母子感染が必ず起こるわけではなく、新生児に結膜炎が必ず起こるかのような記述は正しくありません。新生児ヘルペスでは、表在型の一部として角結膜炎がみられることはあります。しかし病型の中心は皮膚の水疱や、中枢神経・全身の感染であり、結膜炎は代表的な症状とはいえません。新生児の結膜炎として試験でよく問われるのは、淋菌(生後早期の強い膿性眼脂)やクラミジア(封入体結膜炎)の産道感染です。これらと取り違えないようにします。

2.単純ヘルペスウィルスⅡ型(HSV-2)が多い。:性器ヘルペスの初感染では、オーラルセックスの普及などを背景に1型(HSV-1)による例の割合が高く、2型が多いとはいえないため誤りです。2型は性器での再発を起こしやすいため、再発を繰り返す例では2型が主体になります。「性器ヘルペス=2型」という古い対応だけで判断しないことが大切です。

3.発症後1か月以内の分娩では帝王切開術を選択する。:正答。初感染では母体に抗体がなく、ウイルス排出が多量かつ長期間続き、胎児への抗体移行もないため、新生児ヘルペスの危険が高くなります。そのため発症から1か月以内に分娩となる場合は、産道感染を避けるために帝王切開を選択します。再発の場合の基準は発症から1週間以内なので、期間の違いを区別して覚えます。

4.母子感染の感染経路は産道感染よりも経胎盤感染が多い。:新生児ヘルペスの感染経路は分娩時の産道感染が大部分を占め、経胎盤(子宮内)感染はまれなので、記述は逆です。だからこそ、分娩時の病変の有無や発症からの期間で分娩様式を決め、帝王切開で産道を通らないようにすることが予防策になります。経胎盤感染が主に問題となるのは、風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、梅毒などです。これらと混同しないようにします。

覚えるポイント

  • 性器ヘルペス合併妊娠で帝王切開を選択するのは「分娩時に外陰部病変がある」「初感染の発症から1か月以内」「再発の発症から1週間以内」のいずれかに当たる場合
  • 初感染が危険な理由は、母体に抗体がないこと、ウイルス排出が多く長いこと、胎児への抗体移行がないこと
  • 新生児ヘルペスの感染経路は産道感染が大部分で、出生後の水平感染がこれに次ぎ、経胎盤感染はまれ
  • 新生児ヘルペスは表在型・中枢神経型・全身型に分かれ、全身型は致死率が高い。水疱がなくても発症しうるため注意し、治療はアシクロビル
  • 性器ヘルペスの初感染では1型の割合が高く、再発を繰り返すのは2型に多い
  • 新生児結膜炎の代表的な原因は淋菌とクラミジアの産道感染

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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