第105回

105PM004|第105回 助産師国家試験 過去問

世界保健機関〈WHO〉の定める精子濃度の基準値は( )万/mL以上である。( )に入るのはどれか。

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正解4

正答

4.1,500

この問題のポイント

世界保健機関〈WHO〉のヒト精液検査マニュアルが示す精液所見の下限基準値のうち、精子濃度を問う問題です。原典の「15 million/mL」、つまり15×10の6乗/mLを日本語の「万」に換算すると1,500万/mLになる点が鍵です。精液量の基準値である1.5 mLと数字を取り違えないことも大切です。

解説

WHOの精液所見の下限基準値

WHOは、精液検査の方法を標準化するマニュアル(WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen)を発行しています。2010年の第5版は、パートナーが12か月以内に妊娠に至った男性、つまり妊孕性が確認された男性の精液所見を集計し、その下位5パーセンタイル値を「下限基準値」として示しました。本問はこの第5版の値で出題されています。

第5版の主な下限基準値は次のとおりです。

  • 精液量:1.5 mL以上
  • 精子濃度:1,500万/mL以上
  • 総精子数:1回の射精当たり3,900万以上
  • 総運動率(前進運動と非前進運動の合計):40%以上
  • 前進運動率:32%以上
  • 生存率:58%以上
  • 正常形態率:4%以上
  • pH:7.2以上

単位の換算が正答の分かれ目

原典では、精子濃度は「15×10の6乗/mL(15 million/mL)」と表記されています。10の6乗は100万なので、15×100万=1,500万です。「15」という数字だけを覚えていると選択肢2を選びやすく、精液量の「1.5」と混ざると選択肢1を選んでしまいます。問題文の単位が「万/mL」であることを確かめ、1万=10の4乗として換算すれば迷いません。

下限基準値の意味と検査の注意点

下限基準値は、妊孕性のある男性集団の下位5%にあたる値です。そのため、「下回れば妊娠しない」「上回れば必ず妊娠する」という境界ではありません。精液所見は、禁欲期間、発熱などの体調、採取条件によって大きく変わります。また、精子がつくられるまでに約2〜3か月かかるため、検査結果はそれ以前の体の状態を反映します。異常値が出た場合は、日を改めて再検査してから評価します。WHOは採取条件として、2〜7日の禁欲期間を置くこと、用手法で精液を全量採取することを示しています。

精液所見の異常を表す用語

  • 乏精子症:精子濃度(または総精子数)が下限基準値を下回る
  • 精子無力症:運動率が下限基準値を下回る
  • 奇形精子症:正常形態率が下限基準値を下回る
  • 無精子症:精液中に精子が認められない
  • 無精液症:射精しても精液が出ない

第6版での改訂

WHOは2021年に第6版を公表しました。主な下限値は、精子濃度1,600万/mL、精液量1.4 mL、総運動率42%、前進運動率30%、生存率54%に改められています。総精子数3,900万と正常形態率4%は第5版と同じです。第6版では、これらの値を妊孕性の有無を決める境界として使わず、臨床所見と合わせて解釈する姿勢がより強調されています。本問は第5版の値で問われており、選択肢の中で基準値に当てはまるのは選択肢4です。

助産師の実践との関わり

日本産科婦人科学会は2015年に、不妊を判断する期間を「一般的に1年」と定めました。これは、妊娠を希望する男女が避妊せずに性交を続けても、その期間妊娠しない状態を指します。不妊の原因は女性側だけにあるとは限らないため、不妊相談ではカップル双方の検査を勧めるのが基本です。精液検査は体への負担が少なく、最初に行う基本検査の一つです。所見に応じて、人工授精、体外受精、顕微授精などの治療が選ばれます。助産師は、検査の意味と採取方法を説明するとともに、結果を受け止める男性の心理的な負担にも配慮して支援します。

選択肢の確認

1.1.5:この数字は第5版の精液量の下限基準値(mL単位)と同じで、精子濃度とは別の項目の値です。1 mL当たり1万5,000個では基準に遠く及ばず、項目と単位の両方を取り違えています。

2.15:英語表記の数字をそのまま使い、million(100万)を万単位に換算し忘れた値です。1 mL当たりに直すと基準の100分の1にすぎず、桁が2つ足りません。

3.150:万単位で読むと基準の10分の1にとどまり、桁が1つ足りません。換算で10の6乗(100万)を10万と取り違えると生じやすい誤りです。

4.1,500:正答。WHOの第5版が示す精子濃度の下限基準値で、原典のmillion表記を万単位に換算した値です。なお第6版では1,600万/mLに改められていますが、本問は第5版の値で出題されています。

覚えるポイント

  • WHO第5版(2010年)の下限基準値:精液量1.5 mL、精子濃度1,500万/mL、総精子数3,900万、総運動率40%、前進運動率32%、正常形態率4%
  • 換算は15×10の6乗=1,500万(10の6乗=100万)。精液量の1.5と混同しない
  • 下限基準値は妊孕性のある男性の下位5パーセンタイル値で、妊娠できるかどうかの絶対的な境界ではない。所見は変動しやすいため再検査して評価する
  • 用語の区別:乏精子症は濃度、精子無力症は運動率、奇形精子症は形態、無精子症は精子なし、無精液症は精液なし
  • WHO第6版(2021年)では精子濃度1,600万/mL、精液量1.4 mL、総運動率42%に変更された
  • 不妊を判断する期間は一般的に1年(日本産科婦人科学会、2015年)。検査はカップル双方で行う

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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