第105回
105PM009|第105回 助産師国家試験 過去問
分娩期における子宮頸管の状態で正しいのはどれか。
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正解4
正答
4.内子宮口側が広がり展退が進む。
この問題のポイント
分娩第1期に子宮頸管がどう変化するか(展退と開大の進み方)を問う問題です。判断の鍵は次の4点です。
- 展退は内子宮口側から始まる。
- 初産婦と経産婦では展退と開大の順序が異なる。
- 前唇は児頭と恥骨結合の間で圧迫されやすい。
- 軟産道の中で最も抵抗が大きいのは子宮頸管である。
解説
陣痛による子宮の変化
陣痛が始まると、子宮は2つの部分に分かれます。
- 能動的部分:収縮して厚くなる子宮体部です。
- 受動的部分:引き伸ばされて薄くなる子宮下部と頸管です。
両者の境界にできる段差を生理的収縮輪(境界輪)といいます。子宮体部の筋線維は、収縮したあと元の長さに戻らず短縮したままになります(退縮)。そのため陣痛を繰り返すたびに体部は厚く短くなり、子宮下部と頸管は上方へ引き上げられて伸展します。
展退と開大
展退は、子宮頸管が短く薄くなり、子宮下部に取り込まれていく変化です。進み方は次のとおりです。
- まず内子宮口が押し広げられ、頸管が上から漏斗状に広がる。
- 内子宮口側から外子宮口側へ向かって頸管の長さが失われる。
- 頸管が完全に消失すると、外子宮口は薄い輪状の縁として触れる。
展退の程度は%で表し、頸管が消失した状態が100%です。
開大は外子宮口の直径が広がることで、0〜10cmで表します。10cmが全開大で、ここで分娩第1期が終わります。
開大を助けるものも時期によって変わります。
- 破水前:胎胞と前羊水がくさびのように働き、頸管を押し広げます。
- 破水後:児頭が直接、頸管を押し広げます。
なお、分娩前の妊娠末期には、コラーゲン構造の変化や水分の増加によって頸管が軟らかくなる「頸管熟化」が進みます。これが分娩時の展退・開大の下地になります。
初産婦と経産婦の違い
- 初産婦:展退が先に進み、頸管がほぼ消失してから外子宮口の開大が進みます。
- 経産婦:展退と開大がほぼ同時に進みます。外子宮口は分娩開始前からわずかに開いていることも少なくありません。
この違いが、経産婦の分娩第1期が短くなりやすい理由の一つです。
軟産道の抵抗
軟産道は、子宮下部、子宮頸管、腟、外陰・会陰などの骨盤底の軟部組織で構成されます。児が通過するときの抵抗は次の順とされます。
- 最も大きい:子宮頸管(特に外子宮口)
- それに次ぐ:腟入口部(会陰)
分娩時に頸管裂傷や会陰裂傷が起こりやすいのも、抵抗の大きいこれらの部位です。
前唇と後唇
内診では子宮口の縁を位置で呼び分けます。
- 前唇:恥骨側の縁
- 後唇:仙骨側の縁
児頭が下降すると、前唇は児頭と恥骨結合の間に挟まれて、うっ血や浮腫(前唇浮腫)を起こしやすくなります。その結果、全開大の直前まで前唇だけが残ることがあります。全開大前に努責すると前唇浮腫が悪化しやすいため、次のようなケアが大切です。
- 呼吸法で努責を逃すよう支援する。
- 体位を工夫して前唇への圧迫を減らす。
臨床での活用
頸管の状態は、ビショップスコアの5項目で評価します。
- 子宮口の開大度
- 展退度
- 児頭の位置(ステーション)
- 頸部の硬さ
- 子宮口の位置
子宮口は成熟前には後方(仙骨側)に向いていることが多く、成熟とともに中央から前方へ移ります。スコアは分娩誘発の適否や分娩進行の判断に使われます。展退と開大の進み方を理解しておくと、内診所見から分娩の進行度を正しく読み取れます。
選択肢の確認
1.軟産道を構成する組織の中で腟入口の次に抵抗が大きい。:軟産道で最も抵抗が大きいのは子宮頸管(特に外子宮口)で、腟入口部(会陰)はそれに次ぐ位置づけです。この選択肢は順序が逆になっているため誤りです。頸管が分娩進行の関門であり、頸管の開大が分娩第1期の進行を示す指標になっていることと結びつけて覚えましょう。
2.分娩進行中に後唇側の開大は遅れることが多い。:開大が遅れやすいのは後唇ではなく前唇です。前唇は下降してくる児頭と恥骨結合の間で圧迫され、浮腫を起こしやすいためです。そのため全開大直前に前唇だけが残ることがよくあります。後唇側は圧迫を受けにくく、開大が遅れる部位としては説明されないため誤りです。
3.初産婦は外子宮口が早く開大する。:初産婦では展退が先に進み、頸管がほぼ消失してから外子宮口が開大するため、外子宮口の開大は後になります。外子宮口が早くから開いている、または展退と同時に開大するのは経産婦の特徴です。初産婦と経産婦を取り違えた記述のため誤りです。
4.内子宮口側が広がり展退が進む。:正答。子宮体部の収縮と退縮で頸管が上方へ引き上げられると、まず内子宮口が広がって頸管が漏斗状になります。そこから外子宮口側へ向かって頸管が短く薄くなり、展退が進みます。展退が内子宮口側から始まるという正しい記述です。
覚えるポイント
- 展退は内子宮口側から外子宮口側へ進みます。展退度は%で表し、100%で頸管が消失します。開大は0〜10cmで表し、10cmが全開大(分娩第1期の終了)です。
- 初産婦は展退してから開大し、経産婦は展退と開大が同時に進みます。経産婦は外子宮口が先に開いていることもあります。
- 軟産道の抵抗は子宮頸管(外子宮口)が最大で、腟入口部(会陰)がこれに次ぎます。
- 前唇は児頭と恥骨結合の間で圧迫され、浮腫や開大の遅れを起こしやすい部位です。全開大前の努責は避けるよう支援します。
- 子宮体部は能動的部分、子宮下部と頸管は受動的部分で、境界が生理的収縮輪です。
- ビショップスコアは開大度・展退度・児頭の位置・頸部の硬さ・子宮口の位置の5項目で、頸管の成熟度を評価します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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