第105回
105PM018|第105回 助産師国家試験 過去問
日本の母子健康手帳の改正した年とその内容の組合せで正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解4
正答
4.平成24年(2012年) ― 便色カードが追加された。
この問題のポイント
母子健康手帳の変遷を、年と出来事の組合せで問う問題です。名称の三段階「妊産婦手帳(昭和17年)→母子手帳(昭和23年)→母子健康手帳(昭和41年)」を、それぞれの根拠制度と結び付けて覚えているかが鍵になります。あわせて、平成24年の様式改正で、胆道閉鎖症の早期発見を目的とした便色カードが加わったことを知っていれば正答できます。
解説
名称と根拠制度の変遷
母子健康手帳は、根拠となる制度が変わるたびに名称と対象を変えてきました。
- 昭和17年(1942年)妊産婦手帳:戦時下の人口政策のもとで、妊娠の届出制度とともに始まりました。届出をした妊婦に交付され、健康診査の受診を促すとともに、出産用品や食料などの配給を受ける際にも用いられました。記録の対象は妊産婦本人です。
- 昭和23年(1948年)母子手帳:児童福祉法(昭和22年制定)の施行に伴って母子手帳となりました。対象が乳幼児にまで広がり、妊娠・出産の経過と子どもの健康状態を1冊に記録する形になりました。
- 昭和40年(1965年)母子保健法の制定:同法の施行に伴い、昭和41年(1966年)から母子健康手帳と呼ばれるようになりました。母子保健法は、妊娠の届出(第15条)と、届出をした者への市町村による母子健康手帳の交付(第16条)を定めています。現在、多胎妊娠では子どもの人数分の手帳が交付されます。
「法律の制定年(昭和40年)」と「母子健康手帳という名称になった年(昭和41年)」が1年ずれている点は、混同しやすいので注意が必要です。
様式の見直しと平成24年改正
手帳は、全国共通の様式を省令で定める部分(妊娠・出産の経過、乳幼児健診、予防接種の記録など)と、市町村が任意に作成する部分(行政サービスや育児の情報など)で構成されます。医学の進歩や社会の変化に合わせて、平成14年、平成24年、令和5年と、おおむね10年ごとに見直されてきました。
平成24年(2012年)の改正では、便色カードが追加されました。このほか、平成22年乳幼児身体発育調査の結果に基づく乳幼児身体発育曲線への更新、妊婦自身や保護者が記入する欄の拡充、予防接種の記録欄の拡充なども行われています。出題当時(2022年)はこの平成24年改正の様式が使われており、その後、令和5年(2023年)度から改正後の様式に切り替わっています。
便色カードと胆道閉鎖症
胆道閉鎖症は、胆管が閉塞して胆汁が腸へ流れなくなる疾患です。胆汁色素が便に届かないため、便が灰白色・クリーム色・淡黄色などの淡い色になり、黄疸の遷延や濃い黄色の尿がみられます。放置すると胆汁うっ滞によって肝硬変へ進行します。一方、早期に葛西手術(肝門部空腸吻合術)を行うほど、自分の肝臓で生活できる可能性が高くなります。
新生児期は生理的黄疸や母乳性黄疸と見分けにくく、発見が遅れやすいことが課題でした。そこで、保護者が日々の便の色を手帳の見本(番号1〜7の7色)と見比べ、生後2週、1か月、1〜4か月ごろに記録する仕組みが導入されました。番号1〜3の淡い色は異常の可能性があるため、すぐに受診につなげます。助産師は、産褥入院中や新生児訪問、1か月健診の場で、カードの使い方と受診の目安を保護者に具体的に伝える役割を担います。
選択肢の確認
1.昭和23年(1948年) ― 妊産婦手帳制度が始まった。:妊産婦手帳制度が始まったのは昭和17年(1942年)です。昭和23年は、児童福祉法の施行に伴って母子手帳へ移行し、対象が乳幼児まで広がった年にあたります。「昭和23年=児童福祉法・母子手帳」と、始まりの年を取り違えないようにします。
2.昭和33年(1958年) ― 母子健康手帳と改称された。:母子健康手帳という名称は、昭和40年(1965年)の母子保健法制定を受け、昭和41年(1966年)から用いられています。昭和33年は、手帳の変遷で押さえるべき節目の年ではありません。
3.昭和40年(1965年) ― 妊婦1人につき1冊から子ども1人につき1冊に変更された。:昭和40年に押さえるべき出来事は母子保健法の制定で、これにより手帳の法的根拠が児童福祉法から母子保健法へ移りました。妊産婦のための手帳から、子どもの健康記録も含む母と子の手帳へ変わったのは、昭和23年の母子手帳の段階です。この年と内容の組合せは、変遷の要点と合っていません。
4.平成24年(2012年) ― 便色カードが追加された。:正答。平成24年の様式改正で、胆道閉鎖症の早期発見を目的として便色カードが加えられました。保護者が便の色を7色の見本と比べて記録し、淡い色(番号1〜3)であれば速やかに受診する仕組みです。
覚えるポイント
- 変遷は「昭和17年 妊産婦手帳 → 昭和23年 母子手帳(児童福祉法)→ 昭和41年 母子健康手帳(昭和40年制定の母子保健法)」の三段階で覚えます。
- 母子保健法の制定は昭和40年、母子健康手帳という名称になったのは昭和41年です。1年のずれに注意します。
- 母子保健法では、妊娠の届出は第15条、母子健康手帳の交付は第16条に定められ、交付は市町村が行います。多胎では子どもの人数分を交付します。
- 平成24年改正の要点は、便色カードの追加、乳幼児身体発育曲線の更新(平成22年調査)、記入欄や予防接種記録欄の拡充です。
- 便色カードは胆道閉鎖症の早期発見のためのものです。淡い便色(番号1〜3)では直ちに受診を勧めます。早期の葛西手術が予後を左右します。
- 手帳は省令様式(全国共通)と任意様式(市町村作成)で構成され、おおむね10年ごとに見直されます(平成14年、平成24年、令和5年)。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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