第105回
105PM032|第105回 助産師国家試験 過去問
双胎妊娠について正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解1・3
正答
1.二卵性双胎の頻度は遺伝素因が関係する。
3.双胎は単胎に比べて妊娠高血圧症候群になりやすい。
この問題のポイント
双胎を卵性(一卵性か二卵性か)と膜性(絨毛膜と羊膜の数)の2つの軸で整理できているかを問う問題です。判断の鍵は次の3点です。二卵性双胎の頻度は遺伝素因などの母体側の要因で変わること、二卵性は原則としてすべて二絨毛膜二羊膜であること、胎盤を共有する一絨毛膜双胎は二絨毛膜双胎よりハイリスクであることです。あわせて、双胎妊娠では単胎より妊娠高血圧症候群などの母体合併症が増えることも押さえます。
解説
卵性と膜性の関係
二卵性双胎は、2個の卵子がそれぞれ別の精子と受精して生じます。2つの胚盤胞が別々に着床し、それぞれが絨毛膜と羊膜を作ります。そのため、原則として全例が二絨毛膜二羊膜(DD)双胎になります。着床部位が近いと、2つの胎盤が癒合して1つに見えることがあります。その場合も隔膜は羊膜・絨毛膜・絨毛膜・羊膜の4層で、2児の循環は基本的に独立しています。
一卵性双胎は1個の受精卵が分割して生じ、膜性は分割の時期で決まります。
- 受精後おおむね3日以内(桑実胚まで):二絨毛膜二羊膜
- 受精後おおむね4〜8日(胚盤胞期):一絨毛膜二羊膜(MD)
- 受精後おおむね8〜12日:一絨毛膜一羊膜(MM)
- それ以降:結合双胎
一卵性双胎の内訳は、一絨毛膜二羊膜がおよそ4分の3で最も多くなります。二絨毛膜二羊膜はおよそ4分の1、一絨毛膜一羊膜は1%前後です。つまり、二絨毛膜双胎には一卵性と二卵性の両方が含まれます。一方、一絨毛膜双胎は、ごくまれな例外を除いて一卵性です。
発生頻度を左右する因子
二卵性双胎が生じるには、1周期に複数の卵子が排卵されること(多排卵)が必要です。そのため、多排卵の起こりやすさにかかわる母体側の条件で頻度が変わります。
- 遺伝素因:とくに母方の家系に二卵性双胎がいると頻度が高まります(多排卵しやすい体質が受け継がれると考えられています)
- 人種:アフリカ系で高く、日本を含むアジア系で低い傾向があります
- 母体年齢・経産回数:30歳代後半ごろまでは年齢とともに上昇します(FSHの上昇が関与すると考えられています)。経産回数が多いほど上昇します
- 排卵誘発・生殖補助医療:複数の排卵や複数胚の移植で増加します(わが国では、移植胚数を原則1個とする日本産科婦人科学会の見解があります)
これに対し一卵性双胎の頻度は、自然妊娠では人種・母体年齢・経産回数・家族歴にほとんど左右されません。約0.4%(およそ250分娩に1組)でほぼ一定です。ただし、排卵誘発や生殖補助医療の後は一卵性双胎も増えます。とくに胚盤胞移植との関連が知られており、単一胚移植でも起こりえます。なお、日本は二卵性の頻度が低いため、自然妊娠の双胎に占める一卵性の割合が欧米より高くなっています。
一絨毛膜双胎のリスクと双胎妊娠の母体合併症
一絨毛膜双胎では、2児が1つの胎盤を共有します。この胎盤には、ほぼ必ず2児の循環をつなぐ吻合血管があります。合併症の原因は、胎盤の共有(吻合血管を介した血流の不均衡や胎盤の不均等な分配)と、一羊膜の場合は羊膜腔の共有です。これらにより、次のような特徴的な合併症が起こります。
- 双胎間輸血症候群(TTTS):吻合血管を介して、一方の児から他方へ血液が偏って流れることで起こります。供血児は循環血液量減少・乏尿・羊水過少・発育不全を来します。受血児は循環血液量過多・多尿・羊水過多・心不全や胎児水腫を来します。わが国の診断基準は、一絨毛膜二羊膜双胎で、一児の羊水最大深度8cm以上と他児の2cm以下が同時にみられることです。
- 双胎貧血多血症(TAPS)・無心体双胎:これらも吻合血管を介した血流の異常で起こります。TAPSは、細い吻合血管を通じて血液がゆっくり移動する病態です。TTTSのような羊水過多・過少を伴わずに、一児が貧血、他児が多血になります。
- 一児死亡時の他児障害:生存児の血液が吻合血管を通じて死亡児側へ急激に流れ込み、生存児の死亡や脳障害を招きます。
- 一児発育不全:二絨毛膜双胎でもみられます。一絨毛膜双胎では、主に胎盤の不均等な分配(各児が受け持つ胎盤領域の差)によって起こり、吻合血管は経過を左右する因子として関わります。
- 臍帯相互巻絡:一絨毛膜一羊膜双胎では、2児を隔てる隔膜がありません。そのため、同じ羊膜腔の中で臍帯が絡み合います。吻合血管とは関係ありません。
このため、周産期の死亡率・罹病率は一絨毛膜双胎のほうが高く、なかでも一絨毛膜一羊膜双胎が最もハイリスクです。膜性は妊娠が進むと判定しにくくなるので、妊娠初期に超音波で診断します。胎嚢の数を確認するほか、隔膜の付着部の形で判断します。付着部がλサイン(twin peak sign)を示せば二絨毛膜、Tサインなら一絨毛膜です。一絨毛膜双胎は、妊娠中期からおおむね2週ごとに超音波で観察します。妊婦が急な腹部膨満感や息苦しさを訴えたら、TTTSによる羊水過多を疑います。
双胎では単胎に比べて胎盤量が大きく、子宮と母体循環への負荷も大きくなります。そのため、妊娠高血圧症候群、貧血、切迫早産・早産、前期破水、羊水過多、胎位異常、子宮の過伸展による弛緩出血が増えます。助産師は妊婦健診のたびに、血圧・尿蛋白・体重増加・浮腫を丁寧に評価します。
選択肢の確認
1.二卵性双胎の頻度は遺伝素因が関係する。:正答。二卵性双胎は多排卵によって生じ、その起こりやすさには母方の家系を中心とする遺伝素因が関わります。人種、母体年齢、経産回数、排卵誘発・生殖補助医療も、二卵性の頻度を左右します。これに対し、一卵性双胎の頻度は、自然妊娠では遺伝素因などにほとんど左右されず、ほぼ一定です。ただし、生殖補助医療の後は一卵性も増えます。「生殖補助医療で増えるのは二卵性だけ」と覚えないよう注意します。
2.二卵性双胎の約75%が二絨毛膜性である。:二卵性双胎では2つの胚が別々に着床し、それぞれが絨毛膜を形成するため、原則として全例が二絨毛膜二羊膜です。一部だけが二絨毛膜性になるわけではないので、記述は誤りです。「約75%」という数字は、一卵性双胎に占める一絨毛膜二羊膜の割合(およそ4分の3)と混同しやすいものです。卵性と膜性の数字を取り違えないようにします。
3.双胎は単胎に比べて妊娠高血圧症候群になりやすい。:正答。双胎は胎盤量が大きく、胎盤から産生される血管新生抑制因子(sFlt-1など)の血中濃度も単胎より高くなります。このため妊娠高血圧症候群を発症しやすく、早期発症や重症化もしやすいとされます。多胎妊娠は、妊娠高血圧症候群の代表的な危険因子です。頭痛・視覚異常・心窩部痛などの症状を、保健指導で伝えておくことも大切です。
4.一絨毛膜双胎は二絨毛膜双胎に比べて周産期死亡率が低い。:一絨毛膜双胎は胎盤を共有するため、吻合血管による双胎間輸血症候群や、一児死亡時の他児の死亡・脳障害が起こりえます。胎盤の不均等な分配による一児発育不全も起こります。そのため、周産期死亡率は二絨毛膜双胎より高くなり、記述は高低が逆です。「双胎はいずれも単胎よりハイリスクで、なかでも一絨毛膜、とくに一絨毛膜一羊膜が最もハイリスク」と整理します。
5.二絨毛膜双胎は一絨毛膜双胎に比べて双胎間輸血症候群を生じやすい。:双胎間輸血症候群は、一絨毛膜双胎(主に一絨毛膜二羊膜)に特有の合併症です。共有胎盤の吻合血管を介して、一方の児から他方へ血液が偏って流れることで起こります。二絨毛膜双胎は、胎盤が癒合して見えても2児の循環がほぼ独立しているため、原則として発症しません。記述は膜性が逆になっています。
覚えるポイント
- 二卵性双胎は原則すべて二絨毛膜二羊膜です。一卵性双胎は分割時期で膜性が決まり、一絨毛膜二羊膜が約4分の3を占めます。
- 家族歴(遺伝素因)・人種・母体年齢・経産回数で頻度が変わるのは二卵性です。一卵性は自然妊娠では約0.4%でほぼ一定ですが、排卵誘発・生殖補助医療の後は一卵性も増えます。
- 一絨毛膜双胎の合併症は原因で整理します。吻合血管によるもの(TTTS、TAPS、無心体双胎、一児死亡時の他児障害)、胎盤の不均等な分配によるもの(一児発育不全)、羊膜腔の共有によるもの(一羊膜での臍帯相互巻絡)です。周産期予後は二絨毛膜より不良です。
- TTTSでは、供血児が羊水過少・発育不全、受血児が羊水過多・心不全を来します。わが国の診断基準は、羊水最大深度8cm以上/2cm以下です。
- 膜性診断は妊娠初期に超音波で行います(λサインは二絨毛膜、Tサインは一絨毛膜)。
- 双胎妊娠では単胎より、妊娠高血圧症候群、貧血、早産、前期破水、羊水過多、弛緩出血が多くなります。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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