第106回

106AM001|第106回 助産師国家試験 過去問

閉経期に血中濃度が低下するホルモンはどれか。

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正解1

正答

1.プロゲステロン

この問題のポイント

閉経期のホルモン変化を、視床下部‐下垂体‐卵巣系で「どこで作られるホルモンか」と「負のフィードバック」から判断できるかを問う問題です。閉経の本態は卵巣機能の低下です。そのため、卵巣から分泌されるホルモンは低下し、その上流にある下垂体と視床下部のホルモンは抑制が外れて上昇します。選択肢のうち卵巣由来のホルモンはプロゲステロンだけです。

解説

問題文の手がかりとホルモンの分泌部位

鍵になる語は「閉経期」と「低下する」です。選択肢を分泌部位で分けると次のようになります。

  • GnRH:視床下部
  • LH・FSH:下垂体前葉
  • プロゲステロン:卵巣(主に排卵後の黄体)

つまりこの問題は「卵巣から出るホルモンを1つ選ぶ」問題と読み替えられます。

正常な性周期では、視床下部からGnRHがパルス状に分泌され、下垂体前葉からFSHとLHの分泌を促します。FSHは卵胞の発育を促し、発育した卵胞の顆粒膜細胞はエストロゲン(主にエストラジオール)とインヒビンを分泌します。LHサージによって排卵が起こると、排卵後の卵胞は黄体となり、プロゲステロンとエストロゲンを分泌します。エストロゲン・プロゲステロン・インヒビンは視床下部と下垂体に負のフィードバックをかけ、GnRH・FSH・LHの分泌を抑えています。排卵直前のエストロゲン高値がLHサージを起こすのは、例外的な正のフィードバックです。

閉経期に起こる変化

加齢とともに卵巣内の卵胞は減り、残った卵胞もゴナドトロピンに反応しにくくなります。閉経移行期の変化は次の順に進みます。

  • まずインヒビンBが減り、FSHが上昇し始めます。
  • やがて排卵が起こらない周期(無排卵周期)が増えます。排卵がなければ黄体ができないため、プロゲステロンは早い段階から低下します。
  • エストロゲンは移行期には変動が大きく、一時的に高い値をとることもあります。しかし卵胞が枯渇すると低下します。

卵巣ホルモンが減ると負のフィードバックが外れます。その結果、FSHとLHはともに上昇し、特にFSHの上昇が著明です。視床下部のGnRH分泌も亢進します。このため閉経の判定では、FSH高値とエストラジオール低値が指標になります。

臨床とのつながり

  • 基礎体温:プロゲステロンには体温上昇作用があるため、排卵周期では基礎体温が二相性になります。無排卵周期では低温相だけの一相性になり、閉経移行期にはこの変化がみられます。
  • 子宮内膜への影響:黄体ホルモンに拮抗されないエストロゲン作用が続くと子宮内膜が増殖し、閉経移行期の不正出血や子宮内膜増殖症の原因になります。子宮のある女性のホルモン補充療法でエストロゲンに黄体ホルモンを併用するのは、子宮内膜増殖症と子宮体がんを防ぐためです。
  • エストロゲン低下の影響:ほてり・発汗などの血管運動神経症状、骨量減少、LDLコレステロールの上昇、腟・尿路の萎縮性変化につながります。いずれも更年期以降の保健指導の重要なテーマです。

選択肢の確認

1.プロゲステロン:正答。黄体ホルモンは主に排卵後の黄体から分泌されます。閉経移行期に無排卵周期が増えると早い段階から低下し、閉経後は卵巣からほとんど分泌されなくなります。選択肢の中で卵巣で作られるホルモンはこれだけで、「閉経期に低下する」という条件に当てはまります。

2.黄体形成ホルモン〈LH〉:下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピンで、閉経期にはエストロゲンや黄体ホルモンによる負のフィードバックが失われるため上昇します。名称に「黄体」が含まれるので卵巣のホルモンと取り違えやすいですが、黄体を「形成させる」側の下垂体ホルモンです。LHが低値になるのは、体重減少性無月経やシーハン症候群など、視床下部性・下垂体性の無月経の場合です。

3.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉:閉経期にLHより早く、しかも著明に上昇するホルモンで、閉経の判定の指標になります。卵胞から分泌されるインヒビンBはFSHを選択的に抑えています。卵胞が減ってインヒビンBが下がると、月経がまだあるうちからFSHが上昇し始めます。閉経後はFSHがLHより高くなるのが特徴で、LHがFSHより高くなりやすい多囊胞性卵巣症候群との対比でもよく問われます。

4.ゴナドトロピン放出ホルモン〈GnRH〉:視床下部から分泌されるホルモンで、閉経期には卵巣ホルモンによる抑制が外れ、分泌が亢進する方向に変化します。GnRHは下垂体門脈へパルス状に分泌されるため、臨床で末梢血の濃度を測って評価することは通常ありません。なお、GnRHアゴニストを持続投与すると下垂体の受容体が脱感作されてFSH・LHが低下し、低エストロゲン状態(偽閉経)になります。この作用を利用して子宮内膜症や子宮筋腫の治療に使われます。「GnRH製剤で閉経に似た状態をつくる」ことと「閉経期にGnRHが下がる」ことを混同しないよう注意しましょう。

覚えるポイント

  • 閉経期は、卵巣のホルモン(エストロゲン・プロゲステロン・インヒビン)は低下し、視床下部・下垂体のホルモン(GnRH・FSH・LH)は上昇します。
  • プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌されるため、無排卵周期が増える閉経移行期に早くから低下します。このとき基礎体温は一相性になります。
  • FSHはインヒビンB低下の影響でLHより早く、著明に上昇します。閉経の指標はFSH高値とエストラジオール低値です。
  • 閉経は12か月以上の無月経を確認して判定します。日本人の平均閉経年齢は約50歳で、閉経前後の各5年間、計約10年間を更年期といいます。
  • 閉経後の主なエストロゲンはエストロンで、脂肪組織でアンドロゲンから変換されて作られます。
  • ゴナドトロピンが高値になるのは卵巣性(閉経、40歳未満で起こる早発卵巣不全)、低値になるのは視床下部性・下垂体性の性腺機能低下です。

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