第106回
106AM007|第106回 助産師国家試験 過去問
卵子の発生で正しいのはどれか。
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正解1
正答
1.卵子の染色体は23本である。
この問題のポイント
卵子形成について、起こる時期、減数分裂の停止と再開のきっかけ、生じる細胞の数、染色体数を理解しているかを問う問題です。次の4点を押さえていれば、すべての選択肢を判定できます。
- 卵母細胞は胎児期に作られ、第一減数分裂の前期で停止する。
- 停止した分裂はLHサージで再開する。
- 細胞質が一方の細胞に偏って分配されるため、卵子は1個しかできない。
- 減数分裂によって染色体は半分の23本になる。
解説
卵子形成の流れ
胎児期
- 胎生初期に原始生殖細胞が卵巣原基へ移動し、卵原細胞になります。
- 卵原細胞は体細胞分裂で増え、胎児期のうちに第一減数分裂に入って一次卵母細胞になります。
- 一次卵母細胞は前期(複糸期)で分裂を止めます。
- 一次卵母細胞の周囲を1層の扁平な顆粒膜細胞が囲み、原始卵胞になります。
- 卵原細胞の増殖は出生前に終わるため、出生後に卵母細胞が新しく作られることはありません。
数の推移は次のとおりで、以後は閉鎖によって減り続けます。
- 胎生中期(妊娠20週前後):約600万〜700万個で最大
- 出生時:約100万〜200万個
- 思春期:数十万個
- 生涯に排卵される数:約400〜500個
思春期以降
- 周期ごとに複数の卵胞がFSHの作用を受けて発育し、そのうち1個が主席卵胞として成熟卵胞(グラーフ卵胞)になります。
- 成熟卵胞から分泌されるエストロゲンが高い濃度で続くと、ポジティブフィードバックによって下垂体前葉からLHが大量に放出されます。これがLHサージです。
- LHは卵胞の顆粒膜細胞に作用し、卵母細胞の分裂を止めていたしくみを解除します。
- 一次卵母細胞は第一減数分裂を完了し、細胞質の大部分を受け取った二次卵母細胞と、小さな第一極体に分かれます。
排卵から受精まで
- 二次卵母細胞はすぐに第二減数分裂に入り、中期で再び停止した状態で排卵されます。
- 卵管膨大部で精子が進入すると第二減数分裂が完了し、卵子と第二極体ができます。
- 受精しなければ、第二減数分裂は完了しないまま変性します。
染色体数
- 体細胞の染色体は46本で、女性は44+XX、男性は44+XYです。
- 減数分裂で相同染色体が1本ずつに分かれるため、卵子は22+Xの23本になります。
- 精子も23本で、22+Xまたは22+Yです。
- 受精で46本に戻ります。卵子は必ずX染色体をもつため、児の性は精子の性染色体で決まります。
臨床とのつながり
一次卵母細胞は、最初の排卵まで十数年、最後の排卵までは約50年、分裂を止めたまま待ちます。このため母体年齢が上がると減数分裂時の染色体不分離が起こりやすくなり、21トリソミー(ダウン症候群)などの数的異常が増えます。
また、卵母細胞は補充されないため、加齢とともに卵巣予備能が低下します。これらは出生前検査や不妊に関する相談で、助産師が説明の根拠として使う知識です。
選択肢の確認
1.卵子の染色体は23本である。:正答。体細胞の46本に対し、卵子は2回の減数分裂を経て半数の23本(22+X)になります。精子の23本(22+Xまたは22+Y)と受精して46本に戻り、二倍体の受精卵になります。
2.プロラクチンによって第一減数分裂が再開する。:第一減数分裂を再開させるのは、排卵の直前に起こる黄体形成ホルモン(LH)のサージです。プロラクチンも下垂体前葉ホルモンですが、主な働きは乳汁の産生です。高値になるとGnRHの分泌を抑えて排卵を抑制するため、授乳期の無月経や高プロラクチン血症による排卵障害が起こります。減数分裂を進めるのとは逆向きに働くホルモンです。役割を整理すると、FSHは卵胞発育、LHは減数分裂再開・排卵・黄体化、プロラクチンは乳汁産生、下垂体後葉のオキシトシンは射乳と子宮収縮です。
3.卵母細胞の形成期間は胎児期から思春期である。:一次卵母細胞が形成されるのは胎児期だけです。出生時には卵原細胞は残っておらず、出生後に卵母細胞が増えることはありません。「胎児期から思春期」は、一次卵母細胞が第一減数分裂前期で停止している期間と取り違えた表現です。思春期に始まって生涯続くのは精子形成の特徴なので、混同しないようにします。
4.1個の卵母細胞から形成される卵子は2個である。:卵子形成の2回の分裂では細胞質がほぼすべて一方に偏って分配され、他方は小さな極体となって退化します。そのため1個の一次卵母細胞からできる卵子は1個で、残りは極体です。第一極体がさらに分裂すれば極体は3個になります。1個の一次精母細胞から4個の精子ができる精子形成とは対照的で、初期発生に必要な細胞質を1個の卵子に集めるしくみです。なお二卵性双胎は、2個の卵胞からそれぞれ排卵された2個の卵子が別々に受精したもので、1個の卵母細胞から2個の卵子ができたわけではありません。
覚えるポイント
- 卵母細胞は胎児期に作り終え、出生後は増えません。数は胎生中期が最大で、その後は減り続けます。精子形成は思春期に始まり、生涯続きます。
- 卵子の減数分裂は2回停止します。1回目は第一減数分裂前期(胎児期から排卵直前まで)、2回目は第二減数分裂中期(排卵から受精まで)です。
- 第一減数分裂の再開はLHサージ、第二減数分裂の完了は精子の進入(受精)がきっかけです。プロラクチンは排卵を抑える側に働きます。
- 1個の一次卵母細胞からは卵子1個と極体ができ、1個の一次精母細胞からは精子4個ができます。
- 染色体数は、体細胞46本(44+XX/44+XY)、卵子23本(22+X)、精子23本(22+Xまたは22+Y)です。
- 分裂が長期間停止していることが、母体年齢の上昇に伴う染色体数的異常(21トリソミーなど)の増加につながります。
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