第106回

106AM010|第106回 助産師国家試験 過去問

正常新生児の特徴で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.甘味の濃淡の識別ができる。

この問題のポイント

正常新生児の感覚機能(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・痛覚)が、出生時にどこまで発達しているかを問う問題です。嗅覚・味覚・痛覚は出生時からよく働いており、視覚だけが際立って未熟であることが判断の鍵です。「〜はない」と言い切る選択肢と、視力の数値の桁に注目すると正答を選べます。

解説

感覚器は胎内で発達し、出生時にはすでに多くの機能が働いています。新生児は「まだ何も感じない存在」ではなく、周囲の刺激を受け取って反応し、養育者との関係を築き始めています。感覚ごとの特徴は次のとおりです。

  • 味覚:出生時からよく発達しています。甘味では口元がゆるんで舐めるような動きを、酸味では口をすぼめる動きを、苦味では顔をしかめて口を開ける嫌悪の表情を示します(味覚顔面反射)。甘味を好み、濃い糖液ほど多く摂取する傾向があり、濃度によって吸啜のリズムや表情も変わるため、甘味の濃淡を識別していると考えられています。塩味への反応ははっきりせず、塩味を好むようになるのは生後数か月以降とされます。
  • 嗅覚:出生時から機能しています。生後数日で、自分の母親の母乳のにおいを他の女性の母乳のにおいと区別し、そちらへ顔を向けることが知られています。乳房のにおいは、児が乳頭を探し当てる手がかりの一つになります。
  • 痛覚:出生時から痛みを感じています。足底採血などの痛み刺激に対して、啼泣、顔をしかめる表情、心拍数の増加、酸素飽和度の低下といった反応を示します。早産児も痛みを感じます。
  • 聴覚:出生時から聞こえています。大きな音には驚いてモロー反射を示し、人の声、とくに母親の声によく反応します。先天性難聴を早期に見つけるため、自動聴性脳幹反応(AABR)や耳音響放射(OAE)を用いた新生児聴覚スクリーニングが行われます。
  • 触覚:最もよく発達した感覚の一つです。口の周囲に触れると探索反射や吸啜反射が起こります。
  • 視覚:最も未熟な感覚です。明暗は分かり、対光反射があり、まぶしいと目を閉じます。視力はおよそ0.01〜0.05程度で(成書によって幅があります)、焦点が合いやすいのは20〜30cmほどの距離です。これは、授乳のときに抱かれた児から母親の顔までの距離にほぼ一致します。人の顔のような図形や、白黒のはっきりした模様を好んで見つめます。

以上から、新生児の感覚について正しく述べているのは甘味の識別に関する選択肢4です。

この知識は実践に直結します。痛覚があるからこそ、処置の際の疼痛緩和が必要です。足底採血などでは、ショ糖液の口腔内投与、直接授乳しながらの処置、カンガルーケア(肌と肌の接触)、おしゃぶりによる非栄養的吸啜、手足を包み込むように支えるホールディングなどの非薬理的な方法が用いられます。ショ糖液が効果をもつのは、甘味をよく感じ取る新生児の味覚を利用しているためです。痛みの評価には、NIPS(Neonatal Infant Pain Scale)やPIPP(Premature Infant Pain Profile)などのスケールが使われます。また、授乳時に目を合わせて語りかけることや、早期の母子接触で母親のにおいや声に触れることは、児の感覚にかなった関わりであり、愛着形成を支えるケアとして母親に伝えられます。

選択肢の確認

1.嗅覚はない。:新生児の嗅覚は出生時から機能しています。生後数日で自分の母親の母乳のにおいを他者のものと区別できるので、「ない」は明らかな誤りです。乳頭を探す行動にもにおいが手がかりになっています。未熟な感覚として視覚と取り違えないようにしましょう。

2.痛覚はない。:新生児は出生時から痛みを感じています。痛み刺激に対して啼泣、しかめ顔、心拍数の増加、酸素飽和度の低下を示します。かつては「新生児は神経系が未熟で痛みを感じにくい」と考えられ、鎮痛が軽視された時代もありましたが、現在は否定されています。痛みの評価と、ショ糖液投与・授乳・カンガルーケアなどによる疼痛緩和が重視されています。

3.視力は0.2程度である。:新生児の視力はおよそ0.01〜0.05程度で、0.2は実際より一桁近く大きい値です。0.2程度は、おおむね1歳前後の視力にあたります。新生児は光を感じ、20〜30cmほどの距離で顔や白黒の模様を見つめることはできますが、視力そのものは低いと覚えておきましょう。

4.甘味の濃淡の識別ができる。:正答。新生児は甘味・酸味・苦味を区別し、甘味を好みます。濃い糖液ほど多く摂取する傾向があり、濃度によって吸啜のしかたや表情も変わることから、甘味の濃淡を識別できると考えられています。この甘味への感受性が、処置時にショ糖液で疼痛を緩和する方法の根拠になっています。

覚えるポイント

  • 新生児の感覚は視覚が最も未熟です。触覚・味覚・嗅覚・聴覚・痛覚は出生時から機能しています。
  • 新生児の視力はおよそ0.01〜0.05で、焦点は20〜30cm(授乳時の母親の顔の距離)に合いやすいです。人の顔や白黒のコントラストを好んで見つめます。
  • 味覚:甘味を好み、濃淡も識別できます。酸味・苦味には嫌悪の表情を示し、塩味への反応ははっきりしません。
  • 嗅覚:生後数日で自分の母親の母乳のにおいを識別できます。
  • 痛覚はあります。非薬理的疼痛緩和として、ショ糖液、直接授乳、カンガルーケア、非栄養的吸啜、ホールディングがあります。評価にはNIPSやPIPPを使います。
  • 聴覚は出生時から働いています。先天性難聴の早期発見には新生児聴覚スクリーニング(AABR・OAE)を用います。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。

解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。

学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。