第106回

106AM017|第106回 助産師国家試験 過去問

分娩第1期にある正常経過で未破水の産婦への助産ケアで適切なのはどれか。

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正解4

正答

4.エネルギー源となる食べ物を勧める。

この問題のポイント

正常に経過している未破水の分娩第1期の産婦に、食事・清潔・排泄の援助をどう行うかを問う問題です。判断の鍵は「正常経過」と「未破水」という2つの条件です。母児に異常がなく、上行性感染の危険も高くない時期なので、不要な制限や侵襲的な処置は加えません。産婦が自分の力で分娩を進められるよう、長時間の分娩に備えてエネルギーを補給することが適切な援助になります。

解説

問題文の手がかり

  • 分娩第1期:分娩開始(陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上の規則的な陣痛)から子宮口全開大までの時期です。分娩経過の中で最も長く、特に初産婦では長時間に及びます。潜伏期のうちは陣痛が比較的弱く、産婦は歩いたり食べたりできます。活動期に入ると陣痛が強まり、食欲の低下や疲労が目立ってきます。
  • 正常経過:母体にも胎児にも異常がなく、医療的な介入を必要としない状態です。生活上の制限は原則として必要ありません。
  • 未破水:卵膜が保たれているため、腟から子宮内への上行性感染の危険は低い状態です。清潔ケアを制限する理由がありません。

エネルギー補給の意味

分娩は長時間の運動にたとえられ、子宮収縮や、後に続く分娩第2期の努責に多くのエネルギーを使います。食べずに臨むと糖質が不足し、脂肪の分解が進んでケトン体が増え(ケトーシス)、疲労が強くなります。産婦の疲労は陣痛を弱め(続発性微弱陣痛)、分娩遷延の原因になります。

勧める食品は、消化がよく速やかにエネルギーになる糖質中心のものです。おにぎり、パン、ゼリー飲料、バナナなど、本人が食べやすいものを陣痛間欠に少量ずつ摂ってもらいます。発汗や呼吸で水分も失われるため、水分補給もこまめに行います。活動期には胃内容の排出が遅れ、悪心・嘔吐が起こりやすくなるので、固形物にこだわらず飲み物やゼリーなど摂りやすい形を工夫します。

かつては、緊急帝王切開で全身麻酔をかけたときの誤嚥(メンデルソン症候群)を心配して、分娩中は絶飲食とする考え方がありました。しかしローリスクの産婦ではその危険は低く、WHOの分娩期ケアの推奨(2018年)でも、低リスクの産婦には分娩中の経口での水分・食事摂取が推奨されています。帝王切開の可能性が高いハイリスクの産婦では、医師の指示や施設の方針に従って摂取を制限することがあります。

清潔・排泄の援助の考え方

  • 清潔:未破水で正常経過であれば、シャワー浴ができます。温熱による血行促進と筋緊張の緩和、気分転換によって産痛がやわらぎ、汗や分泌物を洗い流して爽快感も得られます。胎児心拍と陣痛の状態を確認してから行い、転倒に注意します。破水後は上行性感染を防ぐため、浴槽への入浴は避けます。
  • 排泄:膀胱が充満すると児頭の下降が妨げられ、陣痛も弱まります。2〜3時間ごとに自然排尿を促すのが基本です。児頭が下降すると膀胱頸部や尿道が圧迫されて、尿意を感じにくく排尿しにくくなるため、恥骨上部の膨隆も観察します。導尿は自分で排尿できず膀胱が充満しているときに限ります。
  • パッド交換:清潔を保つためだけでなく、産徴(血性分泌物)、破水の有無、羊水の色・量・におい、出血を観察する機会でもあります。汚れの程度に応じて交換します。

分娩第1期の援助は「食べる・飲む・動く・自分で排泄する」を支えることが基本です。設問の条件から制限が不要な状況だと読み取れれば、画一的・侵襲的な処置は選ばずに解答できます。

選択肢の確認

1.シャワー浴は控える。:正常経過で未破水であれば、シャワー浴を控える理由はありません。卵膜が保たれていて上行性感染の危険が低く、温熱による血行促進やリラックス効果で産痛の緩和も期待できます。胎児心拍と陣痛の状態を確認し、転倒防止に配慮して行います。入浴の制限を考えるのは破水後で、浴槽への入浴を避けるのが一般的です。未破水と破水後の対応を取り違えないようにします。

2.3時間おきに導尿を行う。:排尿援助の基本は、2〜3時間ごとに自然排尿を促すことで、時間を決めて導尿することではありません。導尿は侵襲的な処置で、尿路感染や尿道の損傷、産婦の苦痛を招きます。自分で排尿できず、恥骨上部の膨隆などから膀胱充満が確認されたときに限って行います。「2〜3時間ごと」という数字は自然排尿を促す間隔であり、導尿の間隔と混同しないよう注意します。

3.パッドの交換は1時間おきに行う。:パッドの交換は、分泌物や出血による汚れの程度に応じて行うもので、決まった間隔で機械的に行うものではありません。分泌物が少なければ頻回な交換は産婦の休息を妨げます。反対に、破水や出血が多いときは1時間を待たずに交換が必要です。交換のたびに産徴、破水の有無、羊水の性状、出血量を観察することが大切です。

4.エネルギー源となる食べ物を勧める。:正答。分娩第1期は長時間に及び、子宮収縮や後の努責に多くのエネルギーを使います。消化がよく糖質中心の食べ物を、陣痛間欠に少量ずつ勧めます。これにより疲労やケトーシスを防ぎ、微弱陣痛や分娩遷延の予防につながります。水分補給もあわせて行います。

覚えるポイント

  • 分娩第1期(正常経過・未破水)は食事や水分を制限せず、消化がよく糖質中心のものを陣痛間欠に少量ずつ勧めます。エネルギー不足は疲労、ケトーシス、微弱陣痛、分娩遷延につながります。
  • 未破水ならシャワー浴ができます。破水後は上行性感染を防ぐため、浴槽への入浴は避けます。
  • 排尿は2〜3時間ごとに自然排尿を促します。膀胱充満は児頭の下降を妨げ、陣痛を弱めます。導尿は自分で排尿できないときに限ります。
  • パッドの交換は汚れに応じて行い、そのたびに産徴、破水、羊水の色・量・におい、出血を観察します。
  • 設問の「正常経過」「未破水」は、制限が不要なことを示す条件です。画一的な時間設定の処置や侵襲的な処置は選びません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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