第106回

106AM023|第106回 助産師国家試験 過去問

助産師が1歳6か月児の養育者に子どもの社会性の発達を促す支援として伝える内容で適切なのはどれか。

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正解3

正答

3.おもちゃで遊んでいるときは、そばにいてやり取りを楽しむ。

この問題のポイント

1歳6か月児の社会性の発達段階と、それを伸ばす養育者の関わり方を問う問題です。この時期の子どもは、指差しで関心を大人と共有し(共同注意)、養育者を安全基地にして遊びや探索を広げ、模倣を通して人との関わり方を身につけていきます。「社会性の発達を促す」という条件から、発達段階に合った応答的な関わりを選びます。

解説

問題文の手がかり

設問は「1歳6か月児」「社会性の発達を促す」の2点に絞られています。各選択肢の関わりが、この月齢で育ちつつある力を伸ばすものか、まだ備わっていない力を求めるものかを見分けることが解答の鍵です。

1歳6か月児の発達の特徴

  • 運動:独歩が安定し、行動範囲と探索が一気に広がります。
  • 言語・認知:意味のある単語をいくつか話します。大人の動作をまねる模倣が盛んになり、物を別の物に見立てる遊びも芽生えます。
  • 社会性・情緒:主な養育者への愛着を土台に、養育者を安全基地として離れては戻る行動を繰り返します。自己主張が強まり始め、自我が芽生えます(第一反抗期が目立つのは2〜3歳頃)。他児への関心は出てきますが、一緒に遊びを組み立てる力はまだありません。

共同注意と応答的な関わり

共同注意とは、子どもと大人が同じ対象に注意を向け、そのことを互いに意識している状態です。生後9か月頃から見られるようになり、1歳6か月頃には、見つけたものを指差して「見て」と伝え、大人の顔を振り返って反応を確かめるようになります。指差しには要求・叙述(共感を求める)・応答(「〇〇はどれ?」に指で答える)の種類があります。1歳6か月児健康診査で指差しを確認するのは、共同注意が言葉とコミュニケーションの基盤であり、発達の偏りに早く気づく手がかりになるからです。

子どもが遊びの中で見せた物や声や動作に養育者が応じ、「ブーブー走ったね」と言葉を添えて返すと、子どもは次のことを経験します。

  • 自分の思いが相手に伝わる喜び
  • 交互にやり取りする心地よさ
  • まねをしたり、まねをされたりする楽しさ

こうした大人との1対1のやり取りが、のちに他児と関わる力の土台になります。

遊びの発達段階との関係

遊びは、ひとり遊びから、同じ場所でそれぞれが遊ぶ平行遊び(2歳頃から目立つ)、他児と同じ遊びをする連合遊び、役割やルールを共有する協同遊び(おおむね4〜5歳以降)へと進みます。1歳6か月は大人とのやり取りが遊びの中心となる時期です。子ども同士で遊びを調整する力はまだ育っていません。

エリクソンの発達課題

幼児前期(おおむね1〜3歳)の課題は「自律性 対 恥・疑惑」です。自分でやりたい気持ちを尊重し、失敗を責めない関わりが自律性を育てます。

実践での生かし方

助産師は新生児訪問や育児相談などを通じて、出産後も親子に関わります。養育者がしつけの方法に悩んでいるとき、発達段階を根拠に「今できること」「まだ難しいこと」を伝え、具体的な関わり方を示すことが支援になります。

選択肢の確認

1.児がお菓子を買うよう泣いて要求したら購入する。:泣けば要求が通る経験を重ねると、その行動が強化され、泣いて要求する場面がかえって増えやすくなります。この月齢では気持ちをまだ言葉にできないため、欲求が通らずに泣くこと自体は自然な反応です。望ましいのは「欲しかったね」と気持ちを受け止めて言葉にしつつ、買わないと決めたことは一貫させる対応で、別のものに注意を向けて気持ちを切り替えやすくする工夫も有効です。気持ちを受け止めることと要求をすべて通すことは別であり、購入してしまうと我慢や気持ちの切り替えを学ぶ機会を奪うため不適切です。

2.児が排泄前に意思表示ができないときは児を注意する。:排泄前に意思表示をするには、膀胱に尿がたまった感覚に気づき、それを言葉やしぐさで伝える力が必要で、1歳6か月ではまだ十分にできない子どもが多い時期です。トイレットトレーニングは、歩行の安定、排尿間隔がある程度あくこと、簡単な意思表示ができることといった準備が整ってから、一般に2歳前後以降に始めます。昼間の排泄の自立はおおむね3〜4歳頃です。できないことを注意すると、自律性ではなく恥や疑惑の感情を強め、排泄を嫌がる原因にもなります。できたときにほめ、失敗は責めない関わりが基本であるため不適切です。

3.おもちゃで遊んでいるときは、そばにいてやり取りを楽しむ。:正答。養育者がそばにいることで、子どもは安心して遊びや探索に集中できます。子どもの関心に沿って応じ、言葉を添えて返すことで、共同注意、模倣、言葉、やり取りの楽しさが育ちます。大人が遊びを指示したり教え込んだりするのではなく、子どもが主導する遊びに応答的に付き合う姿勢が、この時期の社会性の発達を最も直接的に促します。

4.子どもが同一のものを取り合う場合は子ども同士で解決するまで見守る。:1歳6か月は自己中心性が強く、相手の気持ちを推し量ることも、「貸して」「順番」と言葉で交渉することもまだできない時期です。子どもだけに任せると、力の強い子が物を取るだけで終わったり、叩く・噛みつくといったけがにつながったりします。取り合いは他児への関心の表れで大切な経験ですが、大人が間に入って「〇〇ちゃんもこれで遊びたかったね」と双方の気持ちを代弁し、「貸して」「どうぞ」「順番ね」を示してやり取りの仕方を学ばせる必要があります。子ども同士の解決を見守る関わりが意味を持つのは、言葉で交渉でき協同遊びができる年長の幼児期であり、その場合も危険があれば介入します。この月齢には合わないため不適切です。

覚えるポイント

  • 1歳6か月児の目安は、独歩の安定、意味のある単語をいくつか話す、指差し(要求・叙述・応答)、模倣です。1歳6か月児健康診査は母子保健法第12条に基づき市町村が実施します。
  • 共同注意は生後9か月頃から現れ、言葉と社会性の基盤になります。養育者の応答的な関わり(そばにいて、関心に応じ、言葉を添える)で育ちます。
  • 遊びは、ひとり遊び→平行遊び→連合遊び→協同遊びの順に発達します。1歳半では子ども同士の調整はできないため、取り合いには大人が気持ちを代弁して仲立ちします。
  • エリクソンの幼児前期の課題は「自律性 対 恥・疑惑」です。排泄の失敗は叱らず、トイレットトレーニングは準備(歩行の安定、排尿間隔、意思表示)が整ってから始めます。
  • 泣いての要求には「気持ちは受け止める、ルールは一貫させる」で対応します。要求を通すことが受容ではありません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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