第106回

106PM012|第106回 助産師国家試験 過去問

第2前方後頭位での正常分娩における児頭の娩出機転で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.骨重積は左頭頂骨が右頭頂骨の上に重なる。

この問題のポイント

第2前方後頭位の分娩で、児頭の高さに応じた矢状縫合・小泉門・大泉門の位置と、骨重積でどちらの頭頂骨が上になるかを問う問題です。第2胎向では児背が母体の右側にあり、内診の時計表示(恥骨側12時、仙骨側6時、産婦の左3時、右9時)で小泉門が9時から12時へ回旋することが手がかりになります。骨重積では前在(恥骨側)の頭頂骨が後在(仙骨側)の頭頂骨の上に重なり、第2胎向では児の左頭頂骨が前在です。選択肢によって高さの基準が「先進部」と「最大周囲径」に分かれている点にも注意が必要です。

解説

第2前方後頭位と内診の時計表示

胎向は児背の向きで決まり、児背が母体の左側なら第1胎向、右側なら第2胎向です。児背が前方にあれば第1分類(前方)、後方にあれば第2分類(後方)とよびます。第2前方後頭位は、児背が母体の右前方にあり、屈曲した児頭の後頭(小泉門)が先進する状態です。

内診所見は時計の文字盤に当てはめて表し、恥骨結合側を12時、仙骨側を6時、産婦の左側を3時、右側を9時とします。小泉門は児背と同じ側にあるため、第2胎向では入口部の段階で小泉門が9時、大泉門がその反対の3時方向にあります。第1胎向ではこれが逆になり、小泉門が3時、大泉門が9時です。

児頭の高さと回旋の進み方

児頭の高さは、次の2つの方法で表します。

  • Hodge骨盤平行平面:第1平行平面は恥骨結合上縁と岬角を結ぶ面で、骨盤入口面にあたります。第2平行平面は恥骨結合下縁を、第3平行平面は坐骨棘を、第4平行平面は尾骨先端を通り、いずれも第1平行平面に平行です。
  • De Leeのステーション:坐骨棘間線を0とし、それより上をマイナス、下をプラスとしてcmで表します。第3平行平面がステーション0に相当します。

児頭の最大周囲径は先進部より上方にあります。最大周囲径が入口面を通過した状態を嵌入といいます。先進部が坐骨棘の高さ(第3平行平面)に達していれば、最大周囲径は入口部を越えて濶部にあると判断します。問題文が「先進部」と「最大周囲径」のどちらを基準にしているかを読み分けることが大切です。

児頭は骨盤入口に進入する際に屈曲し、小泉門を先進させます(第1回旋)。その後、下降しながら小泉門が恥骨側へ向かうように回旋します(第2回旋)。第2前方後頭位では、矢状縫合と泉門は次のように移ります。

  • 最大周囲径が入口部:矢状縫合は横径に一致し、小泉門は9時、大泉門は3時方向にあります。
  • 最大周囲径が濶部〜峡部:矢状縫合は斜径を経て縦径に近づき、小泉門は10〜11時、大泉門は4〜5時方向へ移ります。
  • 最大周囲径が出口部:矢状縫合は縦径に一致し、小泉門は12時、大泉門は6時方向にあります。

続いて、項部が恥骨結合下縁を支点として児頭が反屈(伸展)し、娩出されます(第3回旋)。その後、肩の回旋に伴って児の顔は母体の左大腿内側を向きます(第4回旋)。第1胎向では右大腿内側を向きます。

骨重積

児の頭蓋骨は縫合と泉門でつながっているだけなので、産道で圧迫されると骨どうしが重なり合い、周囲径が小さくなります。これが骨重積で、原則は次の2つです。

  • 前頭骨と後頭骨は、頭頂骨の下に入り込みます。
  • 左右の頭頂骨では、仙骨側にある後在の頭頂骨が前在の頭頂骨の下に入り込み、恥骨側にある前在の頭頂骨が上に重なります。

どちらの頭頂骨が前在になるかは、胎向で決まります。頭位で児背が母体の右側にある第2胎向では、児の顔は母体の左側を向きます。このとき、児の左半身が母体の前方(恥骨側)、右半身が後方(仙骨側)になります。内診でいえば、入口部で小泉門9時・大泉門3時にある児頭を頭頂側から触れる形になり、左頭頂骨が12時側、右頭頂骨が6時側にあります。したがって、第2胎向では左頭頂骨が前在となり、右頭頂骨の上に重なります。第1胎向では右頭頂骨が前在となるため、右頭頂骨が上になります。前方後頭位では産瘤も前在頭頂骨に生じ、第1胎向では右頭頂骨、第2胎向では左頭頂骨にできます。

臨床では、内診で矢状縫合の走行と小泉門の位置を追い、回旋が順調かどうかを判断します。これにより、小泉門が仙骨側へ回る後方後頭位や、骨盤底近くまで下降しても矢状縫合が横径のままの低在横定位などの回旋異常に早く気づけます。骨重積は生後数日で自然に戻ります。出生後の頭部観察では、縫合を越える産瘤や縫合を越えない頭血腫と区別して評価します。

選択肢の確認

1.児頭の先進部がHodge〈ホッジ〉骨盤平行平面区分で第3平行平面にある場合、矢状縫合は骨盤横径に一致する。:先進部が第3平行平面(坐骨棘の高さ、ステーション0)まで下降していれば、最大周囲径はすでに入口面を通過して濶部にあります。この段階では第2回旋が始まっており、矢状縫合は横径から斜径方向へ移っています。矢状縫合が横径に一致するのは最大周囲径が入口部にある時期なので、この記述は誤りです。先進部と最大周囲径の基準を混同すると、選んでしまいやすい選択肢です。

2.児頭の最大周囲径が骨盤入口部にある場合、小泉門は2時方向にある。:最大周囲径が入口部にある時点では、第1回旋(屈曲)は起きていますが、第2回旋(内回旋)はまだ始まっていません。そのため矢状縫合は横径に一致し、第2胎向の小泉門は産婦の右側の9時方向にあります。その後も小泉門は産婦の右側を9時から12時へ回旋するので、産婦の左前方にあたる2時方向に来ることはありません。2時方向は、第1胎向の小泉門が3時から12時へ回旋する途中の位置です。

3.児頭の最大周囲径が骨盤峡部にある場合、大泉門は7時方向にある。:第2前方後頭位で最大周囲径が峡部に達したころ、小泉門は9時から12時へ向かう途中の10〜11時方向にあります。大泉門はその反対の4〜5時方向(仙骨側に寄った産婦の左側)です。7時方向は仙骨側に寄った産婦の右側で、小泉門が1時方向にある第1前方後頭位での大泉門の位置にあたるため、この記述は誤りです。

4.骨重積は左頭頂骨が右頭頂骨の上に重なる。:正答。第2胎向では児の左半身が母体の前方(恥骨側)、右半身が後方(仙骨側)を向くため、左頭頂骨が前在、右頭頂骨が後在となります。骨重積では後在の頭頂骨が前在の頭頂骨の下に入り込むので、前在の左頭頂骨が後在の右頭頂骨の上に重なります。第1胎向では右頭頂骨が前在となるため、右頭頂骨が上になります。

覚えるポイント

  • 胎向:児背が母体の左なら第1胎向、右なら第2胎向です。児背が前方なら第1分類、後方なら第2分類です。
  • 内診の時計表示:恥骨側12時、仙骨側6時、産婦の左3時、右9時です。小泉門は第1胎向で3時→12時、第2胎向で9時→12時へ回旋し、大泉門は常にその反対側にあります。
  • 矢状縫合の向き:入口部で横径、濶部〜峡部で斜径から縦径に近づき、出口部で縦径です。
  • 高さの基準:Hodge第3平行平面=坐骨棘=ステーション0です。先進部がここに達していれば、最大周囲径は入口部を通過(嵌入)しています。
  • 骨重積:前頭骨・後頭骨は頭頂骨の下へ入ります。左右の頭頂骨は前在(恥骨側)が後在(仙骨側)の上に重なり、第1胎向は右頭頂骨、第2胎向は左頭頂骨が上です。前在頭頂骨は児背のある側と反対の名前(児背が左なら右頭頂骨)で、前方後頭位の産瘤もここにできます。
  • 回旋の順序:第1回旋(屈曲)→第2回旋(内回旋)→第3回旋(反屈)→第4回旋(外回旋)です。外回旋では、児の顔が第1胎向で母体の右大腿、第2胎向で左大腿を向きます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。

解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。

学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。