第106回

106PM024|第106回 助産師国家試験 過去問

Aちゃん(生後9か月、男児)は助産所で出生し、これまでに異常を指摘されたことはない。出生体重3,000 g。完全母乳栄養で育ち、離乳食は生後6か月から始まり、現在は1日2回食で歯ぐきで潰して食べている。Aちゃんの母親は「上の子の同じ時期に比べて食べる量が少ない。大丈夫でしょうか」と助産所に相談に来た。来所時、身長72.0 cm、体重9,000 g、母乳の授乳回数は1日5回であった。Aちゃんは子ども用の椅子に座って離乳食を食べている。助産師の母親への助言で適切なのはどれか。

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正解5

正答

5.「このまま1日3回食へ進めていきましょう」

この問題のポイント

生後9か月児の発育と食べる機能を評価し、「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定)に沿って離乳の次の段階を判断する問題です。判断の手がかりは、身長・体重が順調に増えていること、歯ぐきでつぶして食べられていること、椅子に座って食べられていることの3点です。発育が順調なので、上の子より食べる量が少なくても心配はなく、目安どおり離乳後期の1日3回食へ進めるのが適切な助言になります。

解説

事例の情報を整理する

  • 月齢と経過:生後9か月の男児です。出生体重は3,000 gで、これまで異常を指摘されたことはありません。完全母乳栄養で育ち、離乳食は生後6か月から始めています。
  • 発育:身長72.0 cm、体重9,000 gです。体重は出生時のちょうど3倍になっています。体重は生後3〜4か月で出生時の約2倍、1歳で約3倍になるのが目安なので、9か月でこの値なら体重増加は十分です。カウプ指数は、体重9,000 gを身長72.0 cmの2乗(5,184)で割って10を掛けると約17.4となり、乳児の「普通」とされる範囲に入ります。
  • 食べる機能:1日2回食で、歯ぐきでつぶして食べています。これは離乳後期に求められる固さに、すでに対応できていることを意味します。
  • 姿勢・意欲:子ども用の椅子に座って食べており、座位が安定し、食事に参加できています。
  • 授乳:母乳は1日5回です。
  • 母親の訴え:上の子の同じ時期と比べて食べる量が少ないことを心配しています。

食べる量が足りているかは「発育」で判断する

離乳食の量が適切かどうかは、きょうだいとの比較や量の目安の数字ではなく、子ども自身の成長で判断します。ガイドでも、量の目安はあくまで目安であり、一人ひとりの食欲や成長・発達の状況に応じて調整するとしています。確認方法としては、母子健康手帳の乳幼児身体発育曲線に身長と体重を記入し、カーブに沿って伸びているかを見ます。Aちゃんは発育・機能とも順調で、今の食べる量でAちゃんに必要な栄養はとれていると判断できます。食べる量やペースには個人差があることを伝え、母親の不安を受け止めて安心してもらうことが支援の出発点です。

離乳の進め方の目安(授乳・離乳の支援ガイド2019年改定)

  • 離乳初期(生後5〜6か月頃):なめらかにすりつぶした状態のものを1日1回与えます。口を閉じて取り込み、飲み込むことを覚える時期です。
  • 離乳中期(生後7〜8か月頃):舌でつぶせる固さのものを1日2回与えます。舌と上あごでつぶして食べる時期です。
  • 離乳後期(生後9〜11か月頃):歯ぐきでつぶせる固さのものを1日3回与えます。食欲に応じて量を増やし、手づかみ食べも始まります。
  • 離乳完了期(生後12〜18か月頃):歯ぐきで噛める固さのものを1日3回与え、必要に応じて1日1〜2回の補食を加えます。

Aちゃんは6か月で離乳を始め、中期の2回食を経て、9か月の今は歯ぐきでつぶして食べられています。離乳後期に進む条件がそろっているので、1日3回食に進めることが目安どおりの対応になります。3回食にすると、朝・昼・夕の食事のリズムが整い、生活リズムの土台にもなります。

母乳との関係と栄養面の注意

離乳後期の授乳は、離乳食の後に母乳を与え、それとは別に子どもが欲するままに母乳を与えるのが基本です。1日5回の授乳は問題ありません。なお、離乳の完了とは、エネルギーや栄養素の大部分を母乳以外の食物からとれるようになった状態を指し、母乳をやめることを意味しません。

完全母乳栄養の児は、鉄やビタミンDが不足しやすいとされています。離乳後期以降は、赤身の魚や肉、レバーなどを取り入れるよう助言します。3回食に進んで食品の種類を増やすことは、この点でも意味があります。

選択肢の確認

1.「授乳回数を減らしましょう」:離乳期の母乳は子どもが欲するままに与えるのが基本です。発育も順調なので、授乳を制限する理由はありません。「母乳を減らせばお腹がすいて離乳食を食べるのでは」と考えやすいですが、授乳を減らすと必要な栄養や水分、母子の安心感まで損なうおそれがあります。離乳食の量は、授乳を減らして増やすものではなく、食欲と発育を見ながら調整します。

2.「もう少し柔らかく調理しましょう」:Aちゃんは、離乳後期の目標である「歯ぐきでつぶせる固さ」をすでに食べられています。柔らかくすると、中期の段階に後戻りすることになります。歯ぐきでつぶす力やかむ練習の機会も減ってしまいます。柔らかさを見直すのは、うまく食べられない場合です。たとえば、丸のみをする、口から出してしまう、むせるといった様子があり、固さが合っていないと判断されるときです。

3.「好きな食品を重点的にあげましょう」:離乳期は、いろいろな食品の味や舌ざわりを経験し、食べられる食品の幅を広げていく時期です。好きなものに偏ると、栄養のバランスが崩れます。特に完全母乳栄養児で不足しやすい鉄(赤身の魚・肉・レバーなど)もとりにくくなります。食が進まないときに、好む調理法や味付けを工夫するのはかまいません。ただし、食品の種類を絞る助言は適切ではありません。

4.「時間を決めずに離乳食をあげましょう」:離乳食は、時間を決めて与えることで空腹と満腹のリズムができ、食事のリズムと生活リズムが整っていきます。時間を決めずに与えると、だらだら食べになりやすいです。空腹感が育たず、かえって1回に食べる量が安定しません。家族と一緒に決まった時間に食べる「共食」も、食べる意欲を育てるうえで大切です。

5.「このまま1日3回食へ進めていきましょう」:正答。身長・体重の増加が順調で、歯ぐきでつぶして食べられており、座位も安定しています。生後9か月頃に離乳後期の1日3回食へ進むという目安にそのまま当てはまります。量が上の子より少ないのは個人差の範囲です。発育が順調であることを伝えて母親を安心させ、予定どおり離乳を進めるよう助言するのが適切です。

覚えるポイント

  • 離乳の目安(2019年改定ガイド)は次のとおりです。初期5〜6か月頃は1日1回・なめらかにすりつぶした状態、中期7〜8か月頃は1日2回・舌でつぶせる固さ、後期9〜11か月頃は1日3回・歯ぐきでつぶせる固さ、完了期12〜18か月頃は1日3回+補食・歯ぐきで噛める固さです。
  • 食べる量が足りているかは、量の目安やきょうだいとの比較ではなく、成長曲線に沿った発育で判断します。
  • 体重は生後3〜4か月で出生時の約2倍、1歳で約3倍になります。身長は1歳で出生時の約1.5倍になります。カウプ指数は体重(g)÷身長(cm)²×10で求めます。
  • 離乳中も母乳は子どもが欲するままに与えます。離乳の完了は、母乳をやめることを意味しません。
  • 母乳栄養児は鉄やビタミンDが不足しやすいため、離乳後期以降は赤身の魚・肉・レバーなどを取り入れます。
  • 食事は時間を決めてリズムをつくり、いろいろな食品を経験させます。9か月頃からの手づかみ食べは、積極的にさせたい行動です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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