第106回

106PM026|第106回 助産師国家試験 過去問

2つ選択

特別養子縁組制度について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答・解説を見る

正解4・5

正答

4.保護を必要とする子どものための制度である。
5.特別養子縁組の成立には家庭裁判所の調査に基づく審判が必要である。

この問題のポイント

特別養子縁組の目的、成立手続、法的効果(親権と実親との関係)、戸籍の記載、創設時期を問う問題です。制度の骨格は「子の利益のための制度」であることと「家庭裁判所の審判で成立する」ことの2点です。普通養子縁組や里親制度との違いを整理できているかが判断の鍵になります。

解説

制度の目的と成り立ち

特別養子縁組は民法に定められた養子縁組の一形態です。実親のもとで育つことが難しい子どもに、実親子と同じように安定した法的親子関係と家庭を保障することを目的としています。民法は、父母による監護が著しく困難または不適当であることなどの特別の事情があり、子の利益のため特に必要があると認めるときに成立させると定めています。「家の跡継ぎ」や「養親の希望」のための養子ではなく、「保護を必要とする子ども」のための養子である点が最大の特徴です。

この制度は昭和62年(1987年)の民法改正で創設され、昭和63年(1988年)から施行されています。創設の背景には、産婦人科医が中絶を望む女性から生まれた子を、出生証明書を偽って子を望む夫婦の実子としてあっせんした事件(いわゆる菊田医師事件)があり、子の福祉のための養子制度が議論されるきっかけになりました。

成立の手続と要件

普通養子縁組は、当事者の合意にもとづく市区町村への届出で成立します(未成年者を養子とする場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です)。これに対し特別養子縁組は、養親となる者の請求を受けて家庭裁判所が審判で成立させます。家庭裁判所調査官が養親となる者の適格性や子の状況を調査し、養親となる者が6か月以上子を監護した状況(試験養育期間)も考慮して判断します。

  • 養親:配偶者のある者が夫婦で養親となります。25歳以上で、夫婦の一方が25歳以上なら他方は20歳以上でかまいません。
  • 養子:原則15歳未満です。15歳になる前から養親候補者に監護されていた場合などには例外がありますが、18歳以上は養子になれません。15歳以上の場合は本人の同意が必要です。
  • 実父母の同意:原則として必要です。ただし、実父母が意思を表示できない場合や、虐待・悪意の遺棄など子の利益を著しく害する事由がある場合は、同意がなくても成立します。

令和2年(2020年)4月施行の改正で、養子の上限年齢が原則6歳未満から原則15歳未満に引き上げられました。また手続が「特別養子適格の確認」と「特別養子縁組の成立」の二段階の審判に分けられ、児童相談所長が申立てや手続参加をできるようになりました。出題当時はこの改正がすでに施行されています。

成立後の効果

  • 実父母およびその血族との法的な親族関係は終了します。普通養子縁組では実親との関係が続く点と対照的です。
  • 親権は養親が持ちます。
  • 離縁は原則としてできません。養親による虐待や悪意の遺棄などがあり、実父母が相当の監護をできる場合に限って、養子・実父母・検察官の請求により家庭裁判所が認めます。養親から離縁を求めることはできません。
  • 戸籍では、続柄が「長男」「長女」など実子と同じ形で記載されます。一方、身分事項欄には裁判確定の旨が記載され、従前の戸籍をたどれば実親を確認できます。子が自分の出自を知る権利にも配慮した仕組みです。

助産の実践とのつながり

予期しない妊娠をした女性や、出産後の養育が難しいと予想される特定妊婦に関わる場面では、妊娠中から児童相談所や民間あっせん機関と連携します。そのうえで、出産後早期の特別養子縁組(新生児委託)が選択肢になることがあります。助産師には、実親との親子関係が終了し原則として離縁できないことなどを正確に伝え、女性が急かされずに意思決定できるよう支える役割があります。

選択肢の確認

1.親権は実親が持つ。:特別養子縁組が成立すると実父母との親族関係は終了し、親権は養親が持ちます。実親に親権が残るのは、法的な親子関係をつくらない里親委託の場合で、この選択肢は里親制度と取り違えやすい内容です。なお、普通養子縁組でも未成年の養子の親権は養親にあります。

2.平成28年から日本で導入されている。:特別養子縁組は昭和62年の民法改正で創設され、昭和63年から施行されています。平成28年は、児童福祉法改正で家庭養育優先の原則が示され、養子縁組に関する相談・支援が都道府県(児童相談所)の業務に位置づけられた年です。同じ年には、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに関する法律も成立しました。制度を後押しする動きがあった年と、制度の導入年を混同しないようにします。

3.養親子の戸籍に養子関係の記載をする。:特別養子の戸籍では、続柄を「養子」「養女」とせず、「長男」「長女」など実子と同じ形で記載し、父母欄にも養親の氏名だけを記載します。身分事項欄に裁判確定の旨は記載されますが、一見して養親子と分かる表記はしません。続柄に「養子」と書き、養親と実親の双方が戸籍に現れるのは普通養子縁組です。

4.保護を必要とする子どものための制度である。:正答。民法は、父母による監護が著しく困難または不適当であるなどの特別の事情があり、子の利益のため特に必要があると認めるときに成立させると定めています。実親のもとで育つことが難しい子どもに、永続的な家庭を保障するための制度です。

5.特別養子縁組の成立には家庭裁判所の調査に基づく審判が必要である。:正答。家庭裁判所調査官による調査や、6か月以上の試験養育期間における監護状況をふまえ、家庭裁判所が審判で成立させます。当事者の届出で成立する普通養子縁組との最も大きな違いです。審判確定後の市区町村への届出は、成立した事実を戸籍に反映させるためのものです。

覚えるポイント

  • 特別養子縁組は「子の利益のため」の制度で、家庭裁判所の審判で成立します。普通養子縁組は届出で成立します(未成年の養子は原則として家庭裁判所の許可が必要)。
  • 成立すると実親との親族関係は終了し、親権は養親が持ちます。離縁は原則できず、養親から請求することはできません。
  • 戸籍の続柄は「長男・長女」と実子と同じ形で記載します。「養子・養女」と記載するのは普通養子縁組です。
  • 要件は、養親が夫婦で一方が25歳以上(他方は20歳以上)、養子が原則15歳未満(令和2年施行の改正前は原則6歳未満)、実父母の同意(例外あり)、6か月以上の試験養育です。
  • 創設は昭和62年の民法改正で、施行は昭和63年です。平成28年は児童福祉法改正で家庭養育優先の原則が示された年です。
  • 里親は法的な親子関係をつくらず、親権は実親に残ります。特別養子縁組とは明確に区別します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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