56PM068|第56回 視能訓練士国家試験 過去問
29 歳の男性。自転車運転中に街路樹にぶつかり転倒し鼻出血があった。その後、複視を自覚し来院した。視力は両眼ともに1.2(矯正不能)。Hess 赤緑試験の結果(別冊No. 9)を別に示す。この患者で考えられるのはどれか。

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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
外傷後の複視とHess赤緑試験から病態を判断する図問題です。
解説
顔面の打撲と鼻出血の既往に続く複視です。Hess図では右眼の図が小さく、上転・下転方向とも強く制限され、とくに上方視の点が中央に引き込まれています。一方、左眼の図は大きく、上方へ張り出す過動を示しています。片眼だけが機械的に動かなくなる制限性の眼球運動障害のパターンで、外傷後であることから右眼の眼窩吹き抜け骨折による下直筋の絞扼を疑います。
鼻出血は骨折が篩骨洞・上顎洞と交通したことを示す重要な所見です。制限性なので牽引試験が陽性となり、確定診断は眼窩CT(冠状断)で行います。甲状腺眼症も制限性ですが外傷の経過に合わず、下斜筋過動・滑車神経麻痺・重症筋無力症はこの記録の形になりません。
選択肢の確認
1.甲状腺眼症
誤り。甲状腺眼症は両眼性で緩徐に進行する。
2.下斜筋過動症
誤り。下斜筋過動症は外傷とは無関係である。
3.滑車神経麻痺
誤り。滑車神経麻痺は麻痺性で牽引試験は陰性である。
4.重症筋無力症
誤り。重症筋無力症では日内変動がみられる。
5.眼窩吹き抜け骨折
正しい。外傷と鼻出血の既往から眼窩吹き抜け骨折が考えられる。
覚えるポイント
- 眼窩吹き抜け骨折=下壁と内側壁に多い。鼻出血・眼窩気腫を伴う。
- 下直筋の絞扼=上転制限。内直筋の絞扼=外転制限。
- 確定診断=眼窩CT(冠状断)。小児のtrapdoor型は緊急手術の適応。