56PM071|第56回 視能訓練士国家試験 過去問
76 歳の女性。15 年前からの複視が徐々に悪化していると訴え来院した。視力は右1.0(矯正不能)、左0.9(1.0×+0.75 D)。眼位は遠見で6 Δ外斜視16 Δ左上斜視、近見で16 Δ外斜視14 Δ左上斜視である。Bielschowsky 頭部傾斜試験で左傾斜時に左上斜視が増大する。小学生のころの写真で、右への頭部傾斜がみられる。全身疾患や頭部外傷の既往はない。この患者で考えられるのはどれか。2 つ選べ。
2つ選択
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正解: 4・5
正答
4、5
この問題のポイント
先天上斜筋麻痺の代償不全例の所見を問う問題です。
解説
小学生のころの写真に右への頭部傾斜があり、Bielschowsky頭部傾斜試験が左で陽性、左上斜視という所見から、先天性の左上斜筋麻痺が加齢により代償不全に陥った状態と考えられます。
左上斜筋麻痺では、はりあい筋である左下斜筋が過動します。また上斜筋の下転作用は内転位で最大なので、左眼が内転する右方視で複視が増大します。
選択肢の確認
1.水平融像幅が広い。
誤り。先天性では垂直融像幅が広いのが特徴で、水平融像幅ではない。
2.外方回旋複視がある。
誤り。上斜筋麻痺では外方回旋するが、代償されて回旋複視の自覚は乏しいことが多い。
3.自然治癒がみられる。
誤り。代償不全は徐々に悪化しており自然治癒はしない。
4.左下斜筋の過動がある。
正しい。左上斜筋麻痺のはりあい筋である左下斜筋が過動する。
5.右方視で複視が増大する。
正しい。左眼が内転する右方視で複視が増大する。
覚えるポイント
- 先天上斜筋麻痺=広い垂直融像域、健側への頭部傾斜、顔面非対称。
- 加齢とともに融像予備力が低下し代償不全となる(成人期に複視を自覚する)。
- 古い写真での頭位の確認が先天性か後天性かの判断に有用。