第108回

108AM025|第108回 保健師国家試験 過去問

社会保障の枠組みで互助に当てはまるのはどれか。

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正解4

正答

4.自治会が健康に関する学習会を開催する。

この問題のポイント

地域包括ケアシステムを支える「自助・互助・共助・公助」の4区分に、具体的な行為を当てはめる問題です。見分ける鍵は、「誰が支えているか」と「費用が何でまかなわれているか」の2点です。費用の出どころは、本人、制度化されていない自発的な負担、社会保険料、税のいずれかに分かれます。住民の自治組織である自治会が自主的に開く学習会は、制度の裏づけのない住民どうしの支え合いなので、互助にあたります。

解説

4つの「助」の定義

この4区分は、厚生労働省の老人保健健康増進等事業として設けられた地域包括ケア研究会の報告書で整理されたものです。地域包括ケアシステムの基本的な考え方として、保健師・看護師の国家試験で繰り返し問われています。

  • 自助:自ら働いて、あるいは自らの年金収入などで自分の生活を支え、自分の健康は自分で維持することです。自らの健康管理(セルフケア)や、自分の費用で市場のサービスを購入することも含まれます。
  • 互助:人々が互いに支え合う点では共助と共通します。違いは、費用負担が制度で裏づけられていない自発的な支え合いである点です。近隣の助け合い、ボランティア活動、自治会などの住民組織の活動、当事者団体の取り組みが該当します。
  • 共助:医療保険や介護保険に代表される社会保険制度とそのサービスです。リスクを共有する被保険者が保険料を出し合う、制度化された相互扶助です。
  • 公助:自助・互助・共助では対応できない困窮などに対して、所得や生活状況などの受給要件を定めたうえで、税を財源に生活を保障するものです。生活保護、一般財源による高齢者福祉事業、人権擁護・虐待対策などが代表です。

見分け方の手順

選択肢の行為を次の順に確かめると、迷わずに判定できます。

  • 本人や世帯が、自分の力(労働・収入・健康管理)で生活や健康を支えていれば自助です。
  • 社会保険の給付を使っていれば共助です。
  • 税を財源として、要件を満たした人に国や自治体が給付していれば公助です。
  • 住民やボランティアが、制度によらず自発的に支え合っていれば互助です。

選択肢4は、主体が「自治会」という住民の自治組織で、住民が自らの意思で健康について学ぶ場をつくっています。社会保険の給付でも税による給付でもないため、互助に該当します。「互いに助け合う」という言葉の印象から共助を連想しやすいので注意してください。この区分での共助は、あくまで社会保険の仕組みを指します。

実践とのつながり

少子高齢化や財政の状況から、共助と公助を大幅に拡充することは難しく、自助と互助の役割が大きくなると考えられています。ただし、互助の強さには地域差があります。都市部は近隣関係が希薄で強い互助を期待しにくい一方、民間サービスを購入する自助が比較的しやすい環境です。都市部以外は民間市場が限られるぶん、互助の役割が大きいと整理されています。

保健師は、自治会、老人クラブ、健康づくり推進員、自主グループなどの地区組織活動を支援し、住民の互助を育てる役割を担います。地域保健対策の推進に関する基本的な指針でも、ソーシャルキャピタルを活用した住民との協働が重視されています。介護予防の「通いの場」のような住民主体の活動を立ち上げ、継続を支えることも、互助を土台にした地域づくりの一例です。

選択肢の確認

1.医療保険を使って手術を受ける。:医療保険は、被保険者が保険料を出し合って病気やけがのリスクに共同で備える社会保険です。その給付を使って手術を受けることは共助にあたります。医療保険の財源には公費も入っていますが、仕組みの基本は保険料による制度化された相互扶助なので、公助には分類しません。「支え合い」という点から互助と混同しやすいものの、保険料という制度的な費用負担の裏づけがある点が互助との決定的な違いです。

2.夫婦共働きで家族の生活費を得る。:自ら働いて収入を得て生活を支えることは、自助の定義そのものです。夫婦で協力している様子から互助と迷うかもしれませんが、この選択肢の中心は「働いて生活費をまかなう」ことにあり、世帯が自分たちの力で生計を立てる自助と判断します。互助の典型は、近隣住民、ボランティア、住民組織といった、世帯の外の人々による自発的な支え合いです。

3.健康維持のために健康診断を受ける。:自分の健康を自分で守るための行動であり、セルフケアとして自助にあたります。健診には、特定健康診査のように医療保険者に実施が義務づけられているものもあります。しかし設問は「健康維持のために受ける」という本人の行動に焦点を当てているので、実施主体ではなく行為の主体に着目して自助と判定します。

4.自治会が健康に関する学習会を開催する。:正答。自治会は住民が自主的に組織する地域の団体です。住民どうしが健康について学び合う場を自発的に設けることは、費用負担が制度で裏づけられていない支え合いであり、互助の典型です。住民が主体となって健康課題に取り組む活動はヘルスプロモーションの考え方にも合い、ソーシャルキャピタルを育てる点でも公衆衛生看護で重視されます。

5.病気によって働くことができないため生活保護を受給する。:生活保護は、日本国憲法第25条の生存権の理念に基づく生活保護法による制度で、公助の代表例です。国が生活に困窮する人に、困窮の程度に応じた保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を助長します。資産や能力の活用などを前提とする補足性の原理のもとで、税を財源として給付されます。病気で働けず自助では生活を維持できない状況を公助が補うもので、医療扶助で医療を受ける場合も、医療保険による共助ではなく公助にあたります。

覚えるポイント

  • 自助は、自ら働いて生活を支えることと、自らの健康を自ら維持すること(健診受診などのセルフケア)です。市場サービスの自費購入も含みます。
  • 互助は、費用負担が制度で裏づけられていない自発的な支え合いです。近隣の助け合い、ボランティア、自治会などの住民組織、当事者団体が該当します。
  • 共助は、医療保険や介護保険などの社会保険です。保険料を出し合う、制度化された相互扶助です。
  • 公助は、税を財源とし、受給要件を定めて行う生活保障です。生活保護、一般財源による高齢者福祉、人権擁護・虐待対策が該当します。
  • 防災分野の「自助・共助・公助」の3区分では、「共助」が自主防災組織などの住民の助け合いを指します。社会保障・地域包括ケアの4区分では、住民の助け合いは「互助」、共助は社会保険です。この違いは混同しやすいので注意しましょう。
  • 保健師は地区組織活動を支援して互助を育てます。自助・互助の役割が大きくなる流れの中で、ソーシャルキャピタルの醸成が重要になっています。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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