第109回

109AM018|第109回 保健師国家試験 過去問

日本の社会保障制度で正しいのはどれか。

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正解2

正答

2.生活保護制度は生存権を保障している。

この問題のポイント

日本の社会保障制度について、4つの分野それぞれの財源の仕組み、福祉サービスの利用方式、制度の根拠となる理念、社会保障給付費の推移を問う問題です。判断の鍵は3つあります。1つ目は、生活保護が憲法第25条の生存権を具体化した制度であることです。2つ目は、福祉サービスの利用方式が「措置から契約へ」転換したことです。3つ目は、社会保障給付費が高齢化とともに増え続けていることです。

解説

社会保障の体系

1950年の社会保障制度審議会の勧告は、社会保障を社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生及び医療の4分野に整理しました。現在もこの枠組みで理解するのが基本です。

  • 社会保険:医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険の5つです。加入者が保険料を拠出して、病気・老齢・要介護・失業・業務災害などのリスクに備えます。保険料を主な財源とし、公費も組み合わせます。
  • 社会福祉:児童、障害者、高齢者、ひとり親家庭などにサービスを提供します。財源は主に公費(税)と利用者負担です。
  • 公的扶助:生活保護が該当し、全額が公費でまかなわれます。
  • 公衆衛生及び医療:感染症対策、母子保健、健康づくりなどが該当します。

生活保護と生存権

憲法第25条第1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めています。これが生存権です。第2項は、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努める国の責務を定めています。

生活保護法は第1条で、憲法第25条の理念に基づいて国が困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的とすると明記しています。生存権を最終的に保障する「最後のセーフティネット」です。

  • 4つの基本原理:国家責任、無差別平等、最低生活保障、保護の補足性です。補足性とは、資産や能力、他法による給付を活用してもなお困窮する場合に保護するという考え方です。
  • 4つの原則:申請保護、基準及び程度、必要即応、世帯単位です。
  • 8種類の扶助:生活、教育、住宅、医療、介護、出産、生業、葬祭です。医療扶助と介護扶助は原則として現物給付です。
  • 費用負担と窓口:費用は国が4分の3、地方が4分の1を負担し、相談・申請の窓口は福祉事務所です。

保健師は地域で、経済的困窮による受診中断や生活破綻に出会うことがあります。その際は福祉事務所につなぐほか、生活困窮者自立支援制度(2015年施行)の相談窓口を活用することが求められます。生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る前の「第2のセーフティネット」です。

措置から契約へ

措置制度は、行政が行政処分としてサービスの要否・内容・提供先を決める仕組みです。利用者に選択権がない点が問題とされ、社会福祉基礎構造改革(2000年に社会福祉事業法を社会福祉法へ改正)によって、利用者が事業者を選んで契約する方式への転換が進みました。

  • 高齢者:2000年に介護保険制度が始まりました。
  • 障害者:2003年に支援費制度が始まり、2006年に障害者自立支援法、2013年に障害者総合支援法へ移行しました。

社会保障給付費の動向

社会保障給付費は、国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障費用統計」で公表されています(ILO基準)。高齢化の進行と医療の高度化を背景に長期的に増加しており、2010年度以降も増加が続きました。出題当時に最新だった2020年度分は、新型コロナウイルス感染症対策の影響で大きく伸びています。部門別では年金が最大で、医療、福祉その他が続きます。

選択肢の確認

1.保育制度は社会保険で運営している。:保育は児童福祉法に基づく社会福祉の制度で、保険料を拠出する社会保険の仕組みではありません。2015年度からの子ども・子育て支援新制度のもとで、公費(税)を中心に、保護者の所得に応じた利用者負担を組み合わせて運営されています。さらに2019年10月からは、3〜5歳児を中心に幼児教育・保育の無償化が実施されています。同じ福祉的サービスでも介護は社会保険(介護保険)で運営されているため、「介護制度」であれば正しい記述になります。この2つの混同を狙った選択肢です。

2.生活保護制度は生存権を保障している。:正答。生活保護法第1条は、憲法第25条の理念に基づいて最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的に掲げています。生存権を具体化する中核の制度です。財源は全額公費で、保険料の拠出を前提としないため、困窮していれば誰でも要件を満たす限り保護を受けられます(無差別平等の原理)。

3.障害者福祉制度は措置制度が基本になっている。:障害者福祉は、支援費制度(2003年)、障害者自立支援法(2006年)を経て、現在は障害者総合支援法に基づく契約方式が基本です。利用者は市町村に申請し、必要に応じて障害支援区分の認定を受けます。支給決定を受けたあと、自ら選んだ事業者と契約してサービスを利用します。措置は、虐待などやむを得ない事由があって契約による利用が難しい場合の例外として残っているにすぎません。なお、児童養護施設への入所や養護老人ホームへの入所は現在も措置で行われます。「措置が基本」と言えるのはこうした分野です。

4.社会保障給付費は平成22年(2010年)から10年間横ばいである。:社会保障費用統計によれば、社会保障給付費は2010年度以降も高齢化の進行を背景に年々増加しており、横ばいではありません。高齢者人口の増加によって年金・医療・介護の給付が構造的に膨らむため、長期的に増加傾向が続いています。部門別では年金が最大という点も、あわせて問われやすい知識です。

覚えるポイント

  • 社会保障は、社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生及び医療の4分野です(1950年の社会保障制度審議会勧告)。
  • 社会保険は医療・年金・介護・雇用・労災の5つで、保険料が主な財源です。保育や障害福祉は社会保険ではなく、公費と利用者負担で運営されています。
  • 生活保護は憲法第25条の生存権を具体化した制度です。4原理(国家責任・無差別平等・最低生活保障・補足性)、8扶助、国4分の3の負担を押さえましょう。
  • 福祉は「措置から契約へ」転換しました。高齢者は介護保険(2000年)、障害者は支援費制度(2003年)から障害者総合支援法(2013年)へ移行しています。児童養護施設と養護老人ホームは現在も措置です。
  • 社会保障給付費(社会保障費用統計)は長期的に増加が続いています。部門別では年金が最大で、医療、福祉その他の順です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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