第108回
108PM007|第108回 保健師国家試験 過去問
平成29年(2017年)の患者調査に基づく全国の傷病小分類別の年齢階級別外来受療率のグラフで2型糖尿病を示すのはどれか。

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正解3
正答
3.③
この問題のポイント
平成29年患者調査の年齢階級別外来受療率のグラフから、2型糖尿病の年齢分布を見分ける問題です。2型糖尿病は、インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性に、過食・運動不足・肥満などの生活習慣と加齢が重なって中年期から増えます。発症後は長く外来に通い続ける慢性疾患です。「若年ではほぼ0」「40歳代から増え始める」「年齢とともに増え続け、高齢期には数百の水準になる」という特徴をすべて満たすグラフを選びます。
解説
問題文の鍵は「年齢階級別の外来受療率」と「2型糖尿病」です。受療率が何を表す指標かと、2型糖尿病がどの年代から増える病気かを結びつけて考えます。「傷病小分類別」とあるので、糖尿病全体ではなく、2型糖尿病という細かい分類に限った受療率のグラフです。
図は4つの棒グラフで、上段左が①、上段右が②、下段左が③、下段右が④です。4つとも縦軸は受療率(人口10万対)で、目盛りは同じ0〜800です。横軸は25〜29歳から75〜79歳までの5歳刻み(11階級)です。目盛りが共通なので、棒の高さをそのまま比べられます。大きく分けると、①と③は若年でほぼ0から年齢とともに増える形です。②と④は、25〜29歳の時点ですでに200を超えています。
受療率の意味
患者調査は、厚生労働省が3年ごとに行う基幹統計調査です。全国の病院・一般診療所・歯科診療所から層化無作為抽出した施設で、10月中旬の指定された1日に受療した患者を調べます(退院患者は9月の1か月間)。
- 受療率(人口10万対)=推計患者数÷推計人口×100,000
受療率は「調査日の1日に入院または外来で医療を受けた人が、人口10万人あたり何人いたか」を表す指標で、有病率ではありません。受診していない人や治療を中断した人は数えられません。また、有病者数が同じでも、通院の間隔が短い疾患ほど高く出ます。調査日に受診していなくても継続的に治療を受けている人の数は、平均診療間隔を用いて推計します。これが総患者数です。平成29年患者調査の受療率は入院1,036、外来5,675で、外来が入院の5倍以上です。なお、総患者数は令和2年の調査から推計方法が見直されたため、平成29年以前の数値とは単純に比較できません。
2型糖尿病が示す形
日本の糖尿病の9割以上は2型です。1型糖尿病は、自己免疫機序などで膵β細胞が破壊され、通常はインスリンの絶対的欠乏に至る病型です。小児・思春期に多いものの、どの年齢でも発症します。
これに対し2型糖尿病は、遺伝素因に過食・運動不足・肥満などの環境因子が加わり、インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の増大によって発症します。加齢もインスリン分泌能の低下などを通じて発症を促すため、有病者は中年期から年齢とともに増えます。自覚症状に乏しいまま進行し、健診などで見つかった後は、食事療法・運動療法・薬物療法を続けながら定期的に外来へ通います。多くは生涯にわたる管理が必要です。そのため、新たに発症する人に治療中の人が積み重なり、外来受療率は年齢とともに上がっていきます。
平成29年患者調査では、糖尿病の総患者数は約329万人にのぼります。糖尿病の大部分が2型であることを考えると、中高年の受療率は相当高い水準になると予想できます。
この知識をもとに、次の順で絞り込みます。
- 若年期の水準を見る:2型糖尿病は、若年で発症する例もあるものの、20歳代の受療はごくわずかです。25〜29歳ですでに200を超える②と④は除外できます。
- 中年期の増え方と高齢期の水準を見る:③は40歳代で数十、50歳代で100前後と中年期から明らかに増え、75〜79歳で約360に達します。①は60〜64歳でも50に届かず、75〜79歳でも約150にとどまります。これは高齢期になってから受療が増える疾患の形です。よって2型糖尿病は③です。
ほかの3つのグラフが何の疾患か知らなくても、若年期の水準、増え始める年齢、高齢期の水準の3点を見れば正答にたどり着けます。
保健活動とのつながり
受療者が40歳代から増え始めるという分布は、特定健康診査・特定保健指導の考え方とつながります。これは高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者が40〜74歳を対象に行うもので、この年代から生活習慣病の発症予防に取り組みます。
重症化予防では、健診で高血糖を指摘された人への受診勧奨と、治療を中断した人への受診再開の支援が中心です。糖尿病性腎症重症化予防プログラムもこの考え方に立っています。日本透析医学会の統計調査では、1998年以降、新規透析導入の原因疾患の第1位は糖尿病性腎症です。
未治療の人も含めた有病者の推計は、国民健康・栄養調査で行われます。平成28年の同調査では、次の2つがそれぞれ約1,000万人と推計されています。
- 糖尿病が強く疑われる者:HbA1c(NGSP値)6.5%以上、または現在治療中
- 糖尿病の可能性を否定できない者:HbA1c 6.0%以上6.5%未満
患者調査は医療機関で受療した人を数えます。国民健康・栄養調査は身体状況の測定から、未治療者も含めた有病者を推計します。この違いはよく問われる比較点です。
選択肢の確認
1.①:30歳代まではほとんど0で、40歳代から現れて年齢とともに増える点は選択肢3と似ています。しかし増え方が緩やかで、水準も低いグラフです。50歳代でも30未満、60〜64歳で約40、65〜69歳でも約70と100に届かず、70〜74歳で100程度、75〜79歳でも約150にとどまります。中年期にはほとんど受療がなく、高齢期になって受療が増える疾患の形です。2型糖尿病は40〜50歳代から通院者が増え、高齢期には数百の水準になるので当てはまりません。「加齢とともに増える」という形だけで判断すると選択肢3と取り違えやすいので、縦軸の値まで確認することが大切です。
2.②:25〜29歳ですでに200を超え、30〜50歳代も180〜220前後でほぼ横ばいが続きます。60歳代以降にやや増え、75〜79歳で300をわずかに超えるグラフです。若い世代から一定の受療があり、年齢による差が小さい疾患の形です。若年ではほとんど受療がなく中年期以降に大きく増える2型糖尿病の分布とは一致しません。
3.③:正答。25〜29歳ではほぼ0、30歳代も10〜20程度とわずかです。そこから中年期にはっきり増え始め、40〜44歳で約40、50〜54歳で約90、55〜59歳で100を超えます。さらに60〜64歳で約190、65〜69歳で約270、70〜74歳で300を超え、75〜79歳で約360と最も高くなります。どの年齢階級も前の階級より高く、途中で下がることがありません。若年ではまれで、中年期以降に発症が増え、発症後は治療を続ける人が積み重なるという2型糖尿病の特徴と一致します。
4.④:25〜29歳ですでに約210あり、年齢とともに増えて55〜59歳で約490、70〜74歳で約750と最も高くなり、75〜79歳では約660に下がるグラフです。高齢期の受療率が4つの中で最も高いため、「糖尿病は患者数が多く、高齢者に多い」という印象だけで選ぶと誤りやすい選択肢です。しかし、20歳代後半ですでに200を超える受療がある点が、若年での受療がごくわずかな2型糖尿病と決定的に異なります。
覚えるポイント
- 受療率(人口10万対)=推計患者数÷推計人口×100,000。調査日1日に受療した人の割合で、有病率ではありません。未受診者は含まれず、通院の間隔が短い疾患ほど高く出ます。継続的に治療を受けている人の推計は総患者数です。
- 患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施し、10月中旬の指定された1日の受療状況を調べます。平成29年の受療率は入院1,036、外来5,675で、外来が入院の5倍以上です。
- 2型糖尿病の外来受療率は、若年でほぼ0、40歳代から増え始め、年齢とともに増え続けます。25〜79歳の範囲では75〜79歳が最も高くなります。
- 年齢階級別のグラフは「若年期の水準」「増え始める年齢」「高齢期の水準とピークの位置」で見分け、形が似ていれば縦軸の値を比べます。
- 受療者をみるのは患者調査(平成29年の糖尿病の総患者数は約329万人)です。未治療者を含む有病者をみるのは国民健康・栄養調査(平成28年は、糖尿病が強く疑われる者と可能性を否定できない者がそれぞれ約1,000万人)です。
- 中年期からの増加に対応するのが、40〜74歳の特定健診・特定保健指導です。受診勧奨と治療中断の防止により、新規透析導入原因の第1位である糖尿病性腎症などへの重症化を防ぎます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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