第108回

108PM023|第108回 保健師国家試験 過去問

要因A「あり」の要因A「なし」に対する疾病B「あり」のオッズ比と95%信頼区間を求めた。疾病Bの危険因子として統計学的に有意なのはどれか。なお、有意水準は5%と設定する。

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正解1

正答

1.オッズ比2.0 95%信頼区間(1.5〜2.7)

この問題のポイント

オッズ比の意味と、95%信頼区間から統計学的有意性を判定する方法を問う問題です。判断は2段階で行います。まず95%信頼区間が「1」を含むかどうかで有意水準5%での有意性を判定し、次にオッズ比が1より大きいか小さいかで危険因子か予防因子かを判定します。問題文の「危険因子として」と「統計学的に有意」の両方を満たすものが正答です。

解説

オッズ比とは

オッズは「ある事象が起こる確率÷起こらない確率」です。2×2表で次のように置きます。

  • a:要因あり・疾病あり
  • b:要因あり・疾病なし
  • c:要因なし・疾病あり
  • d:要因なし・疾病なし

このとき、オッズ比は(a/b)÷(c/d)=ad/bc で求めます。症例対照研究では、対象者を疾病の有無で選びます。そのため罹患率が得られず、相対危険(リスク比)を直接計算できません。そこで、関連の強さをオッズ比で表します。疾病がまれな場合、オッズ比は相対危険の近似値になります。

オッズ比は次のように解釈します。

  • オッズ比=1:要因の有無で疾病のオッズに差がない(関連なし)
  • オッズ比>1:要因がある方が疾病のオッズが高い(危険因子)
  • オッズ比<1:要因がある方が疾病のオッズが低い(予防因子・防御因子)

95%信頼区間と有意性の関係

標本から得たオッズ比は推定値です。真の値がどの範囲にあるかを示すのが95%信頼区間です。検定で否定したい「関連がない」という帰無仮説は、オッズ比では「1」に当たります。

  • 95%信頼区間が1を含む場合:真のオッズ比が1である可能性を否定できないため、有意水準5%で有意ではありません。
  • 95%信頼区間が1を含まない場合:両側検定でp<0.05に相当し、統計学的に有意です。

有意水準5%と95%信頼区間は対応しています(1-0.05=0.95)。

信頼区間の幅は推定の精度を表します。対象者数や該当者数が少ないほど、幅は広くなります。また、「有意でない」は「関連がないと証明された」という意味ではありません。例数不足で差を検出できなかった可能性もあります。なお、比の指標は対数をとって区間を計算します。そのため、点推定値の上下で幅が非対称に見えます。たとえば選択肢2は、2.0の4分の1から4倍までの区間です。

正答に至る判断

1段階目として、1を含まない区間は選択肢1(1.5〜2.7)と選択肢5(0.4〜0.6)の2つです。有意なのはこの2つに絞られます。2段階目として、オッズ比が1を上回るのは選択肢1(2.0)です。選択肢5(0.5)は有意ですが予防因子にあたります。よって正答は選択肢1です。

保健師は、地域診断や事業評価で調査結果や研究論文を読み、健康課題の要因を判断します。点推定値の大小だけでなく、有意性と精度を信頼区間から読み取る力が必要です。ただし、統計学的に有意でも、それだけで因果関係があるとはいえません。交絡やバイアスの影響も併せて検討します。

選択肢の確認

1.オッズ比2.0 95%信頼区間(1.5〜2.7):正答。95%信頼区間の下限1.5が1を上回っており、区間全体が1より大きいため、有意水準5%で統計学的に有意です。オッズ比2.0は、要因Aがある人の疾病Bのオッズがない人の2倍であることを示します。したがって、要因Aは疾病Bの危険因子と判断できます。

2.オッズ比2.0 95%信頼区間(0.5〜8.0):点推定値は2.0で危険因子の方向を示しますが、95%信頼区間が0.5から8.0と1をまたいでいます。真のオッズ比が1である可能性を否定できないため、有意水準5%では統計学的に有意とはいえません。区間が非常に広いことから、対象者数が少ないなど推定の精度が低いことも読み取れます。点推定値だけを見て危険因子と判断させる誤りを狙った選択肢です。

3.オッズ比1.0 95%信頼区間(0.5〜2.0):オッズ比1.0は、要因Aの有無で疾病Bのオッズが等しいことを表し、点推定値の段階で関連はみられません。95%信頼区間も1を含むため有意ではありません。危険因子とも予防因子ともいえない結果です。

4.オッズ比0.5 95%信頼区間(0.1〜2.5):点推定値0.5は1を下回り予防的な方向を示しますが、95%信頼区間が1を含むため統計学的に有意ではありません。仮に有意であったとしても、オッズ比が1未満なので危険因子には該当しません。有意性と方向性の2つの条件をどちらも満たしていません。

5.オッズ比0.5 95%信頼区間(0.4〜0.6):95%信頼区間が1を含まないため統計学的には有意です。しかし、オッズ比0.5は要因Aがある人の疾病Bのオッズがない人の半分であることを意味します。したがって、要因Aは予防因子(防御因子)と解釈されます。「有意かどうか」だけで選ぶと誤る選択肢で、危険因子としての有意性を問う本問の条件を満たしません。

覚えるポイント

  • オッズ比は ad/bc で求めます。症例対照研究で用いる指標で、疾病がまれなら相対危険に近似します。
  • オッズ比や相対危険など比の指標では、「差がない」値は1です。95%信頼区間が1を含まなければ有意水準5%で有意です(両側p<0.05に対応)。
  • 寄与危険(リスク差)など差の指標では、「差がない」値は0です。信頼区間が0を含むかどうかで判定します。
  • 比の指標が1より大きければ危険因子、1より小さければ予防因子、1なら関連なしです。「有意性」と「方向」を必ず別々に確認します。
  • 信頼区間の幅は推定の精度を示し、例数が少ないほど広くなります。「有意でない」は「関連がない」ことの証明ではなく、「有意」も因果関係の証明ではありません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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